第5話 ファミレスでお祝い!

 俺と海斗がサッカー部Aチーム昇格が決まった日の夜。

 俺と海斗と蓮、それと悠亜、未羽がファミレスに集まっていた。


 

「全員Aチーム方昇格おめでとう!」


 俺がそう言うとみんながグラスを持ち上げて言った。


「「「「「乾杯っ!」」」」」


 カンっ。


 俺たちは部活初日から全員Aチームに昇格が決まったのでファミレスに来ていた。

 俺と海斗はサッカー部、海斗は野球部、悠亜と春はテニス部、未羽はバスケ部でAチームに昇格した。

 それでお祝いにファミレスに来たのだ。


 ところで春がいないって?

 春は親に今日は外食するからと言われたらしく、今回はパスらしい。


「残念だったなぁ。春来れなくて」


 海斗がそうぼやくと悠亜が「家族で外食ならしょうがないよねー」と残念そうに言った。


 ほんと残念だ。

 美少女一人減るだけでも場のキャワワ感が減る!


「あっ!空のカルボナーラおいしそー!」


 残念って顔からの切り替えはや!

 早すぎません?!


「あっ私にもちょうだいよー!」


 そう言って未羽が横からフォークを伸ばしてきた。


「だーめ!空のカルボナーラを最初にもらうのは私なんだから!」


 そう悠亜が言った…と思いきや言ったのは海斗だった。

 何やってんだこいつ。


「いーやー!最初にもらうのは私!」


 蓮まで……。

 馬鹿かこいつら。

 いや馬鹿なのか?!

 あー蓮は馬鹿だった。


「お前らそんなにがっつくなって。そんなに食べたいんだったらお前らでもう一つ頼めばいいだろ?」


「それじゃ意味ないんだよ空くん」


「どうした悠亜…その喋り方変だぞ」


「注目ポイントがちがーーーーう!!」


「何が違うんだよ悠亜」


 そう聞き返す俺。


「だ・か・ら!私は空の食べているそのカルボナーラが食べたいってこと!」


 ファミレスの中、大声で悠亜は言った。

 そんなことファミレスの中で言うなよ!

 ほら、周りから変な目で見られてるだろ。

 何こいつら頭おかしいのって顔で見られてるだろ!


「まだわかんない?」


 うんうん。

 わかんない。

 頭のおかしいこの考えることはわかんない。


「はあ…もう!私が空と間接キスしたいって言ってるの!」


 キャー!!

 何言ってるの!?

 恥ずかしくないの?!

 

「そう言うこと外で言うなよ!」


「だってー空がなかなか振り向いてくれないからじゃん!」


 え、俺が悪いのか。

 恥ずかしい言動は全部俺のせい?


「まあまあ、とりあえず空のカルボナーラもーらいっ!」


「あっ!」


 俺が悩んでるうちに悠亜が俺のカルボナーラをとっていった。


「おいっ!俺の唇っ!」

「あー!悠亜だけずるーい!私にも頂戴よ〜」


「ダーメ♡私のなんだもーん!」


「ちぇーっ」


 羨ましそうに未羽は悠亜を見ているんだけど……。

 そんなに羨ましいのか?

 まあ俺なら好きなやつと間接キス、羨ましいな。

 っておい。何考えてんだ俺!

 今はそんなこと考えるんじゃなくてこいつらをどうにかしないと俺の晩飯がなくなるじゃねえか!

 周りに助けを……だめだ。

 あいつらは俺のこと羨ましそうに見てるわ。

 俺が助けを求めたら逆に悪化させそう。

 

 俺はしばらく悩んだのち、諦めることにした。

 もう無理だこれ。

 止まらねえよ、この二人。

 男子二人はあえて俺の晩飯をどんどん二人に渡していくし。

 まあ家に帰ってから何か食べればいいか。

 と言うことで仏のような顔で美少女二人を眺めることにした。


 かわいいな〜。

 もはや諦めの境地。


 そんなことをしてたら俺の両隣に男二人、海斗と蓮がきた。


「なあ空」


 蓮が緩んだ顔で話しかけてきた。


「ん?」


「ここは天国か?」


「天国かもな」


 俺たちの見ているのは二人の美少女がイチャイチャしている現場だ。

 まさしくその現場はアニメや漫画、ラノベで言うと尊いと言うものなんだろう。

 ネットで言ってるやつっらのことがよくわかる気がするよ。

 本当に尊い!

 何を奪い合いながらイチャイチャしてるのかは別として。


「ところで空」


「なんだい海斗君」


「ああやっていちゃついてる元は空の間接キス狙いなんだよね」


 ん?


「ああそうだな」


「それを見て喜んでいる二人は相当な変態だよね」


 え?

 何でそうなるんだ?

 俺が首を傾げて隣の蓮の方を見てみると顔を青ざめていた。


「おーいどうした、蓮?」


 声をかけても反応がない。


「おーい!」


「ん?!あぁ。うん」


 反応があったが声は裏返っていたし、少し落ち込んでいるように見える。


「どうした?」


「わかんねえのか?」


「何が」


 ああーもう!と言いつつさらに落ち込んだ。


「僕が言うよ」


「海斗よろしく」


「あのね。まず蓮が落ち込んでいる理由についてなんだけど、他の男のキスを取り合う美少女を見て楽しんでいたから。で君が恥ずかしくないかって言うのに関しては君の唇が二人の女の子に舐め回されてるようなものって言ったらわかる?」


 なるほ……ど……。


 認識に少しの時間がかかった。


 理解できなかった状態から理解に近づくにつれ俺の顔は真っ赤になっていった。


 うわわわわわああああぁぁぁぁぁ!

 恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいいっ!!

 想像してみろ!

 自分の唇をかわいい女の子に……。



 その後俺は恥ずかしすぎて倒れた。

 恥ずかしさで俺の脳はショートした。


 馬鹿だ。

 自分を、そして周りも馬鹿だと思いながら眠りという名の暗闇の中に沈んでいった。

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