第6話 目覚めると……。
暗いなここ。
目を瞑ってるのか、俺。
あー倒れたんだったっけか。
寝たんだっけか?
まあとりあえず目を開けないとな。
「……ん、ん!?」
あれっ。
目の前に山が二つあるんだけど…。
オーヤマさん?
二山さん?
目を開けると大きな山があったとさ。
おっぱいが目の前にあって、頭の下には柔らかいものがある。
これは…膝枕だ!
名推理だろ(きらっ)。
これでも探偵を目指そうと推理小説読んでた時期があったんだぞー。
では推理を始めよう(きらっ)。
おっぱいがあるってことは女の子だ。
おっぱい=女の子、OK?
じゃあ誰だ?
おっぱいで顔が見えない。
考えろ、俺に膝枕してくれてそこそこのおっぱいを持っている女の子。
候補者は……多くて絞れない!
程なくして俺は特定を諦めた。
だってわからないでしょ。
おっぱいと膝の質感で人を特定できる人がいるなら教えて欲しいくらいだ!
「あっ! 空起きた?」
この声は、悠亜か!
このおっぱいと膝の質感は悠亜だったのか。
俺の脳内メモリにメモメモ、と。
「えーと、悠亜さん? なんで膝枕なんでしょうか? ちなみにどれくらい寝てたか教えてもらえると嬉しいです」
「やっと起きたー。結構寝てたよ」
結構ってどれくらいだろう。
「どれくらい寝てた?」
悠亜は少し考えてから2時間くらい寝てたよと教えてくれた。
2時間も寝てたのか。
ファミレスで?
ところでここはどこだ?
ファミレスには見えないけど。
もしかして犯罪組織に誘拐された?!
んなことないか。
こんなことばっか考えてたらまたあいつに「これだからオタクくんはさぁ〜」って言われちまうな。
「悠亜、ここどこ?」
見慣れない部屋でベッドにはぬいぐるみが転がっている。
女の子の部屋……か?
「私の部屋だよ」
「え、ここ悠亜の部屋?」
「そうだけど、何かある?」
俺は悠亜の部屋に何回も来たことがある。
小さい頃だけど。
俺とは海斗、悠亜は幼馴染で小さい頃から交流がある。
親同士の交流もあるほどに仲もいい。
小さい頃、小学生の時なんかは週一のペースで遊びに来ていたほどだ。
しかしそんな俺でもこんな部屋は見たことがない。
そんな困惑している俺を見て悠亜は笑った。
「空なんで物珍しそうに私の部屋見てるの?」
そう言われても部屋をキョロキョロしてる俺を見て悠亜は閃いたって感じに手を叩いた。
「そっか! ぬいぐるみ増えてるもんね!」
いや、そこじゃないんだが。
まあそこもあるんだけども。
「あーもしかして緊張してる? 美少女の部屋にご招待されて」
「そんなことは断じて、絶対にない」
「もー照れなくていのにー」
「照れてないって」
ほんとに、心の底から緊張はしていないと断言できる。
「じゃあ何かあるの?」
「フツーに昔に比べて女の子らしい部屋だなって思っただけだよ」
ほんとにそれだけだ。
俺が言った言葉を聞いて悠亜の顔が拗ねた顔へと変わった。
「えー何よー、昔の私は女の子らしくないって?」
「別にそう言うわけじゃなくてだな……いやそれもあるけど」
言い訳がましく言ってるように聞こえたんだろうか。
悠亜は少し拗ねたのかプイッとそっぽを向いてしまった。
「な、なあ。別にそう言うことじゃなくてだな」
「いいもんいいもん。どうせ私は女らしくないですよーだ!」
別に女らしくないとかじゃなくてだな。
悠亜は小学校の時に男みたいって言われたのを今でも気にしている。
そんなのに気にしなくてもいいのにな。
普通にかわいいと思うんだけどなー。
学校でも美少女って言われてるのに気づいてないのはもはやすごいとまで言える。
拗ねてこっちを向いてくれない。
「なあ悠亜」
「フンッ」
「なあ機嫌直してくれよー」
「フン」
どうしよう。
どうすれば機嫌直してもらえるんだろうか。
あ。
そうだ。
「なあ悠亜」
「フン、空なんて知らないっ!」
「怒ったらかわいい顔が台無しだぞ?」
俺はできるだけ、かっこよく聞こえる声で言った。
俺の精一杯。
「え……っ」
彼女の顔が赤くなった。
「何で……」
「ん?」
ワナワナと震える彼女に対して俺は何を言いたいかわからなかった。
だから疑問系で聞き返してしまった。
「何で今そんなこと言うの!」
何でって?
それ言ったら振り向いてくれると思ったからだけど。
そんなこと言ったら怒りそうだな。
ここはどっかで聞いたことのある知識で乗り越えるか。
俺が今思いついたのは三つくらいだ。
一つ目は「そのまんまの意味さ。可愛い顔が台無しだよ」。
二つ目は「君の瞳が美しかったからさ」。
三つ目は「悠亜が好きだから」。
一つ目が一番妥当かな。
二つ目なんて恥ずかしいだけだろ!
三つ目に関してはこれは今言うべき言葉じゃないし。
結局俺は一つ目を言うことにした。
てかこの選択肢バカみたいじゃね。
「そのまんまの意味さ。可愛い顔が台無しだよ」
キリッ!
決まったぜ。
それで悠亜の反応はと……顔がトマトのように赤くなってんじゃん!
両手を頬に当てて体をくねくねさせてるし。
やばいほど可愛い。
自分の好きな女の子が自分に対して照れてるのを見ると楽しいな。
そう思いながら俺は悠亜を眺めていた。
正確には見惚れていたと言うのが正しいだろう。
そんな俺に眺められている彼女は五分経ってもくねくねしていた。
「おーい、悠亜さん?」
反応はない。
「おーい」
次は床にゴロゴロし始めた。
悠亜は自分の世界に入っているんだろう。
「えへへ……可愛いだってー」
ずっと一人でつぶやいている。
もはやこのままそっとしておくべきなのかとも思うほどに可愛かった。
「えへへー」
「空が私に可愛いってー」
しばらくそばで見ていた。
しかし悠亜の呟く言葉がだんだん恥ずかしく思えてきた。
俺の頬も次第に赤く熟れていきトマトみたいになっていただろう。
「おいっ。悠亜! 恥ずかしいだろ!」
「えへへーこのまま空とーキスしてあんなことやこんなことを〜」
流石にそれ以上は恥ずかしさで沸騰する!
そう思い俺は彼女の方を持ち大きく揺さぶった。
「現実に帰ってこい! 悠亜!」
「はっ!!」
よし、現実に帰ってきたか。
「あれっ? 私何してた?!」
「くねくねしたり、ゴロゴロしたり恥ずかしいことを言ったりしてたぞ」
そう言った瞬間彼女の頭は爆発した。
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