第3話 サッカー部初日
おーさすが私立。
人工芝のグラウンド二面とフットサルコート一面もあるなんて。
俺と海斗はサッカー部のグラウンドに来ている。
グラウンドを見て海斗も驚いてるな。
まあ俺らの中学は土だったもんなあ。
さて準備をするか。
「新入生集合!」
俺たちがグラウンドに着いて準備も終わって少しストレッチをしている時コーチが集合をかけた。
走って集合するとでかい壁に囲まれた。
いや、壁じゃなかった。
人、これからチームメイトになるであろう奴らだ。多分。
デカすぎじゃねこいつら。
「えー入部してくれてありがとう。私はBチームコーチの広津だ。よろしく」
そう言ったコーチは隣にいる監督に前に出るよう促した。
「私はサッカー部顧問で監督の立川だ。これから三年間よく見ることがあると思う。指導については厳しいと思う。それでも頑張れるものだけ入ってくれればいいと思っている。そんな厳しい部活だが入るやつは三年間よろしく頼む」
監督の挨拶が終わった後、俺たち新入生は自己紹介をするように言われた。
「八島 雷池。12組。ポジションはフォワード!よろしくお願いします」
自己紹介は右から始まった。
俺は真ん中らへんだな。
「よし、次」
そんな感じに自己紹介は進んでく。
そろそろ俺かな。
「次!」
「黒咲 空。11組。ポジションはフォワードです!よろしくお願いします」
俺の次は…。
「次!」
「一条 海斗。11組。ポジションはミッドフィルダー、主にトップ下です。よろしくお願いします」
海斗の自己紹介も問題なく終わったか。
あがり症だったからなー海斗は。
その後、挨拶が終わるとどうやら15分のアップの後新入生だけで紅白戦をするらしい。
これは俺の存在を見せつけるチャンスだな。
ここで活躍してAチームに上がった人もいるっていうし。
アップ中、俺と海斗はある打ち合わせをしていた。
「なあ海斗、紅白戦のチームなんだった?」
今回の紅白戦はA、B、C、Dチームに分けられた。
ちなみに俺はCチームだった。
海斗は…。
「僕はCチームだったよ」
「よし!一緒だ!」
これなら完璧なアピールができる。
「どうする空。どの作戦で行く?」
俺と海斗には十八の作戦がある。
実践的なのから魅せプレイまで種類豊富だ。
「じゃあ作戦は七でいこう」
「オッケー。七だね。あれ結構しんどいんだよ。パスにも気をつけないとだし」
「まあまあ、頑張ってAチームにいこうじゃないか」
「そうだね」
海斗と作戦会議を終え俺たちはアップを続けた。
そろそろAチームとBチームの紅白戦が始まる。
ちょっと気になるな。
どんな奴らいるんだろうか。
見ておくのも悪くないな。
「ちょっと見ようぜ」
そう言ってるとホイッスルが鳴り、紅白戦A対Bが始まった。
試合が始まってすぐAチームでフォワードの一人が敵陣営に突っ込んでいった。
「何だあいつ」
「馬鹿なのか」
「無謀だ」
見ている奴らが次々に言う。
まあ確かに無謀っちゃ無謀だな。
どんなプレーするんだろ。
確かあいつ…八島…雷池だっけか……。
俺が注目して八島を見てると八島のドリブルスピードが急速に上がった。
一人目のディフェンスに向かって一直線。
そのドリブルはディフェンスに近づくにつれさらに加速していく。
「ぶつかるぞ」
誰かがそう言った。
しかし俺はこう思いそして口にした。
「いや、三人抜く」
俺がそう口にした瞬間、それは現実となった。
八島はわずかなタッチで方向を少し変え、変えた瞬間に逆方向へとわずかなタッチで方向を変えた。
その少ない動作で一人、また一人、さらに一人と抜いて行った。
「何だあいつ!」
「今何をしたんだ?!」
見ている奴らのほとんどは何が起きたかわかっていないようだ。
多分わからない奴らからすればディフェンスが道を開けたように見えただろう。
海斗は見えたようだ。
「空……」
海斗は震える声で話かけてきた。
「何だ?」
「空と一緒にここにきてよかったよ」
「俺もだよ」
あいつは上手い。
見る限り、他にも同学年で上手いやつは結構いた。
負けてられないな。
こいつらと戦いたいと思わせられる。
「なあ海斗、俺たちも暴れてやろうぜ」
「うん!僕らでやってやろう」
Aチーム対Bチームの試合はその後も上手いプレーがたくさん見れた。
ハーフウェーラインからロングシュートを決めるやつ。
トラップひとつでディフェンスを抜くやつ。
さっきから一回も相手チームのフォワードに抜かれていないやつ。
このチームに来てよかった。
心からそう思えた。
「さあ、俺たちもアピールするんだ。アップしっかりするぞ」
俺たちはアップに集中した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます