第7話 そんな、初デート2
ちーちゃんに連れられて来たのは、なかなかにクラシカルな佇まいのカフェだった。
「いらっしゃいませ。ああ、こんにちは。」
店に入るなり、お店の主人に笑顔で迎えられるちーちゃん。
「こんにちは。えっと、カウンターいいですか?」
ちーちゃんはそう言って、バッグを既にカウンター席に置いていた。
「どうぞー。」
店の主人の軽い返事。
半ばちーちゃんに誘導され、あたしもカウンター席に座る。
ダークブラウンの重厚な作りのカウンターテーブルには、あたし達以外のお客さんはいなかった。
カウンター越しの大きな窓はステンドグラス風にラッピングされていた。それが日差しのクッションとなり、カウンターコーナーは柔らかな光に包まれていた。
カウンターの所々に、’スワロフスキーを散りばめた手のひらサイズの人形が飾ってある。窓からの日差しが時々良い具合に反射して、人形がキラキラした。
きれいだなー、と思って見ていると、ちーちゃんがメニューを広げていた。
「おすすめはねえ、この和風のパフェ。あと、こっちのベリー尽くしのもおいしかったよ。あとはねえ‥」
矢継ぎ早に説明する姿を見て、ちーちゃんの並々ならぬパフェ愛を感じた。
ちーちゃんのパフェレクチャーをひとしきり聞き、結局2人とも和風のものを頼んだ。
同じものを頼んで食べることがすごく嬉しい。
しばらくでパフェが来た。
「ちかちゃん、久しぶりだね。」
主人が声をかけてきた。
「そう?年末にも来たから、半年ぶり?」
「それを久しぶりって言うんだよ(笑)」
ちーちゃんも笑う。
「こんな人形あったっけ?」
ちーちゃんがスワロフスキーの人形を指さす。
「うちの奥さんが作ったんだよ。」
「奥さん相変わらず器用だねえ。」
あれ、ちーちゃんってここの常連なんだ?
そんなことを思いながら、会話に入れずにいた。
ちーちゃんはそれを察したのだろう。
「あ、ごめんね。実は時々来るお店なの。昔この辺住んでたんだ。」
なるほど。そういうこと。
肝心のパフェはとても美味しかった。
使ってるアイスも自家製らしく、和風パフェに使っている抹茶アイスからは苦味をしっかりと感じた。
しばらく夢中でパフェを食べ、ふと気づくとちーちゃんがこちらをチラチラと見ている。
「ちーちゃん、どうかしました?」
「‥あ、いや‥」
「?」
「ひとくち‥」
「ひとくち?」
「それ、一口欲しいなって‥」
「おんなじだよ?」
「うん。」
「欲しいの?」
「人の食べてるのって美味しそうで‥」
あたしは笑いながらちーちゃんの前にパフェを差し出した。
スワロフスキーみたいに目をキラキラさせながらあたしのパフェを掬うちーちゃん。
あたしもちーちゃんのものを一口貰った。
なるほど、なんでだろう。美味しいし、満足だ。
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