第5話 無理やり買わされる勇者

「お互い、大変ですね〜お兄さんも、道に迷って?」

と、僕は隣に座り込むお兄さん(30歳くらい)に話しかけた。

「お前は、道に迷ってるのか、俺は、人生に迷ってるんだよ、、自分と同じと思っているなら違うぞ」

と、ボソボソというその言葉の中には、言葉では、表せない重みがあった。そしてそれは、表情にも出ており顔に青の縦線が入っていそうな表情だった。

「す、すいません、、道教えてもらっても良いですかね?」

僕は、とりあえず話を続けることにした、そして自分の今の悩みも解決する事にした。

「ああ、お前ギルドに行きたいのか、あそこは終わってる、よし、俺について来い良いとこに連れてってやる、心配するな、そこもギルドみたいなところだ」

と、暗く言う。いったいぜんたい、なんでギルドが終わってるなんて、、よく分からない。

「あ、はい、お願いします。」

僕がそう言い終わる前に、お兄さんは、重そうな体を動かしていた。

表情は、まだ暗いままだった。


そしてついて行った先は、、奴隷商だった。

「こ、ここって、どう見てもギルドじゃない気がするのですが、、」

と、僕が、恐る恐る、ドキドキしながら言う。僕の手は少し震えていた。

「仲間を手に入れるなら、ここが良い、ここの奴らなら、まず裏切る事がほとんどない。しかもそいつはお前の私有物だ。だから好きにしても良い。あっち系のこともな」

と、僕の下半身を指差して言ってきた。その表情は、今までで1番楽しそうだった。まあ男ならそうなのか?

「あ、はぁ、」

そしてお兄さんは、奴隷商の中へ入っていく。とても慣れているようだった。僕は結構な田舎育ちなので、こういうのは、ちょっと受け付けなかった。

僕は、お兄さんについていき、ドアを開けると。

「よぉ!タクマ!それに、だれだ?」

と、おじさんが言ってきた。タクマというのはお兄さんの名前なのだろう。

「こいつは、今さっきそこであったばっかのやつだ。お前のために客連れてきてやったんだぞ?感謝してもしきれないんじゃなきのか?」

と、なんだか、少しニヤニヤしながら言うタクマ。なんだか気持ち悪い、、

「よ、よろしくお願いします、、」

僕はとりあえず挨拶した。

「よろしくな、あと、タクマ、いっつもお前には迷惑かけられてるから、それのかしを返してもらった、ということにしといてやらあ!」

おじさんは、笑いながら言う。

「で、お前、どんなのが欲しいんだ?」

と、タクマが、聞いてくる。

「う、一番安いやつで、、、」

僕は、ドキドキしながら言った。

まだ手は震えている。僕は怖くなっていた。

そこから何か色々買わされるんじゃないかなど、色々考えてしまっていた。色々買わされるなら、一つで抑えときたい。僕は買ったらすぐに逃げ出そうと思った。


「一番安いやつならこいつだな、、」

「じゃあ、その子で!」

僕は、何も見らず、に買った。

幸い、僕は自分の財布を持っていたので、そのまま馬車に乗れた。その中には、魔王になるための資金と、王様にもらったお小遣い程度のお金が入っていたので、余裕で買えた。

僕は、それから契約書などを素早く書いて、すぐに、お礼を言って、買った子を連れてさっさと後にした。

「はぁ、やっと、やっと、逃げ出せた」

ちょっと僕は怖かったのだ。話しかけたのは自分なのに、なんだかだんだんと怖くなっていた。

僕は、自分の手の方を見ると、白い手が繋がれていた。

「ご主人様?」

と、その手の持ち主は、首輪をつけた首を傾げた。


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