[香 第四話 ごめんなさい]

 大変な事になってしまったの。

 もうリョウには会えない。ごめんなさい。


 家迄送ってもらった日、その夜もう一度私は倒れてしまったらしいの。長野市の大きな病院に運ばれて、目が覚めたのは三日後だった。


 目が覚めた時、私は男になっていた。しかも余命はあと少ししかない。目も見えにくく、身体ももうあまり動かない。医者には「原因はよく分からないが、進行性の病が急に進行した。急に男になったのではなく、元々本当は男だったのだ」と言われた。

 これを書いているのもやっとの思いで、これ以上書くことは出来そうにないの。こんな形で終えるのは不本意だけれど、この小説は二人で書いているから、必ずリョウがちゃんと完結してくれると信じてます。

 無責任な形になってしまって本当にごめんなさい。

 また会おうねって約束したのにこんな風になってしまってごめんなさい。

 こんな私の姿をリョウには見られたくない。リョウの記憶の中にはどうかあの日の私の姿をとどめておいて下さい。

 短い間だったけど、楽しかった。

 ありがとう。

 そして、この小説を読んで下さっている方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 ごめんなさい。許して下さい。






 

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