涼 第五話 お願い

 何だよ、それ!

 何でこんな事に⁉︎


 きっと僕のせいだ。僕はちょっとだけ香さんの身体に触れてみたくなって、香さんを倒しちゃったからいけなかったんだ。これ位ならいいかなって思っちゃって。僕は領域を出たつもりは無かったんだ。ごめん。謝るから。嫌な思いをさせちゃったなら削除するから。書き直すよ。

 だから男になんかならないでくれ。あと少しの命だなんて言わないでくれ。もう書けないなんて言わないでくれ。頼むから。


 会いたい。会いたいんだ。

 カオにもう一度会いたい。お願いだ。本当はカオは女だって男だって、どっちでもいいんだ。たとえあと少しの命だとしてもそれは仕方がない。

 もう書けないなんて言うなよ。僕に謝って、読者に謝って、「ごめんなさい」「許して下さい」で終わりにするなよ。そんなの悲し過ぎる。たとえ書けなくったって書けよ。せっかく書き始めたのに、こんな形で終わりにしていいのかよ。本当に書けなくなるまで書ききれよ。本当に書きたかった事を。

 本当にダメになったら、その時は、その時は、オレが責任持って完結するから。


 どこ? 今、カオはどこにいるの? 長野の何ていう病院にいるの? オレ、これから行くから。

 オレ、強くなるから。少しずつなんかじゃなくて、今すぐにでも強くなってやるから。

 あ、領域は侵さないよ。オレ、その病院の正面玄関の前に行く。カオがもし会う気になってくれたら連絡してくれ。連絡無ければそのまま帰る。

 あ、連絡先は。この投稿のコメント欄に書き込んでくれればいい。オレ達そこでしか連絡を取り合う事はできないし。病院の名前だけでも投稿してくれ。お願いだ。



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