黒湖先生の書かれるお話は、どれも設定や会話のテンポが秀逸で、本当に大好きです!
どうしたらこんなお話を思いついて書けるのだろう、と、いつも思います。
神様からひとつだけ与えられた能力。
それを能力の高さから、A〜Dクラスに評価する。
Aクラスはカーストのトップ。
対して、Dクラスはカーストの最下層。
職業選択の自由もなく、結婚もできない。
そんな風に一面的な評価をしてレッテルを貼ることに対する疑問や反発を、
本来はレッテルの恩恵を受ける側=Aクラスである佐久間が持って、Dクラスである影路の本質を見ようとする姿。
そこには佐久間の人間性が出ていて、佐久間が自己評価が最低な影路を救い上げてくれるところが、本来こうありたい!と思わせてくれました。
これってきっと、現代社会にも通じる問題だと思うんです。
あからさまなランク付けがある場合も、
無意識にランク付けしている場合も、
大なり小なり、誰の身にも起こりうることではないかな、と。
レッテルや他人の評価といった先入観に惑わされず、自分の目で見て耳で聞いて、それを信じられるような、そんな人でありたいな、と。
そして、Dランクであるということで自己評価が最低な影路も、自分なりに本をたくさん読んで勉強したり、ひとりでも生きて行けるように考えて行動していて、半ば諦めつつも、今ある環境の中で努力をし続ける。
黒湖先生が書かれるヒロインは、いつも前を向いていて、読んでいる自分も「もっと前向きに頑張らなくちゃ!」と思わせられるのです。