16本目 頭の良いフリ

 俺は頭が良い。

 いや、本当は頭が良いわけじゃなくて、”頭が良いフリ”をしているだけに過ぎない。


 誰かと喋るときはマウントを取っているように見えないように、昨日ウィキで読んだ受け売りの知識を、新自由主義的論調に乗っかることで自尊心を保っているような意識高い系が好むタイプの話し方でちょいちょい語る。

 しかも、相手が本当に意識が高いと返り討ちにあってしまうので、必ず自分と同じかそれ未満の知識ベースの人間だけを選んでこんな小賢しいテクニックを用いている。


 そうすることで、別に自分が何か成しえたわけでもないのに自己承認欲求をいたすことができる、つまりは無批判に褒めてくれるのだ。


 なぜそんなくだらないことをするのかと言えば、そんなのは誰にでもわかるような理由。

 だってそれが楽だから。まともに勉強なんてしたくないし、建設的な議論を交わしたいわけじゃない。


 ただ”頭がよく見られたい”だけだからだ。実際に頭が良いのかは関係なくて、相手が勘違いしてくれればそれでいい。

 しかも、感じの悪いことに、俺はそれを自覚的に行っているのが性の悪さを露呈している。知らず知らずにやっているやつの方が、背伸びしがちな中学生みたいでまだ可愛げがあるが、俺みたいな確信犯(誤用の意味で)はしっかりとした無能クズ野郎なのだ。


 そして、俺が最後に伝えたいことは、今画面の前にいるが、俺と同じような有能風無能になってしまっていないだろうか、ということだ。


 無能なのが悪いのではない。知識に乏しいのを悪とするのではない。そうでありながらも虚勢を張って無理をしてはいないかと、そういうことを今一度考えてみてほしい。






【追記】

さすがに実体験ではないのですが、オチを考えずに書いてたら、ついぞオチとか笑いどころが思いつきませんでした、すまん!

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