第6話 アイスピック女子高生、絶対との対峙!

 そこはとても広い炎上空間だった。先ほどまで焼いていた肉は炭と化し、正面に座っていたはずの二刀流三角定規女子高生もいない。ただ一面の焼け野原、地獄があるとすればまさに今この場所を指すのだろうと思われる光景が広がっている。

 アイスピック女子高生は、アイスピックを構えていた。

「お前は――――」

 揺らめく炎の中に立つのは女子高生。レールガンを所持しているから、それは間違いなくレールガン女子高生。放つオーラは強者のもの。まさにレールガン。

 言葉は要らない。

 そう主張するかのように、前触れもなく、レールガン女子高生はアイスピック女子高生に向けてレールガンを解き放った。破壊の具現が、燃え盛る大気を裂いて飛来する。

「……ッ!」

 辛うじて避けるが、脇を通過する衝撃だけでアイスピック女子高生の身体が吹き飛ぶ。一瞬で悟った、実力差。勝ちようがない。勝てるはずがない。

 だが、アイスピック女子高生のメンタルは燃え盛っていた。


「私の焼肉を――――」


 怒りを糧に立ち上がる。

 再度襲う弾丸に、アイスピックを突き立てる。


「台無しにしやがったなああああああああああ!!!!!!!!!」


 爆発でも起きたかのような発光。光の奔流に、視界が閉ざされる。

 力の衝突。その激流に呑まれながら、アイスピック女子高生は悟った。自身が除霊をできる力を持つ、その理由。根源。あらゆる女子高生の物語の始まりを、相対するレールガン女子高生の中に見た。

 急に視界が開けた。

 レールガン女子高生は言葉を発さぬまま、倒れたアイスピック女子高生を静かに見下ろしていた。

「私を殺すのか?」

「そうさせるほどに貴方は強くないから」

 マフラーで口元を隠していたレールガン女子高生だったが、アイスピック女子高生は気付いた。こいつ、笑っていやがる。馬鹿にするように。

 レールガン女子高生は陽炎のように消えていった。すると同時に視界も元通り、炎上空間は消失し、アイスピック女子高生は元通り焼肉の網の前に座っていた。当然、二刀流三角定規女子高生もいる。今はタン塩を焼いている。

「なあ」

「はい?」

「今日は私が奢ってやるよ」

「頭でも焼けたんですか?」

「そうかもな……」

 再戦の炎を燻らせるアイスピック女子高生。

 その日から、幽霊とのバトルが激化したとかしないとかいう話であった。


 しかし彼女は知らなかった、次に彼女がレールガン女子高生と出会うのはずっと後のことになることを……。

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