第2話 アイスピック女子高生、圧倒!

 一刀修羅!

 二刀開眼!!

 三刀にて無双!!!


 アイスピックというひ弱な凶器を携えた女子高生でさえ、おそるべき殺意の獣となる午前三時の廃トンネル。金属同士が激しくぶつかり合う音が響いている。

「分かった……」

 一方は女子高生! アイスピックを順手に、一点集中、突き刺してからの引き裂き攻撃を得意とする女子高生だ!!

 幽霊を狩っては賞金で焼肉を食べているぞ。

「何が分かったっていうの?」

 もう一方は女子高生! アイスピックを両手と口に、逆手持ちで斬りかかる戦闘スタイルはまるでニンジャである!!

 口でアイスピックをくわえているのにどうやって喋っているのか分からないぞ。

「お前の正体が分かったんだよ!!」

「何……!?」

 会話の最中も金属同士が激しくぶつかり合う音は響いているが、残念ながら今回の舞台は光の差さぬ午前三時! しかも廃トンネルなのだった。

 姿は見えないが、とりあえず会話中も戦闘音っぽいのは聞こえるからおそらく戦っているのだろう……多分……。

「お前……幽霊だな!」

「ちっ、バレたらしょうがない……私は幽霊だ!!」

 なんと正直! 人間は嘘を吐くイキモノだが、幽霊は脳が機能していないため嘘を吐くことができないのである。殺人を犯すのも人間、盗みを働くのも人間、罪は人間が犯し、人間が裁くものなのだった。

「そうか……やはり幽霊か……」

 すなわち。

「なら私が負けるわけがねえだろおぉぉぉぉぉ!!!!!」

 アイスピック女子高生は突然彼女の象徴であるところのアイスピックを投げ捨てた!

 隙と見た幽霊はアイスピックの刃で斬りかかろうと迫るが、しかしいきなりバリアのような見えない障壁に阻まれて顔面がブサイクな感じに潰れた! イタイ!!

「なんだと!?」

「これは……塩だ!!!」

「塩!??」

 除霊によく効くと噂の塩!!!

 アイスピック女子高生は、アイスピックを捨てる代わりに周囲に塩を撒くことで、簡易障壁を生成、武器を捨てたと幽霊に思わせ突撃からの自爆を狙ったのだ(見えないが)。

 その場に倒れる幽霊の手足に盛り塩をしていくアイスピック女子高生。

 盛り塩の力により、幽霊は身動きが取れなくなる。

「これで私も……おしまいか……」

「三刀を扱えるのも……その状態で喋れるのも……幽霊だったからなんだな……」

「そうだ……私は……廃トンネルで死んだ……。私は女子高生になりたかった……。制服で女子高生同士でえっちをするような放課後を送りたかった……、そういった意識が集い、幽霊として形をとっ」

「必殺!!!!!」

 アイスピック女子高生はアイスピックを幽霊の首筋に突き刺し、力任せに真横へと引き裂いて殺した。

「除霊……完了!」

 決め台詞である。


 幽霊よりも人間の方がずっと怖い存在なのだ。

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