急襲アイスピック女子高生

大河

1stシーズン

第1話 アイスピック女子高生、登場!

 ここはとても広い屋敷……広すぎて先を見通せないくらい広い屋敷だ。ずいぶん昔に住人がいなくなったようで、廊下とか部屋とか、全体的にホコリまみれだった。あとついでに暗くて怖い。

 幽霊とか出そうな雰囲気である。

 通路の奥に人影が見えたような……というか、脚が見えないぞ?

「あ、自分、幽霊っす」

 出た! 幽霊だ! 思ったより怖くない!!

 幽霊はもともと屋敷に住んでいたが、歯磨きのときに歯ブラシが喉に突き刺さって死んでしまった。人間は喉に物が刺さると死んでしまうのだ。

 通路の奥にまた人影が見えた……、今度も幽霊だろうか……。

 いや違う、あの人影は!

「女子高生です」

 女子高生だ!

 しかもアイスピックを手に持っている!!

「えいやぁぁっ!!」

 そしてアイスピックを振りかぶって、幽霊に向かって突き刺した。女子高生は最強なので幽霊が見えるのである。しかし幽霊は物理攻撃が効かないのが世間の常識なのだ。

「へっ! 俺にそんなクソみてえな攻撃が効くもんか……ぐげええぇぇ!??!」

 だがアイスピックは幽霊に突き刺さった!

 そのまま喉を切り裂いていく!

「馬鹿め!私に物理攻撃無効は無効なんだよ!!!」

「嘘だろ……」

 幽霊はそのまま消えていった。

 通路の奥に再び人影が見えた……、今度こそ幽霊に違いない……。

「女子高生でした」

 女子高生だった! しかもアイスピックを手に持っている!!!

 しかも……両手に握りしめたアイスピックの本数は、まさかの二本!!!!!

「父さんを除霊された恨み……今こそ晴らす!」

「お前はあのときの!」

 アイスピック女子高生と二刀流アイスピック女子高生の戦いが始まった。

 金属がぶつかる音が何度も屋敷に響く。

「アイスピックが一本なら最強……ならば、二本持っている私はもっと最強だ!!」

「なにくそぉぉぉおおお!!!」

 ここで通路の奥から人影が!まさか第三の女子高生だろうか……。

「二刀流アイスピック女子高生よ……」

「父さん!」

 二刀流の父親だった。除霊されたはずだったが、復讐に駆られた娘を見ていられず、二十四時間限定で蘇ったのだ。

「そうだ、父さんだぞ」

「父さん、私……父さんがいない世界なんて……」

「それでもお前は生き抜かなければならないんだ……俺がいなくても……母さんと二人で……。二刀流アイスピック女子高生よ……」

 感動の場面である。

 だが!

 この場にいるのは二人ではない!!

 三人なのである!!!

「必殺!」

 アイスピック女子高生が二人の首を突き刺して殺した。

「私の勝利だ!!」

 血を拭いながら、アイスピック女子高生は屋敷を出る。

「除霊、完了」

 決め台詞である。


 しかし彼女は知らなかった、来週には三刀流アイスピック女子高生が彼女の前に立ちはだかることを……。

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