第2話 ~俺の作戦の何が悪かったか教えてほしいんです!!~

 放課後、学生御用達ごようたしのファーストフード店へ行き、話を聞かせてもらうことになった。当然俺のおごりでね。

「それじゃあ教えてもらおうか。なんで俺の作戦ダメだったのか!!」

「1回目のはまあいいとして。問題は2回目以降だ」

「2回目以降?」

「実は告り過ぎるのも逆効果なんだよ。軽い男にみられてしまうし、下手したら今より関係が悪化する危険性があるんだ。それは身をもって体感したから分かるよな?」

「はい……めちゃくちゃ痛感しています……」

 俺の作戦なかなか良いと思ったんだけどな。まさかそれが裏目に出ていたとは気付かなかった……。

「恋は盲目っていうからな~。気付かないのも仕方ないけど。それに回数重ねると軽い男に見られて、お前の気持ちが伝わらなくなるんだ」

「えっ、マジで!」

「ちなみに告白は3回までといわれている。本当ならこの回数で、お前の熱意をもっと伝えられたら良かったんだけどな。まあ、過ぎたことは仕方ない!」

 もっと早く教えてもらえば良かった……。ここから挽回できるチャンスはあるのか気になる。すると、如月は「大丈夫!この状況からでも充分に挽回できる!」とハッキリ言った。

「どうしたらいい?」

「お前が今後やるべきことは3つ。こと」

「はい先生!2つ目難しそうです!!」

発言を無視して話を進める如月。

「まずは1つ目。告り過ぎてしつこいとまで言われてるんだ。そろそろお前と距離を置きたいと思い始めている頃だ。そこでお前まで避けてしまうと、前みたいに話せるどころか挨拶すらできなくなってしまうかもしれない。だから前と同じ状態にまで関係を修復する為に、まずは目を合わせてしっかり挨拶しろよ」

 確かにそろそろ心が折れていた頃だった。挨拶なら気軽にできるかもしれない。

「2つ目。お前には正直しんどいとは思うんだけど、授業を寝ないで受けるんだ。いいな」

「なんで!?」

「目的はなんだ。失恋した奴は他に打ち込むものがなくなってしまい、どんどんネガティブになっていってしまう。だから、一旦気持ちを落ち着かせる為に、今は勉強をしっかり頑張れ。それに普段の授業態度でいつも幻滅されていただろ?ここでいいところを見せて挽回するチャンスをもらえ」

「先生……本当にやらないと……マズいですか?」

 おどおどしながら訊くと、思いっきり睨まれた。

「お前に拒否権などない!」

 どうやら腹をくくるしかないようだ。

「最後は木内さんの恋愛事情を知れ」 

「なんで?」

「さっきからうるさいな。黙って聴けよ」

 これ以上口を挟んだら恐ろしいことになりそうだ……。

「お前も知っていると思うけど、木内さんは告白を必ず断っている。その理由を探らないと何回告っても結果は同じだ」

 確かに気になる。聞いても誰も知らないし。そんな状況下でどうやって探ればいいのやら……。頭を抱えているとき、「そういえば!」と立ち上がって叫んだ。

「俺の彼女が偶然にも同じ中学だった気がする!」

「えっ、マジで!?」

 一筋の光が差し込んだ。希望が見えてきた。

「俺は俺で彼女からいろいろ話を聴いておくから、お前も頑張って情報集めろよ。で、それを元に対策していこう」

「分かった。ありがとな如月!」

「礼を言うのは木内さんと付き合えてからにしろよな~」

 褒められて嬉しかったのか、頬を赤らめている。アドバイスをもらったからにはこれから頑張らないとな。

「よーーし!やるぞ」

 気合いを入れて自分を鼓舞したとき、如月のスマホに着信が入り電話に出た。話を聴いているときの表情がだんだん曇っていく。

「分かった教えてくれてありがとう……」

 電話を終えた後、しばらく黙っていた。

「どうした?」

「彼女からだったんだけど、どうやらライバルに先を越されたらしい」

「何が?」

「桜木勇樹知っているだろ?隣のクラスのイケメンの……」

 なんか嫌な予感がしてきた。

「桜木が木内さんに告白して……付き合うことになったんだって……」

「えっ……⁉」

 大きなショックと疑問が頭の中でぐるぐる回っていた。



続く。




























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