第26話 次の行動へ
「……おや? 君くらいのゲーマーならすぐ思い当たると思ったけど……見込み違いだったかな?」
こいつ……!
「うーん、仕方ない。この私が懇切丁寧に解説してあげようじゃないか! 感謝したまえ!」
「はいはい……感謝してるよ。お前が付いてきてくれて助かってる」
ホント、こいつのこういう部分は変わらねえな。もういいから、とっとと解説してくれ。
「うんうん、まず一つは私達が倒した多くは『ただのゴブリン』だったということさ」
「……弱い魔物ばっかり倒しても、経験値は知れているってことか?」
「流石に理解は早いね。その通りさ。魔物でも最弱クラスのゴブリン、それをいくら狩ったところで、得られる経験値は知れている」
となると、安全圏ばかりで弱い魔物を狩り続けるのは非効率的だろう。
「さらに、同じ魔物ばかり狩っていると補正がかかるんだ。経験値効率を考えるなら、多種多様な魔物を倒すべきさ」
レベル差だけじゃない、一つ所の魔物を狩り続けたとしてもダメ。
流石は約束された神ゲー、作業レベル上げが出来ないようにしっかりと考えてくれているようだ。
再びコーヒーに口を付けた後「あの中にゴブリンの亜種が混じっていたら、また別だったんだけどね」とヴェルトラムが呟いた。
俗に言う……ドラ〇エのメタル狩りのようなものも対策されているのか。
これからレベルを上げる際に、この情報は重要だろう。
「んで、もう一つは?」
「こちらは単純。ゴブリンキングはボスだけど『ドロップエネミー』で、他のメリットは控えめだったんだ」
あまり聞いたことがないが、ネーミングから大方の予想はつく。というか、今も自分のアイテムボックスに入っている『怨嗟の巨刀』からも推理は容易だ。
「あのゴブリンキングを倒した際にドロップしたアイテム……わかるだろう?」
「ん、まあな」
あの後『怨嗟の巨刀』は自分たちが回収した。
一応自分は装備できたようだが、これの発狂効果が『不屈の精神』で防止できるか不明のため、保管するだけにしている。もしも呪いが取れたら……とんでもなく心強い武器になるだろう。
マントと王冠は、町の人達に回収を任せて買い取ってもらった。
少しでも橋の修繕費を足すつもりでそうしたのだが、町の人達からの要望もあってある程度の金銭も貰えたのだ。
その額、10000センズ。
自分たちが泊まった宿が一泊100センズなので、売値は推して知るべしだ。
装備しても良し、売却しても良し、倒せばそんなアイテムを落とす。それが『ドロップエネミー』なんだろう。
「倒せば有用なアイテムを落とす。けど、他の……経験値等はあまり旨みがないってところか?」
「その通りさ。よって、私達のレベルはいい所だと思うよ」
ヴェルトラムの答えを聞き、椅子の背もたれに身を任せる。
まだまだ始めたばかり、レベルも一気に上がったとはいえ10……さて、次はどうするべきか……大きな目標は、やっぱ『現実世界が消えた』ってことへの調査か?
それにしたって、まずはここ『デイブレイク・ゲート』でどうするか……要するに、小目標を掲げた方がいいだろう。
闇雲に動き回ってゲームオーバーなど、笑い話にもならない。
「これからの提案なんだけど、まずはギルドに行って登録しないかな?」
「ギルド……登録?」
これでもゲームやアニメ漫画にはそこそこ詳しいつもりだ。何となくだが、検討はつく。いわゆる『冒険者』とか『賞金稼ぎ』と言われる仕事に就けるところだろう。
「そう、この『デイブレイク・ゲート』には様々なギルド……組合がある。そこで登録して仕事に就くのさ」
「つうと……やっぱ『冒険者』か?」
その言葉を聞き、ヴェルトラムが感心の表情に変わる。
「そうそう! 冒険者は自由気ままに放浪して稼ぐことが出来るんだ。今の私達にはうってつけさ」
「……なるほど。各地を巡っていろんな人と出会って、厄介事やらを解決して生活するってところか?」
「流石要くん! 三十路でゲームに命を懸けるだけあるね!」
一言多いんだよ、お前は!
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