『水も滴るいいDEMURE』

 これはまだDEMUREデミュアが「友達」になる前のお話。

 今日のDEMUREは雑誌の撮影。陽の光浴びる屋上で輝くDEMUREを撮ってもらう予定だったが……。


ヒカリ「雨降ってんじゃん。」


れいむ「まぁ、梅雨ですからねぇ。」


佑巴ゆうは「……ついてない。」


「そんなこと言わないでください。小雨ですよ、そのうちやみます。」


カメラマン「そうだよ!いや……よし、雨の中で撮ろう!衣装と変更だ!黒とか藍とか、そういう色の衣装にしよう。この子らの雰囲気にはそっちのが合ってるでしょ!なんかある?」


アシスタント「はい、すぐに用意します!」


れいむ「雨の中撮影ですかぁ。水も滴るいい女、的な?」


ヒカリ「ま、仕事が無くなんないならなんでもいいけど。」


ヒカリさんとれいむさん、会話をしているようで、コミュニケーションを取っていない。佑巴さんに関しては、会話に入る気もあまりないらしい。こんな調子で大丈夫なのだろうか。


アシスタント「これでいかがでしょうか!」


カメラマン「おー!いいじゃんいいじゃん!じゃ、着替えてー」


DEMURE「「はい」」


DEMUREは控え室に戻り、新たに用意された黒いレース生地の衣装に着替えた。


カメラマン「おー、いいじゃんいいじゃん!よく似合ってるよ~!それじゃ、屋上に出ちゃって~!」


私はバスタオルを3枚用意して、撮影を見守った。3人は小雨に打たれながら、ミステリアスな表情で何枚か写真を撮ってもらった。


カメラマン「うんうん!いいんじゃない?素敵だよ~。ちょっと近寄りがたい感じが!」


雑誌の中の見開き1ページに載るのみなので、今回の撮影は終了。


「お疲れ様です。」


れいむ「おわぁ、ありがとうございます。」


DEMUREは体を拭いて、着替えに戻った。


カメラマン「マネちゃん、ちょいちょい。」


「あっ、はい!」


カメラマン「あの子ら、こういう撮影はすっごく映えるね!とても良い!けど、いわゆる『アイドル』ってのは、撮らないつもりなの?そういう方向性?」


「あっ、いえ、そんなことは……」


カメラマン「ほーん」


「すみません、私どもの教育不足で……」


カメラマン「いやいや。あれはあれで味があるんだけど、もうちょっとほら、まぁ……分かると思うけど。頑張れ、マネちゃん。若い子の育成は、簡単じゃないよぉ?」


「はい、ありがとうございます。」


少しづつ開く、DEMUREと他のアイドルの差。私だけの力では、埋められそうにもない。

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