第39話『もういいかい 5』

 イベント終了後、Joyfulenceジョイフルエンスは打ち上げに来ていた。


凛果りんか「女子4人での焼肉、最高だね~!」


奈々なな「たくさんエネルギー使った分、たくさん食べちゃおうね!」


桃莉とうり「ここ、安くて美味しくて最高だもんね。」


千翼ちひろ「もしいつかお金持ちになったら、高いお肉をお腹いっぱい食べたいなぁ。」


凛果「あ~、いいねぇ。」


桃莉「ん……?クラスの子からLINE来てる。Joyfulence……トレンド9位だって……」


凛果「え!?なんで!?」


千翼「さっきの、イベントで……?」


桃莉「ツイッター見てみる。」


奈々「な、何かやらかしたかなぁ……」


桃莉「読むよ。『初めて見たけど、Joyfulence最高だった』『Joyfulence可愛すぎてヤバい』『Joyfulenceもっとたくさんライブやって欲しい』『早く単独ライブやって欲しい!Joyfulenceだけたくさん見たい』『Joyfulenceは人生で一度は見るべきアイドルだよ』『エイチフェス今年は行く気なかったけど話題のJoyfulence見に行きたいな』『開店記念イベント行きたかった、Joyfulenceちゃん見たかった!』『DEMURE推しだけど、うっかりJoyfulenceに流れそうになった』『アイドルのことは詳しくありませんが、今日出ていたJoyfulenceは輝いていました』『Joyfulenceアイドルすぎて目がつぶれた』」


千翼「……」


奈々「……つまり、バズったって、ことだよね……?」


桃莉「『知らない単語がトレンド入りしてるから見てみたら美女4人出てきて草』だって。」


千翼「美女!」


凛果「あはは……」


奈々「凛果ちゃん?」


凛果「……いや、ヤバいなぁと思って。」


桃莉「……うん。」


凛果「めちゃくちゃ嬉しい。泣きそう。」


桃莉「こんなのもある。『なんかめちゃくちゃ話題だけど、Joyfulenceって何?』」


千翼「知らない人もたくさんいるよね。」


桃莉「これに対するリプが『今日の例のボナプラ開店記念イベントに出演していたアイドルですよ!ライブイベントに出演するのは初めてだったみたいですが、会場にいた全員が虜になりました。一度見たら、忘れられません。麻薬アイドルですよ。』だって。」


千翼「麻薬!」


奈々「あっ、マネージャーさんから今日のライブの動画が送られてきてる!」


凛果「お客さんの反応も映ってる?見てみようよ。」


動画を小さな音で流す奈々。そこに映っているのは、いつも鏡で見ている自分たちとは少し違う、輝きを放つ「アイドル」4人と、それに夢中になって満開の笑顔で手を叩く観客ファンの姿だった。


桃莉「私たちじゃない。」


千翼「……だね。」


奈々「お客さんに見られてると思うと、こうなった気がする。」


凛果「そうだね。だってこんな、こんな笑顔で見上げられちゃ、それにこたえるしかないよ。」


桃莉「ねぇ……」


奈々「うん?」


桃莉「アイドル……楽しいね。もっとたくさんライブがしたい。もっと可愛いもっとキラキラなアイドルになりたい。」


千翼「うん!私もだよ!」


凛果「……よし、明日からもっともっとレッスン頑張ろ。私たち、ダンスも歌もまだまだ足りないところがたくさんある。完璧になって、もっともっと多くのお客さんを、幸せにしよ!」

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