第22話『私たち、喧嘩してました。 1』

 今日は#Sweet Angleスイーツエンジェルのデビューシングルのカップリング曲の打ち合わせ。


「それでは、この曲でいきましょうか。」


萌美めぐみ「はい!」


マネージャーのスマホが鳴る。


「あっ、すみません、失礼します。」


マネージャーが部屋を出る。


はる「カップリングって何?」


萌美「あのほら、CDを買った時に2曲入ってたりするでしょ?CDの名前にはなってないけど、CDに入ってる曲。」


遥「あー!あるある!それのことか!」


萌美「う、うん。今まで何の話をしてると思ってたの?」


遥「んー、いや……新しい曲?」


萌美「あぁ、まぁ、間違いではないね……」


遥「それで、この曲に決まったんだよね!」


萌美「うん!」


遥「じぇうぇー……なんだったっけ?」


萌美「ジュエルバルーン、だよ。」


遥「ジェエルバルー?」


萌美「Jewel Balloonジュエルバルーン!宝石の風船っていう意味でね。」


遥「風船!あー、バルン!」


萌美「うん、そうそう。」


遥「えへへ、ごめんねぇバカで。」


萌美「う、ううん。」


佳子かこはそんな様子を黙って見ていた。マネージャーが戻ってくる。


「すみません。」


遥「いいえ!いつも忙しくて、大変だねぇ。」


「いえいえ。それでは、明日から早速『Jewel Balloonジュエルバルーン』の練習が始まります。頑張ってくださいね!」


佳子「はい!ありがとうございます!」


「本日はこれで終了です。お疲れ様でした。」


#Sweets Angel「お疲れ様でした!」


「それでは、また明日。」


#Sweets Angel「さようなら!」


マネージャーが先に帰る。


佳子「私も帰ります。」


遥「うん!ばいばーい!」


萌美「あ、私も帰るね!」


遥「うん!ばいばい!」


萌美「遥ちゃん帰らないの?」


遥「帰るよ!」


萌美「あ、そ、そう。」


遥「なんか変だった……?」


萌美「あ、いや、ううん。」


遥「ふたりはこのあと暇?」


萌美「私は暇だよ。」


佳子「私も用事はありませんよ。」


遥「じゃあさぁ、なんか食べてから帰ろうよ!」


萌美「うん……!」


佳子「あっ、私は……」


遥「忙しい?」


佳子「いや……」


遥「いいよぉ、帰っても。」


佳子「あ、ごめんなさい。」


萌美「ううん。1年生だもんね。」


佳子「はい。すみません。また明日。お疲れ様でした。」


遥「お疲れ様~!」


萌美「お疲れ様!」


佳子が去って行く。


遥「疲れてるのかなぁ。」


萌美「まぁ、最近は毎日レッスンや仕事だもんね。」


遥「そぉだねぇ~!ねぇ、何食べる!?」


萌美「えっと、じゃあ……」


遥「んふふ~」


萌美「あ、パスタ!」


遥「いいね~!そーしよ!」


遥と萌美は近くのファミレスに寄ってパスタを食べて帰った。佳子の胸の奥に、静かに膨らむ「怒り」はどこまで大きくなるのだろうか。

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