第23話『私たち、喧嘩してました。 2』

 翌日、早速#Sweets Angelスイーツエンジェルのカップリング曲の練習が始まった。


ボーカル講師「はい、じゃあちょっと音源に合わせて歌ってみようか。歌詞は見ながらで。」


はる「……」


佳子かこ「どうしたんですか?」


遥「えっ、あ、いや、ううん」


ボーカル講師「大丈夫?」


遥「はい!」


ボーカル講師「よし、じゃあ流すよ~」


手本の音源のを聴きながら、合わせて歌う。しかし、遥はときおり言葉が浮つく。


ボーカル講師「どうしたの、遥。」


遥「あ、いや……えっと……」


萌美めぐみ「何か分からないことでもあった?」


遥「いや……あの……これ……なんて、読むのかなぁ……って……」


遥が指さしたのは「煌めく」の文字。


バンッ!!


突然、佳子が机を叩いて立ち上がった。


佳子「どうしてそんなことも分からないんですか!?」


遥「え、いや……」


佳子「どうして昨日のうちに調べておかないんですか!?」


遥「知らない漢字をどうやって調べるのよ」


佳子「そんなの、自分で考えてください。ガッカリしました。……もううんざりです。」


遥「え、なんで?私が馬鹿だから?」


佳子「そうですよ。」


萌美「ち、ちょっと」


遥「私だって、好きで馬鹿をやってるわけじゃないよ……!分かんないもんは、分かんないよ、覚えられないもんは覚えられないよ……!!」


佳子「そんな中途半端な気持ちならアイドルやめてください!」


遥「中途半端じゃない!佳子ちゃんは馬鹿じゃないから私の気持ちなんか分かんないよ!」


佳子「でも遥ちゃんはスイエンが結成された時からずっとこうです……!分からないことを分かろうとしない!逃げてるだけです!」


遥「うるさい!!」


ボーカル講師「やめなさい!!」


講師の声が轟く。ふたりの間に座る萌美は、耳を塞いで震えていた。


ボーカル講師「みっともない!」


遥「……」


佳子「……すみません。」


ボーカル講師「今日はもうレッスンは終わり。帰って頭を冷やしなさい。」


佳子「で、でも……」


ボーカル講師「いいから。」


遥「……」


萌美が椅子から立ち上がって、カバンを持つ。


萌美「……お疲れ様でした。」


ボーカル講師「うん、お疲れ様。」


佳子「あっ、萌美ちゃん……」


遥「……」


ボーカル講師「ふたりも帰りなさい。最近、前より忙しくてストレス溜まってるんじゃないの。」


佳子は静かに帰っていった。


遥「……あの、知らない漢字はどうやって調べたらいいんですか……?」


ボーカル講師「うーん……あ、手書き検索は!?」


遥「手書き検索……?」


遥は講師と漢字を調べてから帰った。

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