第20話『Candy Rainであると決めた日 3』
苺「緊張します。」
笑海「そればっかりじゃん!」
苺「緊張するんですもん。」
笑海「まぁ、する、するよね、ドキドキしてる。」
スタッフ「Candy Rainの皆さん、そろそろお願いします!」
笑海「はい!綾さん、行こっか。」
綾「うん」
苺「大丈夫ですか……?」
綾「うん」
綾さんが不安そうな瞳で
スタッフ「それじゃあ先に歌の収録から行きますね。」
苺「はい!」
それぞれの位置につき、曲が始まる。苺さんが心配していた高音も問題なさそうだった。笑海さんも指先まで心がこもっている。練習の成果が出ていた。綾さんは精一杯、覚えたフリと歌割りを思い出しながらなので、表情に華がなかった。綾さんの良さが出ていなかった。胸が痛む。綾さんは何箇所かフリもミスしてしまった。
スタッフ1「はいカット!
綾「いえ……すみません。もう一度、やらせてください。」
スタッフ1「やりますか?」
スタッフ2「まぁ、やりましょうか。」
2度目の収録は、1度目よりは上手くいっていた。でも、綾さんの瞳は全く楽しそうじゃなかった。事務所の意向で綾さんのモデルの仕事をたくさん取ってきたことに罪悪感さえ感じてしまった。
スタッフ「それじゃあ次、コメントの収録いきますねー」
笑海「綾さん大丈夫?」
綾「うん。ごめんなさい。」
スタッフ「そっちのセットですー」
笑海「はい!」
スタッフ「それではいきます!5、4、3……」
苺「皆さんこんにちは!」
Candy Rain「Candy Rainです!」
笑海「今回、私たちのデビュー曲『Candy Rain』を披露させていただくことになりました!」
苺「皆さんにお届けできるのが嬉しいです。」
笑海「嬉しいねぇ」
綾「はい。今回はユニット名と曲名『Candy Rain』にちなんで、飴や雨の思い出話をしたいと思います!」
笑海「飴や雨の思い出話って何ー!」
苺「綾さんあります?」
綾「んー、じゃあね、アメの話。」
笑海「どっち?」
綾「っふふ、食べる方の。」
苺「雨ですね。」
笑海「雨、食べるの!?」
綾「あはは」
苺「ちなみに、今日は雨です!」
笑海「お~」
綾「ふふっ、以上」
Candy Rain「Candy Rainでした!」
スタッフ1「はいカットー!いいんじゃないですか?和やかな感じで。」
スタッフ2「自然体だったね。OKです!」
Candy Rain「ありがとうございました!」
その時、綾さんがポロポロと涙を落とし始めた。
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