第6話『ラフターツインズ!!』

 今日はアーティスト写真撮影のラフターツインズ!!のお迎え。大阪から出てきて、今は2人で暮らしている。エントランスで部屋番号を入れて呼び出すと、銀杏さんの声が聞こえてきた。


「おはようございます。」


銀杏いちょう「うわ!おはようございます!開けるので、上がってきてください!雨鐘あかね!早く!」


大丈夫かな……。エレベーターに乗り、302号室へ。


「おはようございます~」


銀杏「はい!今すぐ出ます!」


「まだ少しゆっくりで大丈夫ですよ!ドアの前で待ってますね~」


銀杏「はいー!」


雨鐘「私のアイロンどこー!?」


銀杏「知らんわ!」


数十秒後、2人が家から出てきた。


銀杏「すみません、遅くなりました。」


「いえ。少し早く来すぎたかもしれません。」


雨鐘「すみません、ひぃ、疲れた」


銀杏「もう疲れてどうすんの。今から仕事なんだからね。」


雨鐘「はいぃ、頑張りますぅ」


「銀杏さんがお姉さんみたいですね。」


雨鐘「そうなんだよ~!」


銀杏「いやいや、いざというときはお姉ちゃんしてくれるじゃん。」


雨鐘「……うん、へへ、そうだね~」


「どうしました?」


雨鐘「う、ううん!なんでもないです!」


「車です、どうぞ。」


銀杏「うわぁ、夢みたい。マネージャーさんが迎えに来てくれるって。ね、雨鐘。」


雨鐘「う、うん!」


何か違和感があるな……。


「出発しますね。」


雨鐘「お腹空いた~」


銀杏「雨鐘が早起きしないのが悪いんでしょ。撮影終わるまで我慢しなさい。」


雨鐘「はーい」


銀杏「雨鐘、本格的にアイドルになってきたんだからさぁ、自覚してよね?学校行事みたいなノリじゃダメだからね?」


雨鐘「分かってるよぉ」


あ、違和感の正体が分かった。


「標準語なんですね、今日は。」


雨鐘「あ!気付いた!?銀杏が、アイドルは関西弁は話さないって。だから、テレビとか見て一生懸命練習したんですよ!どう?」


「方言は立派な個性だと思っていましたけど……」


雨鐘「あ、ほらぁ」


銀杏「えー……だって、恥ずかしいじゃん。」


雨鐘「恥ずかしい……?そうかなぁ。私は好きやけどなぁ……」


銀杏「マネージャーさんは、方言を話してる方がいいと思いますか?」


「うーん……そうですね。他とは違う個性は大切にした方がいいと思いますよ。」


雨鐘「ほらぁ」


銀杏「えー……うーん……」


「あくまでもさっきのは私の意見ですので、2人で決めてくださいね。」


雨鐘「私は標準語話すの苦手~!ややこしいもん、間違うてまいそう」


銀杏「私は標準語がいい。かっこいいし。」


雨鐘「関西弁に誇りはあらへんの……?」


銀杏「そりゃ、好きだけど……。プライベートで話せばいいじゃん。」


雨鐘「えー、うーん……」


姉妹だからこそ、こうやって意見が食い違うことも多そうだな。しっかりサポートしないと。

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