第5話『ARC-EN-CIEL』

 今日はARC-EN-CIELアルカンシエルのボーカルレッスンへ差し入れを持って行く。休憩のタイミングを見計らってスタジオに入る。


洸夏こうか「マネージャーさんじゃーん!」


「お疲れ様です。」


天音あまね「お疲れ様です!」


奏那そな「お疲れ様です!どうしたんですか?」


「差し入れを。」


瑚橙こと「差し入れ……!」


明結あゆ「わざわざすみません!ありがとうございます!」


「いえいえ。どうぞ、喉に優しい紅茶です。」


咲希さき「美味しそう~!」


奏那「ありがとうございます!」


あい「い、頂いてもいいですか?」


「どうぞ。」


藍「ありがとうございます……!」


咲希「あ~、疲れたねぇ」


洸夏「でも今日、咲希ちゃん調子良くない?」


瑚橙「良い。」


咲希「そうかなぁ。」


奏那「あー、私ももっと頑張んないとなー!」


洸夏「あんまり肩に力が入りすぎても良くないんじゃな~い?」


奏那「あー、うん、よく言われる、それ。ミュージカルの時も言われてたもん。」


天音「でも、気合が入っちゃうよね……」


奏那「うん、そうなんだよぉ……」


瑚橙「そういうときは、甘いものを食べるといいよ。はい、どら焼き。」


奏那「え~!ありがとう~!」


天音「あっ、食べたい!」


瑚橙「藍ちゃんも食べる?」


藍「えっ、あ、食べたい……!」


洸夏「クッキーとかは無いの~?」


明結「ち、ちょっと、一応、練習中だからね?」


咲希「わ~かってるって!明結も食べな~?糖分補給は大事!ね!」


明結「あ、う、うん……」


この緩さ加減がARC-EN-CIELのよさであり、欠点でもあるだろう。


咲希「ま~、でも、自信無くすのは分かるわぁ。」


洸夏「まぁね?」


明結「上手くできた、のラインが分からないよね。」


奏那「そうなんだよねー!正解がないっていうのが一番怖い。」


藍「でも……一番面白い。だよね……?」


天音「うぅ、そうなんだよねぇ……」


奏那「そうなんだよ!」


咲希「瑚橙もその面白さ、分かるの?」


瑚橙「……まだ分からない。でも、こうやってみんなと話してるのが……楽しい。」


洸夏「あー、キュン。」


咲希「今のはキュンとした。」


瑚橙「え、えぇ……?」


藍「わ、私も、アルカンのみんなといると、楽しいな……」


天音「キュン。」


瑚橙「私もキュンした。」


奏那「そろそろ休憩終わるからね~」


咲希「はーい!」


洸夏「あー!2回学校に来てる気分!」


天音「分かる!教室みたいだよね、アルカン!」


奏那「ふふ、うん、分かる。」


このワチャワチャ感が良い方へ転がるように、私は祈った。そして、アルカンの良さを一番引き出せる売り出し方は何か、改めて考えようと思った。

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