第3話『HONEY*SCENT』
仕事帰りに
「お疲れ様です!」
HONEY*SCENTはエイチフェス出演決定から始まったレッスンを難なくこなし、今のところ一番「才能」を感じさせているようにも思える。結成は
「今日のレッスンも順調でしたか?」
香織「うーん……あんまりだったかも。褒められなかったもん。」
蜜弥「違うよぉ、あれはね、言うことなし、の顔だよぉ?」
香織「なんで分かるの?」
蜜弥「だって宮下先生は、下手っぴだと思ったら言うもん!」
香織「うーん……けどさぁ、それって、下手っぴではないけど上手くもないって思ったってことかもしれないじゃん?」
蜜弥「うーん……たしかにぃ……」
香織「蜜弥ちゃんは、こんなにいつもぼんやりしてるのに、ちゃんとやっちゃうなんてずるいなぁ。」
「蜜弥さん、毎日やっている練習などはあるんですか?」
蜜弥「んー……お風呂で歌ってるよ!あとねぇ、ダンスは忘れちゃうかもって思って、寝る前に鏡の前で練習してるよぉ。」
香織「……そっかぁ。香織も、もっと頑張らなきゃ!負けたくないもん!」
蜜弥「ライバルは、みやじゃないよぉ」
香織「えっ、誰?」
蜜弥「昨日のかおりちゃん!なのです!」
香織「ん~!蜜弥ちゃんはかっこいいなぁ~!!」
「素敵な考え方ですね。」
香織「マネージャーさん、このあともう帰るの?」
「はい。」
蜜弥「このあと、2人でスタバ~に行くんですけどねぇ、一緒にどうですか?」
「え!いやいや、そんな」
香織「行こうよ~♡」
香織さんの上目遣いに心が揺らぐ。さすがは姉1人、兄2人にたくさん愛されて育っただけはある。
蜜弥「行きましょ~!ごーごー!」
2人が私の手を引く。
「い、行きます行きます!」
香織「やったー!」
蜜弥「私はクリームがたくさん乗ってるのにするんですよぉ~」
香織「私は新しいの!新作はぜーんぶ試したいの!」
「あはは、分かります。」
HONEY*SCENTと居ると癒される。講師の方でさえも、この間そう言っていた。本当にその通りだ。この癒しオーラは、きっとライブで舞台の上からでもファンの方に伝わる。いや、動画やSNSからですら伝わるかもしれない。
香織「もっともっと人気者になりたいなぁ~!」
蜜弥「なんでぇ?」
香織「だって、たくさんの人に、香織ちゃんかわいい!HONEY*SCENTかわいい!って、言ってもらいたいもん!」
蜜弥さんが目を細めて、香織さんの頭を撫でた。その純粋な好奇心が、一番の武器なのかもしれない。HONEY*SCENTのふたりを見て、そう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます