第1話『Joyfulence』

 今日はJoyfulenceジョイフルエンスのレッスンに差し入れを持って行く。スマイリープロダクションに就職して、約半年。まだまだ新人なのに、合わせて12のユニットのマネージャーを担当することになるとは。しかも、エイチフェスに出演する期待の新人ばかり。期待されているということで良いのだろうか。


「お疲れ様です!」


凛果りんか「お疲れ様です!」


千翼ちひろ「今ちょうど休憩に入ったところだよ!」


「そうだったんですね。ちょうどよかったです。差し入れを持ってきました。」


桃莉とうり「へー、マネージャーってそんなこともしてくれるんだ。」


奈々なな「マネージャーさんがつくの、初めてだもんね!」


Joyfulenceは結成からまだ1年にも満たない新しいユニット。マネージャー任命の数日前に渡された資料に書いてあった情報だ。


凛果「ほら、ちゃんと汗を拭かないと。」


桃莉「ん~」


凛果さんが桃莉さんの汗を拭く。


奈々「すみませんねぇ、うちの桃莉が。」


凛果「あはは」


千翼「桃莉ちゃんと奈々ちゃんは本当に仲がいいよね!」


「そうですね。中学校から一緒でしたっけ?」


桃莉「うん。」


凛果「奈々ちゃんの控えめさを、桃莉ちゃんの奔放さをお互いにカバーし合ってる感じだよね~。」


桃莉「奈々は『控えめ』なのに私は『奔放』!?失礼じゃない!?」


凛果「あはは、ごめんごめん」


千翼「じゃあ……『裏表がない』とかどうかな!」


桃莉「……悪くないねぇ」


奈々「ニヤニヤしないのぉ~」


Joyfulenceは仲が良さげで、人間関係は心配なさそうだ。


「あ、差し入れはゼリー飲料です。どうぞ。」


千翼「おー!これ好きだよ!ありがとう!」


凛果「やったやったー!ありがとうございます!」


「Joyfulenceの皆さんは、仲も良くてハキハキ明るくて、各キャラも立っていて、とても良いですね。」


桃莉「うん、みんな優しくて、やりやすい。」


凛果「ねー!」


でも、まだアイドルとしては半人前ってところかな。事務所はどうしてこの4人を今年のエイチフェスに出そうと思ったんだろう。


ダンス講師「レッスン再開するわよ~」


Joyfulence「はい!」


少しレッスンの様子を見学させてもらおう。


ダンス講師「千翼、指先まで意識して!」


千翼「はい!」


ダンス講師「奈々、自信持って、前向きなさい!」


奈々「はい……!」


ダンス講師「OK。だいぶ良くなってきてるわ。」


凛果「あの、間奏の私と大場の立ち位置、逆にしてみてもいいですか?」


千翼「あ、私もそれは思った。」


桃莉「なんで?」


奈々「身長的に……?その方が、バランスが取れる、かも。」


凛果「そう思う。」


奈々「で、でも、私が前で……大丈夫かな。」


桃莉「奈々はもっと自信持った方がいいよ。」


千翼「自信を持つのが上手く見える鍵かもしれないね!」


凛果「うん!直前で私が下がるから、奈々ちゃんが前に上がってきてみて。どうですか?」


ダンス講師「そうね、それでやってみて。」


Joyfulence「はい!」


……あぁ、そうか。こういうところかもしれない。Joyfulenceはただ「仲良し」なだけじゃないんだ。

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