第21話 スク水とブルマと欲望解放
「で、どうして私がスク水なんですか!!!」
ミリアに言われるがまま、渡されたスク水を着たはいいものの、直後に冷静になったのだろう。
赤面しながら脱いだ制服で体のラインを隠す赤髪サイドテールの小悪魔的美少女。
そんな千尋を満足げな眼差しを向ける一人の銀髪美人。
「需要と供給を考えた結果よ。恨むなら、昨日の質問メールに真面目に答えなかった自分を恨むんだね、小悪魔ちゃん」
ミリアはそう言って千尋から制服を取り上げる。
そして現れる、一枚の群青色のゴム生地に包まれた慎ましやかな胸とお尻。
千尋は慌ててミリアから制服を取り返そうとするも、呆気なく避けられる。
それどころか、ミリアが数馬の後ろに隠れた事で実質的に、男子生徒にスク水姿を自ら晒す事になったのだからそれはもう、大変だ。
「何が需要と供給ですか! 私なんかのスク水姿に需要なんて無いですよ!! それに私はちゃんと答えましたよね、『どっちも嫌です』って! 」
そう言って、羞恥で顔を真っ赤にさせながら怒りを露わにさせる千尋。
だが、ミリアはそんな事では響かない。
むしろ、千尋が今気をつけるべきなのはミリアでは無く───
「だからそれが答えてないって事。それに需要はあるわよ。その証拠にほら、チビ助くんが無意識にカメラを構えて固まってる」
千尋がスク水姿で現れてから、一言も発さずただただ無言で佇んでいた数馬なのだから。
「……先輩、何してるんですか」
「いや、えっとこれは……なんか、反射的に……」
「まぁ別にいいんですけどね」
「なんかごめん……」
途端に冷ややかな目を向けてくる後輩に、申し訳なさそうに謝罪する数馬。
それでもカメラを構えるのはやめないのは、男としての本能なのだろう。
学年中の男子を虜にしてしまうほどの美少女のスク水姿を前にシャッターを切っていないだけ、よく我慢できている方だ。褒めてしかるべき忍耐力である。
が、千尋本人としては自分の方にカメラを向けられるのは我慢ならないようだった。
「でも、私なんかより部長の方を取った方がいいんじゃないですか? ブルマですよ、ブルマ。スク水なんかより、そっちの方に意識を向けるといいですよ!」
「と、いう事らしいわよ? どうかしら、ちゃんと似合っているかしら?」
千尋直々に指名を貰ったミリアは、数馬の前に出ると、いつの間にか着替えていた体操服姿でお尻と太ももを強調させるような姿勢を取る。もちろん、下はハーフパンツでは無く、ブルマだ。
眼前に広がる魅惑の光景。
小生意気な後輩はスク水姿で身を縮ませ、マイペースな先輩は自慢のボディーを見せつけるようにお尻を突き出しているのだから、眼福ものである。
欲望に素直な男子生徒なら間違いなく、暴走してしまうだろう。
だが、この男はそうではなかった。
「小鳥遊も宮内先輩もどっちも似合ってると思いますよ? 思いますけど、その視線のやり場が……」
そう言って、数馬は耳を赤くさせながら二人から目を逸らす。
あからさまに恥ずかしそうな数馬の様子に、ミリアは大層ご満悦な笑顔を浮かべる。
「別にそんなこと気にしなくてもいいのに。私は見られて恥ずかしいところなんてないもの」
「あの、私は恥ずかしいので気にして欲しいです……」
ご機嫌なミリアに反して、羞恥心を隠せずにいる千尋。
普段はグイグイ文句を言う千尋とは真逆である。
そんな千尋の様子をミリアは臆することは無かった。
「もう。小悪魔ちゃんはわがままだなぁ。たまには部長である私のわがままも聞いてくれてもいいじゃない」
「部長のはわがままというより命令じゃないですか!!」
「と、小悪魔ちゃんがツンデレってるわけだけど、気にしないでいいからね」
「誰がツンデレですか! って、無視しないで下さいよ!!」
後ろでぎゃいぎゃい叫ぶ千尋を無視して、一歩また一歩と数馬に再び近く。
今度は体を隠す為ではなく───
「キミは剣道ちゃんとしてたみたいにただただ欲望に身を任せちゃってイイからね」
千尋に聞こえないような小さな声で、数馬の耳元で劣情を煽る為に。
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