第13話 カカドゥツアー

28時間の長距離バスでなんとかダーウィンに到着。


着いた頃には日も暮れていて、目星をつけていたユースホステルにチェックイン。


明日は早速朝から念願のカカドゥ国立へのツアーに参加だ。


次の目的地インドネシアへのフライトチケットを日本でとってきている私は、時間に制限がある。


ここからフライトの日程まで約1週間。


ツアーの日程もそれを含めてかなりパツパツになっている。

無駄な時間を過ごすわけにはいかない。


そんな理由から、このカカドゥのツアーもパースですでに予約済だ。


とりあえず無事に到着できて良かった。


すこしでも遅延などのトラブルがあると、こうはいかない。先進国であるオーストラリアの交通は、思ったよりも安全だ。


軽い夕食をとった後は、早朝の出発に備える。

ツアーの玄関口であるここダーウィンの街は、ツアー目当ての観光客がほとんどだ。

街は赤道に近いこともあり、熱帯の空気が色濃い。

パースと比べると雰囲気は全く違う。


ユースのドミトリーで疲れた体を休めた早朝、ツアーの集合場所へ。


ここから2泊3日のツアーを共にする参加者と顔合わせ。

どうやら日本人は私だけ。

あとは中国人と欧米人。10人近いメンバーに、コンダクターのリーダーは、バーニーという地元のオージー。


マイクロバスに乗り込み、いよいよ出発。


まずは、有名なクロコダイルの餌付けだ。

カカドゥといえばこれというぐらいの代名詞。

ボートから川に向かってエサのついた竿を垂らしていると、川の中からワニが飛びあがってそのエサを食らうアトラクションのようだ。


「すごい!」

テレビでしか見たことないようなクロコダイルが、水面下からいきなり獲物を狩るそのさまは迫力満点!


と思ったのもつかの間、しばらくすると、見飽きてしまった。


というのも、ワニに野生感はなく、水族館などでやっているイルカの餌付けとあまり変わらないように思えてきたのだ。

それほど、ワニも慣れているのだろう。


ニシキヘビを首に巻き付けたり(私は怖くてしなかった)、カカドゥならではの野生イベントが目白押し。


昼食をとりながら他のメンバーとも少しずつ会話をする。

どうやらみんな英語圏のメンバーはおらず、フランス、ドイツ、中国からの参加のようだ。


そして、ここカカドゥが地元、アボリジニのロックアートを見に行く。


このアートを通じ、言葉を超えたコミュニケーションをとってきた彼らの文化を学んだが、それは私の想像をはるかに超えるものだった。


長年もの間、この広大な荒野でどうやって生活してきたのか??


原住民の偉大さを感じた。


そして私たち一行は本日の野営となる場所へ移動。

ちょうどサンセットの時間と重なり、素晴らしい景色が辺りに広がる。


こんな夕陽を見たことがない。とにかく大きいのだ。


辺りはその夕陽の大きさに塗りつぶされるように、濃いオレンジ色に染まっていく。


大自然のなか、様々な動物の声や木々の揺れる音、水の流れる音、すべてがまとまったような、壮大な景色だった。


ついにオーストラリアの最終地に来たという実感に浸りながら、できるだけその景色を目に焼き付けようとした。


夜はその大自然でバーベキュー。

最高にうまい。


が、みんなは連れ同士で来ているので、なかなかその輪に入っていけない。


言葉の壁をまたもや感じる。この消極的な性格はもはやすぐに直るものではない。


食事後は、オーストラリアならではのデジュリドゥの演奏会。


民族楽器で、アボリジニの人たちの楽器だ。

街を歩いていてもお土産屋などには絶対においてある。

ストリートでこのパフォーマンスを見る事も多い。


長い木に空洞があり、吹くことで独特の音が出る代物だが、これがただ単に吹くだけではもちろん音は出ない。

相当な肺活量に加え、テクニックがいるのである。


はじめに見本を見せてくれたガイドのバーニーはさすがに慣れているのか、これぞという音を聞かせてくれる。


その後順番に回していきチャレンジしていくが、そう簡単にうまくいくわけもない。

私に至っては、すかしっぺのような、スースーとした情けない音しか出なかった。


そんなこんなで夜も更け、そろそろ寝る時間に。

朝早くからの集合にみんな疲れもある。満足した心地いい疲れだ。

そして、ブッシュに張ったテントにそれぞれ入っていく。


見上げた夜空は言い表せないぐらいの満点の星でいっぱいだった。






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