127話 子どもシミュレーター使用中(続あや子&紬希)
「——違うの……話を聞いてちょうだい紬希……私と貴女の愛の結晶って事実と、そのあまりの愛おしさに魔が差しただけなの……決してロリだから興奮したとか愛娘に手を出そうとしたとかそういうアレじゃないの…………だからお願い……チャンスをください……私からその天使を奪わないでください……」
「知りません。どこに出しても恥ずかしくない立派なお母さんになってから出直しなさいあや子ちゃん」
『ままー?どうしておかあさんはしばられてるのー?』
「あや子お母さんは縛られるのが大好きだからだよ。あなたはあんな風に成長したらダメだからねー」
「お願い紬希!?謝るからせめて子どもに変な事教えないでぇ!?」
案の定暴走したあや子を琴ちゃんと二人がかりで捕縛して、紬希さんの前にお供えする私。紬希さんは娘ちゃんを抱っこしながら縛られたあや子を冷ややかな目で眺めていた。仮に二人に子どもが出来たとしたら、子どもが大きくなるまであや子を隔離した方が良さそうだよね。
「紬希さんが怒るのも無理ないでしょロリコン。絶対欲情しないとか抜かしてたけど、やっぱ私の言った通りじゃんか。自分の娘に手を出すとかマジで引くわー」
「う、うっさい小絃!あ、あれは単純に母性本能が爆発しただけよ!そもそも実際に手を出したわけじゃないわ!未遂だからセーフよ!?」
「無理矢理風呂に連れ込もうと紬希さんと娘ちゃんの服引っぺがして半裸にしておいて未遂……?」
こいつの考えるアウトセーフの基準がわからん……知りたくもないけど。
「だ、だいたい卑怯(?)よ!幼稚園児くらいの子どもがシミュレーターのベースとか私特効すぎるでしょ!?世界一可愛い紬希と、その紬希との可愛い子どもが並んで私を誘っているのよ!?据え膳食わぬは女の恥じゃない!?」
「こいつとうとう開き直りやがった」
「……あや子ちゃん。そもそも私誘った覚えはないんだけど?」
「と、とにかくよ!も、もうちょっと成長した状態なら私だって普通に接してあげられたわ!」
「あ、それでしたらあや子さん。お義母さんに頼んでもう少し子どもの年齢を上げて貰ってから再挑戦してみてはどうですか?」
「「「え?」」」
と、あや子の呆れた言い訳を紬希さんと共に聞き流していたところで。琴ちゃんがそんな提案をしてくれる。
「お義母さん、確かお姉ちゃんに言ってましたよね。シミュレートする子どもの年齢を下げることも上げることも出来るって」
「そうね。自由に年齢操作出来るわよー」
「ありがとうございます。……というわけですから。年齢を上げて成長したあや子さんと紬希ちゃんの子どもをシミュレートすれば……あや子さんも自分の子どもに欲情しないのではないでしょう?」
「な、なるほど。流石琴ちゃんだねあったまいい!私も成長したあや子ちゃんとの子どもの姿に興味あるし……それにこれならいくらなんでもあや子ちゃんだって自分の子どもを変な目で見たりしないから大丈夫だよね!」
「え……?成長させるの?それちょっと勿体なくない?」
「…………あや子ちゃん?」
「何でもありません……ッ!」
本音がポロリと口から出て紬希さんに睨まれているあや子のアホは置いておくとして。確かに琴ちゃんの提案は普通に考えたら悪くはないと私も思う。
……思うんだけど。
「うーん……あや子と紬希さんの子どもが成長した姿ねぇ……」
「小絃お姉ちゃんどうかした?もしかして私の案、ダメだった?」
「ううん、ダメだなんてそんな事はないよ琴ちゃん。でも……今回に限って言えば一つ問題がありそうな気がしてさ」
「問題?」
はてさてどっちに似るのか……これがあや子に似るならまだいいさ。けどもし逆パターンの場合は……大丈夫か……?
「そんじゃ今度は紬希ちゃんと同い年くらいまで成長した二人の子どもをシミュレートしてみましょうか」
「は、はい!よろしくお願いします小絃さんのお母さん」
「うーん……私としてはそのままが良い…………コホン、そのままでも良いんだけど。ま、まあいいか……私と紬希の子どもだものね……きっとどんな子でも愛してあげられるわ……」
私のそんな懸念をよそに。母さんは改めてシミュレーターを起動し始める。
「ね、お姉ちゃん。お姉ちゃんが言ってた一つ問題がありそうってどういうことかな?」
「ああ、アレ?別に大した事じゃないんだけどさ。もしも成長したあや子と紬希さんの子どもが……あや子みたいなデカ女に成長するなら多分あや子も平気だと思うんだ。でもさ……」
「うん」
「でももし二人の子どもが……紬希さんに似ちゃったら……あや子がヤバい事にならないかなーって」
「…………あ」
そこまで口にしたところで察しの良い琴ちゃんは私が何を気にしているのか分かってくれたらしい。と、同時にシミュレーターから人影が現れた。
現れた二人の子どもは、幸か不幸かアホのあや子に似ず紬希さんにそっくりだった。利発そうで、優しそうで、可愛らしくて。そして……
「ひゃっはぁあああああああああああ!!!私の嫁と娘は世界一ぃいいいいいいいいい!!!」
『ちょ……お母さん何するの……!?や、やめてよ私たち親子なのに……せ、せめてママのいないところで……』
「こ、こらぁあや子ちゃん!?さ、さては一切反省してな——や、やだぁ……ど、どこ触って……せ、せめて娘には手を出さないで……」
そして……紬希さんに似て、とってもちっちゃかった……
◇ ◇ ◇
「——魔が差しただけです……もうしませんので……別居だけは……どうか別居だけは勘弁してください……あとついでにこの拷問もやめてください地味にキツいんです……」
「も、もうホントにあや子ちゃんなんて知りませんっ!今日一日は私たちと接触禁止ですっ!一晩石でも抱いて寝てなさい!」
『ままー?それにおねーちゃん?どーしておかあさんはおひざにいしをのっけてるのー?いたくないのー?』
『大丈夫、お母さんはああいう事をされると嬉しいんだってさ。ほら、お姉ちゃんと一緒にお母さんのお膝に石を置こうねー』
『はーい!』
紬希さん似の合法ロリ実娘の出現に、終身不名誉ロリコン女は案の定大興奮。説明するのも憚れるちょっと描写出来ないようなアレコレをやらかしやがったあや子。
とりあえず追い麻酔銃を琴ちゃんと共に撃ち込んであや子を沈めてから再度縄で縛り。ついでに石抱という昔の拷問を使いあや子をオシオキしておいた。これで少しは反省してくれると良いんだけど……あんな小さくて可愛い三人に拷問されるのはある意味あや子にとってはご褒美にならないかちょいと不安だわ。
「琴ちゃん、それに小絃さん。うちのあや子ちゃんが二度もお見苦しいところを見せたばかりか……お二人にお手数おかけする事になっちゃって本当にすみません……」
「ううん、こっちこそごめんね紬希ちゃん。私が余計な事言ったから……」
「謝らないで下さい紬希さん。私ももしかしたらこうなるかもって懸念はしてたんですが、止められなくて申し訳ないです」
「い、いえ!?琴ちゃんも小絃さんもお気になさらず!?わ、悪いのはあや子ちゃんなので!?」
娘ちゃんたちが諸悪の根源であるあや子の膝に石畳を積んでいるのを微笑ましく眺めながら、そんなやり取りをする私たち。いやはや……ホントに紬希さんは大変だよね。あんな変態の面倒を毎日みてるんだし。
「それにしても……残念です。私もお二人みたいに普通にあや子ちゃんと自分の子どもを愛でたかったんですが……」
そう言ってあや子の魔の手が伸びないようにと、琴ちゃんのお父さんお母さんに預けておいた私と琴ちゃんの子どもを見つめる紬希さん。
『じいじ!ばあば!もっとあそんでー!』
『よーしよし。それじゃあじいじが高い高いしてあげよう』
『ズルいわお父さん、私も遊ばせてくださいな』
「…………いいなぁ」
楽しそうに遊んでいる三人を眺めて、心の底から羨ましそうに紬希さんはそう呟く。恐らく紬希さんの理想はあんな風に自分とあや子と娘さんの三人と家族団らんな時を過ごすことだったのだろう。まあ、そのささやかで素敵な夢はアホロリコン女のせいで儚く潰える事になったわけだけど。
つくづく紬希さんが不憫でならないぜ……何か良い方法とか無いものかなぁ……
「うぅ……やっぱり私の遺伝子を受け継いだら……その子どもがちっちゃくなるのは自明の理でしたね……せめて子どもがあや子ちゃんの遺伝子を受け継いで……おっきな子に育ってくれたらあや子ちゃんも興奮したりしなかったでしょうに……」
「そ、そうだ紬希さん!そういう事なら受け継ぐ遺伝子をあや子寄りの子どもにしてみたらどうでしょうか!?」
「へ……?あや子ちゃん寄りの……子ども……?」
散々な目に逢っている紬希さんをどうにか助けてあげたい。そう思い足りない頭を回してふととある事に思い至る私。これなら……もしかしたら上手くいくかも。
「そうです。思い返してみて下さい。さっき出た紬希さんの娘ちゃんって、明らかに紬希さんの遺伝子を色濃く受け継いでたじゃないですか」
「え、ええ……そうでしたが……それがどうかしましたか小絃さん?」
「だったら逆に考えるんです。子どもがあや子の遺伝子を色濃く受け継げば……」
「……ハッ!?あ、あや子ちゃんみたいにちゃんと大きくなって……ちっちゃい子じゃなくなればあや子ちゃんも自分の娘に……興奮しない……?」
「その通りです。母さん、一応聞くけど……そういうの出来る?」
「どちらかの遺伝子に偏らせるって事?もち、出来るに決まってるでしょ。あたしを誰だと思ってんのよ小絃」
「ということらしいです。どうですか紬希さん?ダメ元で試してみては如何でしょう?」
「ぜ、是非ともお願いします……!」
念のため母さんに確認してみると問題無いと回答を得る。迷うことなく紬希さんは母さんに三度目の正直にとシミュレートをお願いしていた。
「自分そっくりに成長したら、ロリコンのあや子も自分の娘に性的興奮を覚える事もなくなるよね。後は上手くあや子に似た子どもがシミュレート出来れば良いんだけど……」
「……ねえお姉ちゃん。それって大丈夫?」
と、母さんが改めて二人の子どもの元となるデータを入力しているところを見守っていると。琴ちゃんが心配そうな顔で私にそう問いかけてきた。
「まあ、琴ちゃんの不安も分かるけどあくまでダメ元だし。念には念を入れてしっかりあや子は拘束しておくし、麻酔銃も余裕を持って準備しておいたから大丈夫でしょ。紬希さんの遺伝子情報が強すぎてまたちっちゃな子が生まれるような事があればお手上げだけど——」
なんて、私が口にしている途中で琴ちゃんは被りを入れてこう返す。
「ううん、そっちじゃなくてね。寧ろそれってさ……成功した方が危なくないかな?」
「え?なんで?」
「だって……あや子さんの特徴を色濃く受け継いだ子どもって事は……」
「…………あ」
その琴ちゃんの一言で、自分のやらかしにようやく気づいてしまう私。し、しまった……あや子寄りの子どもって事は……
そう私が理解したのとほぼ同時に。シミュレートが終了して装置からあや子寄りの子どもが誕生してしまう。その子どもは不幸なことにあや子に大変よく似て……無駄に美形で、妙に背丈が大きくて……そして。
『ごきげんようママ。いつ見てもママは愛らしいね。そんなママが私は大好きだよ』
「へっ……あ、ああうん……ありがと……」
『ああ、本当に大好きだよママ……愛していると言ってもいい』
「そ、そう……?あ、あはは……嬉しいけどそうハッキリ言われると恥ずかしいかも」
『そのいくつになっても色あせることのない愛らしい顔立ち、奇跡のバランスを保っているミニマム体型、慎ましい小さな胸……本当に大好きだ……愛しているよママ…………一人の女として』
そして…………あや子の最大の特徴であるロリコン遺伝子を、そのまま受け継いでしまっていた……
「え、ええっ!?な、何を言って…………って、な、何してんの!?な、なんでママの服脱がせて……あ、だめ……あや子ちゃんが見てるのに……っ」
「ちょっと待ちなさいそこの駄娘ェ!!!?」
壁ドンしながらあや子顔負けの気持ち悪い口説き文句を囁きつつ。大胆に紬希さんの服を脱がしにかかるあや子成分たっぷりのあや子たちの娘。寝取られの危機を感じたあや子はあれだけ雁字搦めに縛っておいたのに無理矢理その縄を引き千切ってインターセプトし娘と対峙する。
「ママに……うちの紬希に目を付けるとは良い趣味してると言いたいところだけど……それとこれとは話は別よ!?紬希になにしようとすんのよ!?」
『ハハッ!残念だが母さんはもう年じゃないか。ママも私のような若い娘に言い寄られた方が嬉しいだろう?ママは責任をもって私が愛してあげるから、母さんはそこで指をくわえて見てるが良いさ』
「アァン!?我が娘ながら言ってくれるじゃないの!誰が年よ!若いだけが取り柄の、紬希を喜ばせるテクもなにもない女に紬希は渡さないわ!」
『そっちこそ言ってくれるじゃないか……良いだろう!だったら母さんと私、どっちがママを真に悦ばせられるか勝負といこうじゃないか!』
「乗ったわ!」
「なにも良くないし、あや子ちゃんも乗らないで止めてよ!?た、たぁすけてぇええええ!?」
ロリコン二人に挟まれて、それはもう大変な事になってしまっている紬希さん。なんてことだ……私が余計な事を言ったばかりに……
『…………もうやだこの家族、耐えられない……』
「ど、ドンマイ……」
「あ、あはは……」
『???おねーちゃん、どうしてわたしのおめめをめかくししてるのー?』
家族たちのあられもない光景を妹に見せまいと必死に目隠ししつつ。紬希さん似の娘ちゃんが虚ろな目で呟いていたのが大変印象的だった。
とりあえず……この子の精神衛生の為にも。そしてもみくちゃにされている紬希さんの為にも。あのロリコン問題児二人を一刻も早く止めてやらなきゃね……
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