123話 小絃お姉ちゃんは私のお姉ちゃん
「——小絃お姉ちゃんありがとう。まさかお姉ちゃんの方からまたデートに誘って貰えるなんて……お誕生日とクリスマスがまとめて来てくれた気分だよ」
「あはは、琴ちゃんは大げさだなぁ」
箏を弾いては動画を投稿し、投稿しては箏を弾き。そんな日々を繰り返していた私のつかの間の休日。今日は琴ちゃんと楽しいお出かけの日だ。私とのお出かけが相当嬉しいのか、琴ちゃんは前回のお出かけの時よりもハイテンションな模様。
「大げさなんかじゃないよ。……私最近お仕事が立て込んでて、お姉ちゃんとゆっくりする時間が取れなかったじゃない。お姉ちゃんはお姉ちゃんで、箏の指導があるからってここのところずっと家を留守にしちゃうしさ」
「う……ご、ごめん琴ちゃん寂しい思いをさせちゃって……」
凄い愛らしくぷくーっと頬を膨らませて不満を告げる琴ちゃん。確かにここ最近、琴ちゃんは繁忙期でほぼ毎日お仕事に行ってるし……私は私で琴ちゃんがいない隙に箏曲部の皆と一緒に動画作成・動画投稿をしている。
四六時中べったりだった普段と比べたら琴ちゃんと接する機会が格段に減ってしまっていたわけだし、琴ちゃんからしてみれば思うところがあったようだ。
「寂しい思いをさせた分、今日は琴ちゃんサービスデーにするからね!琴ちゃんの行きたいところ全部行こうね!」
「ホント!?やったぁ♪」
「あ、欲しいものがあったら何でも言ってね!今日はお姉ちゃんの奢りだよ!お洋服でもご飯でも、お姉ちゃんが払ってあげるから!」
「え……でもお姉ちゃんいいの……?」
「だいじょーぶだいじょーぶ!お姉ちゃんに任せなさい!」
お金の心配をしてくれる琴ちゃん。まあ、絶賛ヒモ状態な私が奢りとか何を言っているんだと思われても仕方がないかもしれないけれど……琴ちゃんには内緒なんだが、今日の私に限って言えば実はちょっとしたお金持ちなのである。
『……ほ、ホントにお金入ってる』
ネット配信を始めてからしばらく経ち。指定された入金日に通帳を記帳した私。逸る気持ちを抑えつつ、半信半疑のまま通帳を開くと……そこには動画の広告収入とやらで稼いだお金が入っていたのである。それも……働きもしていない今の私には不相応な額が。箏曲部の皆から説明は受けていたけれど、まさかこんなにお金が貰えるなんて思ってもいなかったから最初にそれを見た時は思わず通帳を落っことしてしまったよ。
ぶっちゃけこんなに収益を得られたのは私の箏の演奏が凄いんじゃなくて、箏曲部の皆の動画編集能力・宣伝力あってこその成果なわけで……箏曲部の皆に稼いだお金を返すのが妥当だと思ったんだけど……
『お金?いりませんよ。私たちは趣味でやっている事ですから』
『私たちとしては箏を嗜む人々が増えるだけでありがたいですし』
『それはKOITOお姉ちゃんが頑張った証なんです。胸を張ってお使いください』
と、全員にハッキリと断られた。そんなわけで彼女たちのお言葉に甘えて……このお金は普段からお世話になっている琴ちゃんに尽くすために使うことを決めたのである。
「あ、そうだ!ね、ねっ!琴ちゃん!さっきお誕生日とクリスマスがまとめて来てくれた気分だって言ってたよね」
「うん、まさにそんな気分だよ」
「なら……折角だしお誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントも琴ちゃんにあげちゃうよ!この間のお出かけの時に確か手錠と首輪——もとい、ブレスレットとネックレスが欲しいって言ってたよね!お姉ちゃんがプレゼントしてあげるね!」
「…………」
そう私が琴ちゃんに言ってみると、琴ちゃんはちょっと目を細めてじぃっと見つめてくる。ハテ?どうかしたのだろうか?
「琴ちゃん?どうかした?」
「……そんなにお姉ちゃんにお金使わせるなんて、なんか悪いなぁって思ってね。働いているのは私なんだし、お姉ちゃんは無理しなくていいんだよ?」
「あ、もしかして琴ちゃん私に遠慮しちゃってたりする?大丈夫だよ琴ちゃん!10年間琴ちゃんのお誕生日をお祝い出来なかった分、10年間琴ちゃんとクリスマスを過ごせなかった分を埋め合わせてるだけだからね!お金の事も心配しないで!ほら見てよ!今日一日遊び倒すだけのお金はちゃんと用意してきたからさ!」
前回のお出かけの時は琴ちゃんからのお小遣いで琴ちゃんにプレゼントするという、典型的クズヒモ女ムーブをしてしまった私だけれど……今日の私はひと味違う。何せ今回は正真正銘自分の力で稼いだお金で琴ちゃんにプレゼント出来るんだから。
ようやく……そう、ようやく琴ちゃんのお姉ちゃんらしい事が出来るってもんだ……!
「と言うわけで琴ちゃん、時間も勿体ないし早速行こうか!どこから行く?この間のアクセサリーショップとかどうかな?琴ちゃんに合いそうなもの、お姉ちゃんが選んであげるよ!」
久々に琴ちゃんのお姉ちゃんが出来る喜びをかみ締めつつ、琴ちゃんを引っ張ってアクセサリーショップへと走る。ふふふ……琴ちゃんの喜ぶ顔が楽しみだわ……!
「…………(ボソッ)ねえ小絃お姉ちゃん。お姉ちゃんのお財布の中に入っているそのお金……私が今までお姉ちゃんに渡してきたお小遣いよりも明らかに多いのはどうしてだろうね」
◇ ◇ ◇
「——KOITOお姉ちゃん、前回投稿した動画も素晴らしい反響でしたよ『お姉ちゃんの箏を電車の中で聴くのが日課になりました。毎日元気を貰っています』ですって」
「指導動画も日を増すごとに視聴者数も再生回数も増えていますね。『お姉ちゃんのお陰で最近ちょっとずつ弾けるようになりました』という声も上がっていますよ」
「あはは……嬉しいけど尚更もうちょっと箏を練習して腕を上げなきゃなって思うよ。私の箏曲を気に入らない人もいるみたいだし」
「え……?そうですか?そんな人いましたか?」
「ほら、見てよこの指導動画のコメント。『全然ダメです、弾き方がなっていません。直接会って指導がしたいのでお姉ちゃんの連絡先を教えてください』とか書いてあるでしょう?やっぱ上手い人からしたら私の箏なんてまだまだ何だろうね」
「「「そのコメントは無視して大丈夫ですわ」」」
「え、そう?」
琴ちゃんとの楽しいお出かけの翌日。箏曲部の皆の元へとやって来た私。前回投稿した動画の反応を見ながら、次回のネット配信について打ち合わせを始める。
「そういう変な人はともかく。見てくださっている視聴者のニーズには極力応えていった方が良いと思うんです。そんなわけでKOITOお姉ちゃん。今回もリクエストがあった曲を弾いていただいても宜しいですか?」
「オッケー。最近は大分難しい曲も弾けるようになってきたし、段々楽しくなってきたから寧ろバッチ来いよ」
「ありがとうございます。それとKOITOお姉ちゃん、前回お試しでやってみた【KOITOお姉ちゃんとあまあま添い寝(ASMR)】動画ですが……想定以上の再生数を確保しちゃいまして。大変高評価で続編希望との声も多数挙がっています。折角なので今回もやらせて貰っていいですか?」
「え……あんな変な動画を見る人いたの……?てっきりネタや冗談で撮ったものとばかり思ってたのに……ま、まあ別にあんなんで良いならいいけど……」
「KOITOお姉ちゃん、衣装の希望もありますよ!次回こそこのメイド服を着て箏を弾いてくださいませ!」
「なんでメイド服……?箏関係無くない……?まあ、着ろと言われたら着るけどさ……」
視聴者が増えると、それだけ色んなニーズも増えてくる。『こういう曲を弾いてください』という至極真っ当な要望から、『お姉ちゃんの声に癒やされたい』とか『こういう服着て、こういう風に弾いてください』とかいうよく分からない要望まで本当に多種多様だ。
視聴者が増えるのはありがたいんだけど。箏のリクエストはともかく、他のリクエストはどうなんだ……?これって箏をお披露目するのが趣旨の動画だったハズだよね……?
「それと……KOITOお姉ちゃんにご相談なのですが。お姉ちゃんはライブ配信というものに興味は有りませんか?」
「ライブ配信……?」
「簡単に言うとテレビの生放送みたいなものです。事前に撮った動画を編集して、それを投稿する方法と違い……リアルタイムで撮影している動画を配信するんです」
「……え、えっと。その話をすると言うことは……まさかとは思うけど……」
「「「ライブ配信、やってみませんかKOITOお姉ちゃん!」」」
「やっぱりぃ!?」
嫌な予感がしたと思ったらコレですよ。気楽に始めたネット配信だけど……ここ最近求められるハードルがどんどん上がってないかなぁ!?
「ライブ配信とか無理だって!?普通の動画でさえ皆が作ってくれた台本あるにも関わらずちょくちょく噛んでるってのに、ライブ配信って事は緊張で絶対いつも以上に噛むでしょ!?台詞も忘れる恐れもあるでしょ!?それに生って事は……致命的なやらかししても編集出来ないって事じゃない!?」
咄嗟のトークスキル、視聴者のコメントへの的確で柔軟な返し、トラブルが起こった際の対応力……そんなもの皆無な私には荷が重すぎる。それにやらかすことに定評のある私だ……一体どんな失言&失態を起こすか分かったものでは……
「大丈夫ですよ、ライブ配信中でも私たちがカメラの見えないところでカンペを出してフォロー致しますわ」
「それに多少噛んでいたくらいが愛嬌あって視聴者的にも盛り上がるかと。今でもコメントでも『KOITOお姉ちゃんまた噛んだw』『噛みお姉ちゃんいただきましたー!』って喜ばれてるくらいですし」
「それに……ライブ配信はメリットがあるんです。やらない手はありませんよ」
「いや、だからやらないって——」
「ライブ配信で視聴者に気に入って貰えたら、今以上に収益が増えるかもしれないんですよ」
「…………え」
その甘い悪魔の誘いに、聞く耳持たず状態だったハズの私は……一瞬で揺らいでしまった。
「ライブ配信中は投げ銭システムが使えますからね。KOITOお姉ちゃんは今まで色んなリクエストに応えてくれていましたし、今回リクエストがあった曲を演奏してあげたら……リクエストした視聴者からお礼の投げ銭をいただけるかもしれませんよ」
「ほ、ほーう?」
「視聴者もライブ配信を望んでいるみたいなんですよね。リアルタイムでの交流はやっぱりファンとしては嬉しいですもの」
「な、なるほど……」
「ここで人気が出れば、生配信を見た視聴者によって更に知名度が上がって新規のファンが増えるかもしれません。それはつまり既存の動画の視聴者数の増加……更に言えば広告収入の増加を意味します。如何ですかKOITOお姉ちゃん」
「む、むむむ……」
昨日の琴ちゃんとのお出かけを思い出す。私のプレゼントに花が咲いたような素敵な笑顔で『ありがとう、小絃お姉ちゃん♡』と喜んでくれたあの琴ちゃんを思い出す。
凄い不純で現金な話だけど……収入が増えればそれだけ琴ちゃんに貢ぐ——もとい、琴ちゃんを甘やかす事が可能ということだ。それに、それだけで食べていけるだけのお金が稼げたら……ヒモ女からの脱却にも繋がる可能性だって……
「…………ほ、ホントに……私でもライブ配信……出来ると思う?」
「「「出来ますっ!」」」
「…………視聴者も、ホントに望んでると思う?」
「「「望んでますっ!」」」
「…………じゃ、じゃあ……ちょっとくらいなら……」
「「「その言葉を待っていましたっ!!!」」」
意志薄弱と笑わば笑え……わ、私にはお姉ちゃんとして琴ちゃんに貢ぐ権利と義務があるんだ。どんな手段でも使ってやるさ。
「流石ですKOITOお姉ちゃん!それでは早速今から配信しましょう!」
「はっ!?い、今から!?ちょ、ちょっと待っていくらなんでも急すぎない!?それは流石に……し、視聴者だって寝耳に水な話だろうし、集まらないんじゃないかな!?」
「ご安心下さい!絶対KOITOお姉ちゃんならやってくれると信じていましたので…………一週間前から初生配信すると視聴者にはちゃんと告知しています!」
「ハッハッハッ!それはなんとも準備が良いねぇこんちくしょう……!?」
寝耳に水なのは当事者である私だけだった様子。この子たち私が断ったらどうするつもりだったんだ……
「ささ、もう時間もありませんしこちらのリクエストされていたメイド服を着ましょう」
「こちら今回の台本です。着替えている間に一通り流れを確認しておいてくださいませ」
「わ、わかったよ……やれば良いんでしょやれば……」
結局流されるがまま、いつも通り準備に取りかかる。指定されたコスに着替え、台本も一通り読み込んで…………そして恒例のあの儀式を始める。
「(生配信だろうがなんだろうが関係無い……私の目の前にいるのは琴ちゃん……琴ちゃんがいつものように私に箏を習いに来ている……私は琴ちゃんの理想のお姉ちゃん……琴ちゃんにが望む理想のお姉ちゃん……)」
意識を無敵のお姉ちゃんモードに切り替える。あれだけ動画配信してきたからか、容易に切り替えることに成功する。……大丈夫だ、普段通り琴ちゃんに接するようにしていれば問題無い。
「KOITOお姉ちゃん、準備は良いですか?」
「……大丈夫、いける」
「流石です。それではカメラ回しますよ、3……2……1……スタート!」
カウントダウンが終わるまでに深呼吸して落ち着かせる。そして……
「——こんにちは、私の可愛い妹ちゃん!KOITOお姉ちゃんだよ!KOITOお姉ちゃんの箏教室、はっじまるよー!」
『キャー!KOITOお姉ちゃーん!』
『待ってましたお姉ちゃん!』
『おねーちゃーん!!!』
いつもの調子でタイトルコール。生放送だというのに、すでに待機してくれていた視聴者たちからのあたたかいコメントで出迎えられた。
「いつも来てくれてホントにありがとう。今日は記念すべき初生配信でーす♡いやぁ、生配信って事で正直めちゃくちゃお姉ちゃん緊張してるの。かっこ悪いところ見せたらごめんねー」
『頑張れー!』
『応援してます!』
『おねえちゃんがんばえー!』
「ありがとー!お姉ちゃん超頑張る!」
予定無しのいきなりの生配信だったからどうなる事かと正直戦々恐々していたけれど。いざ始まってみるとお姉ちゃんモード入った今なら割となんとかいけそうな感じだ。よし、この勢いで最後まで乗り切るぞ。
「そんじゃ、早速今日の箏教室だけど……折角の生配信だし、先に先週のリクエストに応えようと思うの。最初に『この曲が聴きたい』ってリクエスト貰っていた箏曲を——」
ダァンッ!!!
「……ッ!?」
「「「……ッ!?」」」
…………なんて事を考えた矢先の事だった。突如スタジオの扉が凄まじい音を立てて蹴破られたのは。
一体何事かと思わず視線を音がした方に向ける私。そんな私の目に映ったのは……
「…………」
「え……こ、琴ちゃん……!?」
他でもない、世界一の我が妹分。可愛い私の琴ちゃんの姿だった。……いや、なんで琴ちゃん……?
「お、音瀬さん……?ど、どうしてここに……?」
「あ、あの……扉……鍵がかかっていたハズでは……?」
「そもそもこのスタジオって……防音のために扉は鋼製のものでしたよね……?音羽さん今蹴破って入ってきませんでした……?」
もしかしたら何かの演出ではと思ったけれど。箏曲部の皆のあの動揺から察するにそうでは無い様子。琴ちゃんの出現に全員がただただ戸惑っている。
『え……なにこの展開?』
『誰あの綺麗な子……?』
『何事……?』
当然、画面の向こうの動画視聴者の動揺は私たち以上だろう。突然の謎の来訪者を前に困惑のコメントが飛び交っていた。
そんな中、騒ぎの中心である琴ちゃんはと言うと。周りの動揺を全く気にすることも無く。回されているカメラにさえ意に介さずに、つかつかとスタジオに入り私の元へとやって来る。
「あ、あの……琴ちゃん……?ど、どうしてこんなところに……お、お仕事中のハズでは……」
「…………」
「こ、琴ちゃん……?」
そうして私の前に立った琴ちゃんはというと、無言で私を抱きかかえ……そして。
「…………ん、ちゅ♡」
「~~~~~~ッ!?」
「「「きゃ、きゃぁああああああ♡」」」
問答無用で、箏曲部の皆が見ている前で……否、カメラが回っている前で……私の頬にキスを落としたではないか。
「は、へ……?あ、ぅあ……?琴ちゃ……琴ちゃん…………琴ちゃん!?い、いいいい……今、ほっぺにチューを……!?なん、なんでチュー!?ナンデ!?」
「…………これは罰だよ。黙って私にネット配信なんてした罰。お姉ちゃんは黙って私にされるがままになるべきなんだよ」
「ど、どうしてそれを知って…………あっ、だめ琴ちゃんそこは……み、みんな見てるのに……」
「きゃー!きゃぁあああああああ!!!」
「今、いまキスを……!キスをぉ!!!」
「さ、撮影班!撮影班!あまりの耽美な絵に気絶していないでちゃんと撮って!!!」
『は、はぁあああああああ!!!?』
『ちょ……誰よあの女!?私のKOITOお姉ちゃんになにしてくれてんのよ!?』
『くぁwせdrftgyふじこlp』
現実とネットの海が阿鼻叫喚になっている中、琴ちゃんは知ったことかと私の頬に、額に首筋に……わざわざ音を立てながら所有の証を残していく。更に着ていた服を開けさせ、胸元や二の腕……太もも……肌が見える場所全てに…………
「いけないわ。ホントいけないお姉ちゃんだよね。私という者がいながら……勝手に知らない妹たちを作っちゃうんだから」
「琴、ちゃん……どこ……触って……は、ぁん……ッ!」
「お姉ちゃんが動画配信を始めたのは知ってたよ。はじめからね。……ホントはね、早めに配信自体を止める選択肢もあったんだ。お姉ちゃんの魅力を知ってて良いのは私だけなんだし。でも……お姉ちゃんも楽しそうにしてたから敢えて知らない振りをしてたんだ。お姉ちゃんの幸せが私の幸せでもあるもん」
「ぁ……っく、んんっ……だ、だめぇ……琴ちゃ……ゆるして……」
私の全身にキスマークを残しつつ、くすぐって嗅いで舐めて囁いて。私の弱いところを的確に付いてくる。お陰で琴ちゃんが言っていること、頭で理解が出来なくなってきて……
「それともう一つ。どうしてこの私がこれほどまでお姉ちゃんのファンが出来るまでこのチャンネルを野放しにしていたのかだけどさ。使えると思ったからだよ。わからせられるからね、誰が真のお姉ちゃんの妹なのかを。…………と言うわけで、はじめまして画面の向こうの偽の妹さんたち。見てますかー?貴女たちのお姉ちゃんだと思った人はぁ……私だけのお姉ちゃんでしたー♡身も心も私だけのモノなので、さっさと諦めてくださいねー♡」
…………こうして私の初の生配信は、琴ちゃんによる乱入&オシオキ配信として……全世界に拡散されてしまったのであった……
ちなみにこれは余談だけど……この生配信は当然のように炎上し。一時期私のチャンネル登録者数が半分以下まで一気に減って……
数ヶ月後には、何故かチャンネル登録者は今までの更に倍増えていた。
「いや、なんでさ……!?」
「恐らくですが……お二人のあまりの衝撃的な絵面に脳破壊された結果……視聴者の皆さんが新たな性癖に目覚めたのではないかと。見てくださいKOITOお姉ちゃん。あの日の音羽さんとのめくるめく倒錯の一幕を撮したアーカイブ動画ですが……未だにダントツで再生数を伸ばしていますよ」
「そんなもの削除しなさい今すぐに!?」
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