95話 琴とあや子の真バストアップ大作戦
ヒミツのバストアップ大作戦を実行していた私と紬希さん。最悪のタイミングで琴ちゃんとあや子にその一部始終を目撃されてしまい、危うく破局&破滅する寸前だったけど……命がけの命乞いと決死の土下座のお陰でなんとか話を聞いて貰える事となった。(なお、ここまでかかるのに5時間を要しました……)
「「——それで?」」
「だ、だからその……み、魅力溢れる琴ちゃんのお姉ちゃんになるべく……胸を……大きくしたくて……」
「わた、私たち……特に、私のちっちゃいから……このまま成長しないままじゃ、飽きられたり嫌われちゃうかもって……思って……」
「で?そこからどうして私の嫁と浮気まがいの事をする羽目になったのかしらね小絃?」
「そ、その……色々試してみたんだけどどれも上手くいかなくて……最終手段で揉めば大きくなるって話を思い出したんだけど……」
「…………まさか、お姉ちゃんに揉んで貰ったの紬希ちゃん?」
「も、揉むほどの胸がなかったの……!だ、だから……揉めないなら吸い出して貰えば良いかなって……話になって……」
「「…………はぁ」」
私と紬希さんのそんな説明を受け、盛大にため息を吐く琴ちゃんとあや子。
「……ねえ琴ちゃん。悪いんだけどさ……ちょっと紬希と二人っきりで話をさせて貰いたいんだけど」
「ええ、わかっています。隣の部屋を使ってください」
「助かるわ。……ほら紬希、行くわよ」
「えっ、えっ!?あの……あ、あや子ちゃん……?」
と、そんなため息交じりの二人は二言三言交わしてから。あや子は紬希さんの手を引き隣の部屋に向かい、部屋に残った私は長い付き合いのハズなのに未だかつて見たことのなかった琴ちゃんの冷ややかな視線を一身に受けることに。
こ、こわい……大好きな琴ちゃんをこの私がまともに見られない日が来るなんて……
「小絃お姉ちゃん」
「……はい」
「私は、今凄く怒っています」
はい、それはもう。見なくてもわかります……
「言いたい事は山ほどあるけど……まず胸を大きくしたい理由が許せない。私みたいにお姉ちゃん好みの大きい胸の女の人になりたいって理由ならまだ良いよ」
「そ、そうなんだね……」
「でも実際はそうじゃなかった。……胸がないと私に飽きられるとか。そんな理由で胸を大きくしたいとか言ってたよねお姉ちゃん」
「そ、そうだね……」
「…………私がいつ、お姉ちゃんを飽きると言ったのかな?」
相当にお冠なのが否が応でも伝わってくる。背筋が凍り付くような底冷えする琴ちゃんの低い声。
「そんな風に思われてたなんて……心外だし、すっごく頭にきてる。私のお姉ちゃんへの愛が、胸の大きさ程度のことで変わると思ってたの?」
「……思わない」
「だったら二度と、そんなバカな事は言わないで。もし次に同じ事言うようなら…………手段は選ばない。お姉ちゃんのこと、いっぱいわからせてあげる」
「は、はい……っ!」
『いっぱいわからせる』
それが具体的に何をされるのか、正直怖くて琴ちゃんに聞けない私。聞けないが……相当に恐ろしい目に遭う事だけはわかる。とりあえず二度とバカな過ちは繰り返すまいと心に誓っておこう……
「それと……もう一つ許せない事があるんだけど。言わせて貰っても良いかな?」
「な、何のことでしょうか……?」
「…………どうして私じゃなくて、紬希ちゃんを頼ったの?」
「ひいっ……!?」
どうやらさっきまでお怒りはまだ優しい方だったらしい。殺気にも似た迫力ある怒気を放つ琴ちゃんに、私は情けなく悲鳴を上げてしまう。い、いかん……琴ちゃんの瞳に光が灯ってない……!?
「そりゃね……紬希ちゃんを頼りたくなる気持ちはわかるよ。看護師さんだし、優しくて面倒見も良いもんね。でも……でも…………どうして私に、相談の一言すらなかったのかな……?そんなに私は頼りなかったのかな……?」
「あ、あの……!違うの……!こ、琴ちゃんに相談したくなかったとかそういう感じのアレじゃなくて……!た、ただ単に琴ちゃんにこんなバカみたいな事を相談するのは恥ずかしいって思っちゃったっていうか……琴ちゃんのお姉ちゃんとして、情けない相談が出来なかっただけって言うか……!」
「でも、紬希ちゃんには相談したんだよね?」
「そ、それはホラ!つ、紬希さんも同じ悩みを抱えてて相談しやすかっただけで……!」
「そうなんだ。お姉ちゃんは相談しやすい人となら……胸を吸ったり吸われたりしても平気なんだね。知らなかったよ」
「…………」
まるで浮気がバレた恋人たちのような修羅場ってる会話を琴ちゃんと交わす私。何故だろう、冷や汗が止まらない……語れば語るだけどんどん墓穴を掘っている気持ちになってくるんだけどどうしたら良いんだ……?
「……まあ、今回に限って言えば。未遂だったみたいだからこれ以上深くは追求しないであげる」
「あ、うん……ありがと琴ちゃ——」
「次は、ないからね?」
「…………ハイ」
未遂で良かったと、心底そう思った。
「それにしても……まさかお姉ちゃんが胸のことで悩んでいたなんてね。全然知らなかったよ」
「は、恥ずかしい限りで……」
「私に言ってくれたらいくらでもアドバイス出来たのにね。私も『スタイル抜群な大人のお姉さん』がタイプのお姉ちゃんに惚れて貰えるようにって、日々バストアップを欠かさなかったからこそ。ここまで大きくなった実績があるわけだし。言うなればバストアップの先人だよ?」
そのご立派な胸を腕で抱えて見せつけるように強調しながら琴ちゃんは言う。改めて言われてみて気づいたけど……そういや琴ちゃんも『お姉ちゃん好みの身体に成長したんだよ♡』って私の為に努力してきたんだっけか……
「そんなに大きくしたいなら……いいよ。小絃お姉ちゃん、紬希ちゃんに代わって私が手伝ってあげる」
「へ……?て、手伝うって……何を……?」
「決まっているでしょ?…………お姉ちゃんのバストアップのお手伝いを、だよ♪」
◇ ◇ ◇
「——バストアップの為のマッサージはね、ただ揉むだけじゃダメなの」
「ん、……っ、あぅ……」
「下手に自己流で揉んじゃうと形が崩れたり、垂れちゃったり。あと力強く揉みすぎちゃうと下手したら脂肪が燃焼されちゃって逆に胸が小さくなったりする事もあるんだって」
「くぅ……、つぅ……」
「だから、基本は乳腺を優しく刺激してあげるの。そう……こんな風にね」
「あっ、あの……琴ちゃ……ンッ……!?琴ちゃん……っ!」
「んー?どうしたのお姉ちゃん?」
「こ、これ……ホントに、マッサージ……?は、ぁ……っ!なんっ、か手つき……が、いやらしい……気が……」
『バストアップのお手伝いをする』
そう言って、琴ちゃんは私の了承を得ることなく半強制的にベッドに座らせて背中から私を抱きしめた。そのままシャツに手を突っ込んで……器用にシャツの中でブラのホックを外してから……私の胸のマッサージを始めたのである。
「ひどいなぁ、いやらしいだなんて言い草は。私はただ……お姉ちゃんが望んだ通りにバストアップマッサージをやってあげているだけなんだよ?いやらしいって感じるのなら……それは、お姉ちゃんが欲求不満なだけじゃないかな?」
「ち、ちが……!?そ、そんな事は……!」
「……ふふふ。いいよ、マッサージと一緒に。そのお姉ちゃんの欲求不満も私が解消させてあげるからね」
背中越しに耳元でそう囁く琴ちゃん。そんな小悪魔みたいな琴ちゃんは優しく、やらしく私の胸を刺激し続ける。包み込んだ乳房をぐっと上に持ち上げつつ……乳腺を意識しながらゆっくりと大きく円を描く。
揉む、というよりも摩るように私の胸を這う琴ちゃんの手のひらは。必ずと言って良いほど胸の突起を通っていって……その度に私の内側からくすぐられるような、切ないような……そんな感覚に襲われる。歯を食いしばらなければ変な声を上げてしまいそうで……
「こ、とちゃん……やめ、て……隣には、あや子も紬希さんも……こ、こんなところ……見られたら……」
「ん?……ああ、大丈夫だよお姉ちゃん。そうならないように鍵はかけておいたし。それに……」
『——今日だけは、本気で怒ったからね紬希。貴女が一体誰のモノなのか。……その愛らしい胸は……ううん。紬希の全てが一体誰のモノなのか。その身体に、心に……嫌ってほど刻みつけてあげる。もう二度と……私以外の誰にも触れさせるようなバカな真似は考えられないようにしてあげる』
『ごめ、ごめんなさ……ぁあああっ!?あ、あやこちゃ……ごめんなさい、ごめんなさいぃ……!つむぎは……あや子ちゃんの、モノです……!わかった、わかりましたぁ!だ……だから……も、もうゆるし…………ぁっ……あっ、ふあぁぁ……ひ、ぁあああああぁんっ!!?』
「それに。向こうも向こうでそれどころじゃないだろうから。だから大丈夫だよ」
「そ、れ……ぜんぜん大丈夫じゃな……ひぃんっ!?」
どうやら隣の部屋でもここと同じような状況になっている模様。あや子の声と紬希さんの嬌声が壁越しに伝わってくる。…………逆に言えば、それはこちらの状況も筒抜けと言うことで。
「……あれ?どうしたのお姉ちゃん。そんなに身体硬くしちゃって。マッサージなんだしもっとリラックスして良いんだよ?声も出しても良いんだよ?」
「(そんなん出来るかい!?)」
と、ツッコミを入れる余裕もない。琴ちゃんはともかく隣の二人には聞かせたくないからと必死に身体を丸めて防御して、口もきゅっと結んで必死に声を出さないように耐えてみる。
「あらら。お姉ちゃん強情だね。……まあ、でも時間の問題か」
そんな私をあざ笑うかのように。琴ちゃんは胸を刺激し続ける。一体いつ知ったのか、私すら知らないような私の弱いところを的確に捉えていく。触れられた箇所が熱を帯び、全身から汗が噴き出し、甘美な痺れが全身を震わせて——
「ぅ……ぁっ……んぁ……クッ、ンンッ!だ、めぇ……!琴ちゃん、ことちゃ……んぅ!」
「なぁに?どうかしたのお姉ちゃん?」
「もぅ、わたひ……わたひぃ……!」
「うん……わかった、いいよ。お姉ちゃん。きもちよく……なろうね」
「~~~~~~ッ!!!」
◇ ◇ ◇
あの惨劇のバストアップ大作戦が終わってからというもの。一種の罰も兼ねて私は……琴ちゃんからバストアップのお手伝いと称して……定期的に胸を揉まれるようになった。
……ちなみに余談なんだけど。琴ちゃんに揉まれまくってたら……その。マジで大きくなりました……
「私が育てました!」
「そんな可愛いドヤ顔して言う事じゃないと思うんだがね琴ちゃんや……?」
あと紬希さんも私と同じように毎日あや子に弄られ続けたらしいけど。その体質上残念ながらやっぱりお胸の成長は叶わなかったそうだ。
ただし……
「その分感度は良くなったし、これはもう成功したと言っても過言ではないのではないかしら!」
「よ、余計な事は言わなくていいのあや子ちゃんっ!!!」
だそうです。
「…………うーむ」
「小絃お姉ちゃん、どうしたの?」
「ん?ああ、いや。別に大した事じゃないんだけどね。そういえばマコ師匠がね。『おっぱいの大きさに貴賤無し。優劣なんて本来はつけようがない』だの『そんなものよりもなによりも、一番大事なおっぱいというものがある』だの言ってたんだよね。結局その『一番大事なおっぱい』って何だったんだろうなって思ってさ」
「……ああ、なんだそんなことね。それなら私もわかるよ」
「え、ホント?折角だし教えてよ琴ちゃん」
「簡単な話だよ。一番大事なおっぱい……それはね」
「うん」
「……大好きな人のおっぱいに決まっているじゃないの」
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