番外編 嫁たちからのラブコール
~音瀬小絃の場合~
Prrrr! Prrrr!
「——はい、もしもし小絃です。ああ、琴ちゃん♪お仕事お疲れ様。うん、電話なら大丈夫だよ。……え?仕事場にお姉ちゃんが居てびっくりした?あ、あはは……だよねー……うん、今日は突然お邪魔しちゃってごめんね。紬希さんに連れてきて貰ったんだけど…………え?そんなに私に会いたかったのかって?あ、ああうん……そだね。いやぁ、琴ちゃんの顔が急に見たくなっちゃってさー…………へ!?お姉ちゃんを寂しがらせるなんて、小絃お姉ちゃんの嫁失格!?今すぐ帰ってお姉ちゃんに全力で構ってあげる!?い、いやちょっと待って……落ち着いて琴ちゃん……この時間はまだお仕事終わってないハズじゃ…………いや、そんなの関係ないってことはないでしょ……またさっきみたいに係長さん?に怒られちゃうよ。……と言うかだね。琴ちゃんには悪いけど、そもそも今私家には居ないからどのみち帰ってきても——ん?今私がどこいるのかって?え、ええっと……それは……そのぅ。な、ナイショ……かな?…………ふぇ!?い、いやだから落ち着いて!?別に浮気とかそういうアレじゃないって!?……そ、そもそも私と琴ちゃんお付き合いしているってわけでもないから、浮気って表現もなんかおかしいような……ハァ!?すぐに駆けつけるから待ってて欲しい!?お姉ちゃんを誑かす悪い人はみんな懲らしめる!?だ、だから違うの話聞いて琴ちゃん……琴ちゃーん!?」
~伊瀬紬希の場合~
Prrrr! Prrrr!
「——もしもし、紬希です。……急に電話なんかしてどうしたのあや子ちゃん?お仕事中では?……いや、愛しの紬希の声が聞きたくなったの♡って……恥ずかしい台詞禁止。…………嬉しいけどさ。え?ああ、うん。大丈夫。ちゃんと小絃さんに琴ちゃんが働いてるところ、案内出来たよ。参考になったかはわからないけれど……でも、小絃さんが抱いてた悩みの一つくらいは解決出来たんじゃ無いかなって思ってる。うん……うん、よかったよ。小絃さんと琴ちゃんには助けられっぱなしだったからね。ほんの少しでも力になれて私も嬉しい。…………あ、そうそう聞いてあや子ちゃん!今日ね、凄い人と会うことが出来たの!あや子ちゃんも知ってる有名人さん!誰だと思う?……ふふふ。正解はね、立花マコ先生!もうビックリだったよ!まさか本人に直接会えるなんて……しかも、しかもね!サインも貰えた上に今まさに直接先生にお料理のご指導までしていただいてるの!本当に嬉しい……!立花先生ってね、思ってたとおり……ううん、思ってたよりもずっと素敵な人で——って、あれ?どしたのあや子ちゃん?なんか不機嫌になってない?…………はい?自分以外の誰かを紬希が褒めるのが嫌って…………え?まさか……あや子ちゃん、嫉妬してるの……?…………う、ううん……悪くはないよ……な、なんかちょっと意外だったけど…………え、えへへ。そ、そっかぁ……あのあや子ちゃんが嫉妬しちゃってるのかぁ……♪……え?嬉しそうに聞こえる?き、気のせいだよ気のせい♡…………あはは、ごめんごめん。……あのね、あや子ちゃん。大丈夫だよ。立花先生のことは勿論尊敬しているけど……私の一番は、これまでもこれからも……ずっとあや子ちゃんなんだから」
~立花マコの場合~
Pr……
「はぁい、私のラブリープリチーな妹のコマちゃーん♪マコお姉ちゃんですよー♪……え?電話出るの相も変わらず早いねって?ハッハッハ!そらそうよ。例え電話であろうとも愛しのコマを待たせるなんて愚行はしたくないもんね。……それで、どしたのコマ、急に電話なんかかけちゃって。……ん?お仕事?ああ、大丈夫大丈夫。いつも通り順調そのものだよ。何も問題なんて…………へ?私の側から知らないオンナの気配がするから心配で電話した……?あ、ああうん……なんでそんなピンポイントにコマが気配を探れるのかちょっとお姉ちゃん疑問に思っちゃうけど……まあその通りだね。実はさー、今日飛び入りで二人ほど料理教室に来てくれてねー。その二人、とっても面白くて良い子たちでさ。ついお姉ちゃんも指導に熱が入って——へ?ち、ちちち……違うよ!?浮気とかそんなんじゃないよ!?私は今も昔もコマ一筋で…………あ、それはわかってくれてる?私が浮気なんかするはず無い?そ、そかそか……わかって貰えて何より——えっ!?い、いやだから違……聞いてコマ!?その子たちに無理矢理迫られたとか、そういう感じのアレでもないからね!?…………えっ。帰ってきたら私が誰のものなのかちゃんとわからせる……?私に付いたオンナの匂いを自分のに上書きするから覚悟しておいて欲しい……!?ま、待ってコマ、何する気なの……!?あ、明日は料理番組の生放送があるから……えっちなオシオキは勘弁して貰えるとお姉ちゃんとても助かるんだけど…………コマ?コマさん?もしもし?もしもーし!!?!?」
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