42話 琴ちゃん、お姉ちゃんのママになる(その4)
~Side:琴~
よくよく考えてみると。突然幼児退行させられた影響で朝からドタバタし過ぎていて、ずっとご飯を食べていなかった小絃ちゃん。だから小絃ちゃんが今、相当にお腹が空いているのはわかる。
「あぁあああ!!うわぁあああああああああ!!!!」
そして……小絃ちゃんが一体何を求めているのか。今の小絃ちゃんのママであるこの私にはよくわかる。
小絃ちゃんの視線の先には、バスタオル越しに透けて見える私の双丘。私に泣きながら何かを訴え。飢えを、渇きを満たそうと私の胸に手を伸ばす仕草をみれば、それは一目瞭然だろう。
「こ、小絃ちゃん……や、やっぱり私の……ママのおっぱい、吸いたいのよ……ね?」
「まぁま!んまぁあまぁああああああああ!!!」
私の問いかけに肯定するかのように、小絃ちゃんは更に大きな泣き声を上げてぐずる。
……赤ちゃんのご飯と言えばおっぱい。うん、そうだよね……お腹空いちゃったんだよね……
「…………私の、おっぱいを……」
……なんだか不思議な感覚。目覚めてからというもの私がどれだけアプローチをかけても、暖簾に腕押しだったお姉ちゃんが。それこそお風呂や寝室で肌を出して誘惑しても、恥ずかしがってまともに直視しようとしなかったあの小絃お姉ちゃんが……今はこんなにも必死に私を見て、私を本能のままに求めてくれるだなんて……
大好きな人に求められることに飢えている私にとって、そんなお姉ちゃんの姿は……とても愛おしく思えて。そして同時に期待と興奮で全身鳥肌が立つ。ああ、今すぐにでも……求められるがまま、ノンストップで授乳させてあげたい。小絃ちゃんを私でいっぱいに満たしてあげたい……
「こ、小絃ちゃん……聞いて欲しいの。だ、だめ……だめなのよ。ママは……ママだけど、小絃ちゃんのホントのママじゃないから……今はまだ……母乳は出なくて……」
それでも最後にほんのちょっとだけ残った私の理性が、これ以上はいけないとストップをかける。小絃ちゃん状態の今はともかく、正気に戻った時……仮にこの事を小絃お姉ちゃんが覚えていたら……お姉ちゃんのプライドとかその他諸々を考えたらショックを受けてトラウマになる恐れだってありそうだし——
「いやぁああああああああ!!!ままぁあああああああああああああ!!!!」
「……ッ!」
そんな残ったわずかな理性を吹き飛ばす、小絃ちゃんのママを求める泣き声に陥落される私。
…………だ、ダメだ……こんなに泣いて求める小絃ちゃんを見捨てるだなんて……そんな非道で非情な事……小絃ちゃんのママである私には……出来ない……ッ!
「わ、わかった……わかったわ小絃ちゃん……ちょ、ちょーっと待ってね……」
根負けし、覚悟を決める私。静かにバスタオルを浴槽に落とし……その胸を曝け出す。お姉ちゃんが寝込んでいた10年の間、いつかお姉ちゃんに求められることを夢見て。あらゆるバストアップ法を試して作り上げたお姉ちゃん理想の胸を……惜しげ無く小絃ちゃんに曝け出す。
……小絃ちゃんのママになりきっているからか。それともこの異様な状況に興奮してしまっているからか。すでにその先端は、自分でも驚くくらいピンッと立っていて……如何にも小絃ちゃんに『さあ召し上がれ』と言っているようで……
「ほ、ほら……小絃ちゃん……ま、ままの……おっぱい……ですよー……」
荒い小絃ちゃんの息が私の乳房に当たる。それだけで興奮しすぎてクラクラと失神しそうになりながらも。それでもママとしての役目を果たすべくゆっくりとその先端を小絃ちゃんに近づけて……
そして。
「ちゅぅうううううう……!」
とうとうその先端は、小絃ちゃんの愛らしいお口にかぷっと食べられてしまう。咥えられたまま、むさぼりつくすように吸い付いてくる小絃ちゃん。
……当然と言えば当然だが。子を産んでいない今の私には母乳など出るはずもない。だから小絃ちゃんの空腹を満たすことなんて、本来なら出来ないハズなんだけど……
「だぁあああ……♡まぁまぁ……♪」
何も出ない私のおっぱいを吸いながら。直前まであれほど泣き叫んでいた小絃ちゃんは不思議と泣き止み。それどころか安らかな笑みを浮かべて落ち着きを見せていた。依然としてお腹は空いたままのはずなのに……
……ああ、そう言えば聞いたことがある。精神分析の創始者であるフロイトさん曰く。乳児には口唇期と呼ばれる時期があって、この時期乳児は母親の乳房や哺乳瓶、おしゃぶりを吸うといった行為を通して自分の欲求を満たすらしい。母親の乳首を吸うという赤ちゃんの行為は、人間がこの世に生を受けて初めて体験する
「まぁま……まーぁまーぁ♡」
つまり赤ちゃんは母親の母乳から栄養を得るだけじゃなくて、唇で感じる快感や抱かれる安心感を得ていると言うわけで。……そう考えると母乳が出ない私の授乳でも、小絃ちゃんが満足してくれているのも納得だ。
一時はどうなることかと思ったけど……よかった……うん。本当に良かった……
「あ……っ、あっ……はぅうううう……!?」
そう小絃ちゃんのママとしてホッと胸をなで下ろす一方で。私は小絃ちゃんにおっぱいを吸われながら……色んな意味で大変な事になっていた。
最初に小絃ちゃんに突起に口づけされた瞬間から。強烈な快楽に襲われた私は、たまらず大きく身をのけぞらせ、喉の奥から恥ずかしい声を漏らさずにはいられなかった。
「んぅ……あっ、ぁあ……!」
チロチロと舌と口を動かして、文字通り赤ちゃんのように乳房を触りながらじゅるじゅると私の胸を吸い上げて授乳を楽しむ小絃ちゃん。そんな小絃ちゃんのざらついた舌が肌を這う度に、息を呑んでしまう。一心不乱に小絃ちゃんに口を窄められ吸い付かれる度に、意に反して腰が跳ねてしまう。
……ここが浴室で。私も小絃ちゃんもお互い裸のままで本当に良かったと思う。だって服を着たままだったら……一層恥ずかしいことになっていただろうから。
「(こ、これ……凄い……!)」
なんて甘くて切ない刺激なのだろう。あのお姉ちゃんから、憧れ恋い焦がれたあの小絃お姉ちゃんから与えられる初めての感覚……望んでいた甘い快感。触れて噛まれて吸い尽くされて。身体に、心に熱が灯る。その熱にドロドロと蕩けてしまいそうになる。
「んぁあああああ……っ!」
「ぅあ!?」
ひときわ強く小絃ちゃんに吸い付かれ、耐えきれず思わず声を上げてしまう。自分ですら聞いたことのないような甲高い嬌声が、浴室を反響させながら響き渡った。
「……まーま?」
「…………ッ!」
これにはあれだけ必死に吸い付いていた小絃ちゃんも、びっくりして口を離し……心配そうに、不安そうに……ママである私を見上げてくれる。そんな我が子の愛しい顔を見て、私はハッとする。快楽に溺れかけていた、蕩けて呆けた情けない頭を正常に戻す。
……なにやってるの。しっかりしなさい音羽琴。今の私は小絃ちゃんのママなのよ?『小絃お姉ちゃん』に快楽を与えられているんじゃないの。『小絃ちゃん』に授乳しているママなのよ?色ボケも大概にしなさい。
「……ん、だいじょうぶ。ママは大丈夫よ小絃ちゃん。びっくりさせちゃってごめんね」
「まーま……」
「ほら、遠慮なんてしないで。……もっと飲んでいいのよ」
「まま……!」
小絃お姉ちゃんのお嫁さん(候補)としての音羽琴になりかけていた心を、小絃ちゃんのママとしての音羽琴にどうにか切り替え授乳再開。
自ら小絃ちゃんを胸元に抱き寄せて、背中を優しく撫でながら胸を吸って貰うことに。
「いいこ、良い子ね小絃ちゃん……そう、そうよ……じょうず。ママのおっぱい。たくさん飲んでね……」
今度は快楽に飲み込まれないように自制しながら、小絃ちゃんに満足して貰うべくママになりきってみる。一生懸命おっぱいを飲んでくれる小絃ちゃんの頭を撫で、小絃ちゃんの名前を呼びかけ、おっぱいを上手に吸う小絃ちゃんをいっぱい褒めてあげる。
「小絃ちゃん、おいしい?ママのおっぱい美味しいかな?」
「ぁーい♡」
とろんとした表情でお返事をする小絃ちゃんを見ると。先ほどの快楽とはまた別の、胸がいっぱいになる感覚に酔いしれそうになる。
「(これよ、これなのよ……私が欲しかったものはこれなのよ……!)」
私はずっと願っていた。……大好きな人に求められ、どこまでも曝け出されて無条件に甘えられたかった。それが今、こんな形で叶えられている……
「(…………欲を言えば『小絃ちゃん』にだけじゃなくて『小絃お姉ちゃん』としても。こんな風にもっともっと甘えて欲しいところだけど)」
そこはまあ、おいおいといったところか。なにぶん『小絃お姉ちゃん』は私のお姉ちゃんとして接してきた期間が相当長かったわけだし。根底に『琴ちゃんは守るべき存在』って意識がどこまでも根付いてしまっているから……
「……ね、小絃ちゃん。もっともっと素直になってね。いつかこんな風に……小絃お姉ちゃんとして、私にいっぱい甘えてね」
「ぅー?」
授乳しながら私は静かに、小絃ちゃんの意識の奥底で眠っているであろう小絃お姉ちゃんに囁く。
貴女も小絃ちゃんみたいに素直になってくれる日を……待ってるからね小絃お姉ちゃん。
「ふふ……なんでもないわ。それより小絃ちゃん。……もーっとママのおっぱい堪能してね♡」
「だぁ!」
私の声かけに反応するように。小絃ちゃんは私の胸の谷間に顔をうずめて頬ずりする。……その光景は、当事者である私が言うのも何だけど。なんとも言いがたいものだった。
今はお義母さんの装置の影響で精神は幼子に幼児退行しちゃってはいるけれど。肉体年齢は……当然、小絃ちゃんは18歳の綺麗で立派な高校生だ。あの頃私を文字通り命を賭けて守ってくれた……憧れ恋い焦がれた姿のままだ。そんな(一応)年下の従姉妹にバブバブと甘えて授乳を促しているという端から見れば異様で異常なこの状況。
「…………ふ、ふふふ……いい、いいよぉ……小絃ちゃん、もっと吸って……♡」
……そんなお姉さんの情けない姿をみて軽蔑とかしないのかって?ううん、寧ろ逆。そのアンバランスさ、背徳感が堪らなくて。すごく愛おしく思えてくる。
「まーぁまぁ……ん、じゅる……は、むっ……!」
「ッ……!」
時折小絃ちゃんは容赦なく私の胸をガリッと噛んでくる。生まれたての赤ちゃんとは違い、今の小絃ちゃんは歯が生えそろった状態だ。
当然そんな状態でそんな事をされたら、正直かなり痛いし噛み跡も胸に残っちゃうわけだけど……
「痛…………あっ……♡あ、はぁ……♪」
その痛みすら、今の私に取っては甘い刺激へと変わってしまう。10年前小絃お姉ちゃんに守られて、その額に、体中に。傷を付ける羽目になってしまった私にとっては……こんな風に傷を付けられることが何より嬉しい。
「いい、いいの……小絃ちゃん。もっとしていいのよ……」
「まま……んっ、ん……ぢゅるるっ……!」
「ふ、ふふ……おいしい、おいしいねぇ……小絃ちゃんは上手だねぇ……」
噛まれても意に介さず『いいこ、いいこ』をしながらようやく私も気づく。そっか……上手く言語化出来なかったけど。今ようやくわかったよ。これが母性と言うものなんだ。なんて心地よくて、なんて甘い充足感なの……
「……ぷはっ!……はぁ、はぁ……はぁあああ……」
「…………小絃ちゃん、満足できた?」
一体どれだけの時間が経ったのだろうか。流石に吸い続けるのにも限界が来たのか。ようやく私の胸から口を離し、私の胸の中でぜえぜえと息を切らす小絃ちゃん。背中を優しくさすり続けながら、息が整った頃合いを見てママである私は小絃ちゃんに声をかけてみる。
すると小絃ちゃんは、私に手を伸ばして……
「…………ままぁ……もっとぉ……」
「…………ッ!(ゾクゾクゾク)
上目遣いでそう愛らしくおねだりしてくれた。あ、だめ……すごい。今の凄い……こんな小絃ちゃんの顔を見ただけで、私ったら軽く達して——
「…………うん、うん……いいわ。小絃ちゃんが満足するまで……ママのおっぱい飲んでいいんだからね……♡」
「まま、まま……ままぁ……!」
小絃ちゃんを抱きしめて。そしてまた私は自分のその頂を小絃ちゃんお口に咥えさせる。これ以上無いくらい満面の天使の笑みを浮かべて、小絃ちゃんはまたママのおっぱいを吸ってくれる。
結局この日は、お風呂を上がったそのあとも……小絃ちゃんが満足して胸の中でおねむになるまで……吸われ続けた私であった。
ああ……しあわせぇ……♡
◇ ◇ ◇
~Side:小絃~
「…………なにがあったんだ」
母さんのなにやらよくわからん実験装置を使用して……気がつくとすでに日が変わっていた。いや、うん。十中八九そうなるだろうなとは思ってたからそれは別にいいんだよ?母さんの実験に付き合って意識を失う事なんて、珍しい事じゃないもんね。
それに……なんだろう。凄く良い夢を見たような気がするから……
だからそれ自体は別にいい。うん、いいんだけど……そんな意識が途切れたという些細な事よりも……今凄い問題があってだね……
「小絃ちゃ——おっと、いけないいけない。小絃お姉ちゃんおはよう♪よく眠れたかな?」
「……あ、ああうん……お陰様(?)でよく眠れたよ……」
「そう、良かったわ。…………でも、正直に言ってちょうだい。まだおねむでしょう?ママの——コホン。私の胸の中でもう少しお休みしてて良いんだからね♡」
「…………ええっと」
目覚めると私を慕う元ロリっ娘が、超絶タイプな私のママに目覚めていました。
何を言っているんだお前はツッコまれるかもしれない。実際私もそう思う。…………けど仕方ないでしょ!?こうとしか言いようがないんだから!?
とりあえず現状報告させてほしい。目が覚めたら……どういうわけか琴ちゃんに腕枕されてて。起きた後もいつも以上に私を甘やかしてきているんだが……!?
「ふふ……小絃ちゃ——小絃お姉ちゃん。びっくりしたお顔でどうしたのかな?なにか困った事でもあったりする?……ああ、もしかしてちっち出ちゃうかな?ごめんね、昨日はいきなりだったから用意出来なかったけど……でも大丈夫!今日はちゃーんとオムツも用意できたからね♪ママ——私が、ちゃーんとオムツを取り替えてあげるからね……♪」
何かよくわからんが。何かに目覚めていた琴ちゃんはそう言って慈愛に満ちた表情で、えらく危険な事を口走る。おむ……オムツ……!?ねえ、ホントに何の話!?
「あ、あの……ごめん。全然話が見えないんだけど……昨日一体何があったのママ……?」
「…………ママ?」
「へっ?…………ッ!!?!?あ、え……ななな……何!?ちょ、ごめん……い、今の無し……!ち、違う!これは違うんだよママ……!?って、何言ってるの私ぃ……!?」
おまけにおかしいのは琴ちゃんだけじゃない。私も私で、どういうわけか琴ちゃんをあろうことか『ママ』と呼んでしまっている。一生懸命『琴ちゃん』と呼びたいのに……自分の意思とは関係無しにどうしても『ママ』と呼んでしまう。
こ、これ……状況から見て……絶対奴の仕業でしょ!?おのれ母さん……私と琴ちゃんに何しやがった!?つーか昨日、一体何があったのさ!?
「…………ふふ、ふふふ……良いの、良いのよ。私の事はママって呼んでも……一向に構わないんだからね」
「だ、だから違う……違うんだよママ——っだぁああああ!もう、なにこれ!なにこれぇ!?」
「ママで良いのよ。無理に直さないで。ううん、寧ろママって呼んで♡」
そんなあたふたする私を。琴ちゃんは慈愛に満ちた目で見つめてくれる。その様子は、仕草は……本当に、私のママになっているようで……胸がキュンってなって自然と甘えたくなっちゃ―――いや、だからしっかりしろってば私!?
「ね……それよりも小絃ちゃん」
「こ、小絃ちゃん!?ま、ママもどうしたっていうのさ!?」
「お腹空いたでしょう?今日もいっぱい小絃ちゃんの為に……ママは準備してきたのよ」
そう言って琴ちゃんは、温めていた牛乳をそっと取り出して……
「っ!?ちょ、ちょちょちょ……ままぁ!?なにしてんのホント!?」
「さあ小絃ちゃん……今日もママのおっぱい。たくさん飲んでね♡」
自分の胸元に、その温めた牛乳をトクトクトクと注いでから……押しつけるように私に差し出したのであった。
…………余談だけど。琴ちゃんの事を『ママ』ではなく『琴ちゃん』と呼べるようになるまで、一週間ほど時間がかかり。
そしてその間ずっと……琴ちゃんにこのプレイを強制される羽目になったのはナイショだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます