第24話 ホーリーブラッド教会2

 教会に戻りアンノウンの魔法により消えた状態のままエンネア・ゼロは大司教のあとをつける。このあと大司教は聖女を執務室に招き、解呪の件について話すようだ。

 執務室で業務をこなすガメツィ、部屋の隅で待機するエンネア・ゼロ。

 コンコンコン「失礼いたします」

 10代後半で身長160cm前後のショートカットの女性が執務室に入ってきた。顔がかなり地味で胸も小さめ、恐らくバスト72cmといったところだ。神聖な衣装が無ければその辺を通行しているモブキャラと変わらない。


「よく来てくれた聖女、あいかわらず不細工だな」「やだ~お揃いですね!」

お互い快く思ってないらしくガメツィと皮肉交じりのあいさつをかわしたあと、解呪の話が行われる。

「わかりましたクルス・リンシーさんの呪い、必ず解呪してみせます」

「期待していますぞ」 

(聖女に関しては思っていたイメージと違ったが意志が固そうだ、きっと成し遂げてくれるに違いない)


チラッ、微笑む聖女。

(ん?聖女と目があってしまった。アンノウンの魔法で視覚、聴覚、嗅覚などでは感知されない状態だ。こちらの存在は気づかれていないはず。さすがに触れられたり舐められたりすれば存在はばれるが、十分距離は取ってるし触れられたり舐められたりはしていない、移動してみる。気のせいか)


 その後聖女は退室し、大司教ガメツィも仕事を終え帰宅するようだ。絢爛豪華に装飾された馬車が用意され、大司教は馬車に乗り込んだ。エンネア・ゼロもすかさず乗り込む。

 馬がやや驚いたような声をあげるが、御者がうまく馬をあやつりおとなしくさせ出発する。


 馬車で街道をしばらく進むと目をみはるような豪邸の前で止まった、警備も厳重だ。(大司教の屋敷は貴族並ということか、屋敷に入りもう少しあとをつけよう)


 大司教は屋敷に入りシャワーと食事を済ませたあと、防音完備の自室の椅子にふんぞりかえると独り言を言い出した。食事中にワインを飲んでいたのでほろ酔い加減だ。

「聖女め。まったく何が、やだ~お揃いですね!だ。小娘が、わしをなめおって」

(いろいろストレスがたまっているようだ)


「それとあの男、何が聖女様に会いたいだ」

(今度は私への愚痴か)

「聖女は金のなる木だ。魔王を倒した英雄とはいえ、いかがわしいマジックキャスターなど会わせるメリットがないわ。聖女はしょせん操り人形このわしこそがホーリーブラッド教会の実質トップだ。フハハハハ、雑魚どもが」

 「さてと教会の寄付とはいえわしの懐も潤う。儲かったことだしワインセラーから良質なワインを持ってきてもう少し飲むとしよう」


 大司教ガメツィは裏手にある土蔵に向かう。土蔵の中、巧妙に隠されたレバーを引くと地下に続く隠し階段があらわれた。階段を下りてゆくガメツィ。


「スリップ」「うぉぉぉー」足を滑らせたガメツィは勢いよく階段から転落してゆく。スリップを唱えたためアンノウンの効果が切れたので再び「アンノウン」

ガメツィのあとを追い階段を下りる。

「痛たた、ホーリーシット(なんてこった)」

「キュア」軽い怪我が治った。

(大司教は回復魔法を使えるようだ、確認したかったことは確認できた)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る