第4話 冒険者ギルド(北メシアの町)

救済国メシアライブの北にある北メシアの町の冒険者ギルド 


 冒険者ギルドに向かう途中様々な人を見たが、表情が暗い。

 町は壁に囲まれ比較的安全だが、壁の外にゴブリンなどのモンスターがいる。

飢饉で食料も不足気味、市民は大変に違いない。

 ここが冒険者ギルドか、中を見渡すと

 魔法は使えないが多くの武具防具を扱える戦士に、主に攻撃魔法が得意な魔法使い、武闘派のモンク、回復系魔法が得意な僧侶、目つきがするどい盗賊、偵察が得意なレンジャー、弓矢の扱いに長けた狩人、様々な職の冒険者たちが集まっている。

 (なかなか活気があるな。受け付けはあそこか)

「冒険者登録をしたいのだが」

受付嬢  「ようこそ冒険者ギルドへ。はじめてご利用の方はこちらの条項をよくお読みの上冒険者登録書に必要事項をご記入ください」

 ・冒険者ギルドでは主に掲示板に貼られたクエスト、素材採取、配達、捜索、討伐依頼等をこなしクエスト達成することで報酬を得ることができます。

 ・冒険者ランクは上位からオリハルコン ミスリル 金 銀 銅 新米に分かれており、オリハルコンが最もランクが高く新米が最もランクが低い。

 ・人間族では金ランクが限界といわれておりオリハルコン ミスリルランクは異種族、人外の力を持つなど特別な者でなければ到達することは困難である。

 ・緊急クエストや名指しの特別なクエストは受付嬢やギルドマスターから請け負うことになる。

 ・冒険者登録するには一定のレベルが必要である。

 (なるほど。だいたいわかった)

「あちらの部屋でレベルを考慮しランク査定を行います」

案内された部屋には一人の女性がいた。

「まずは服を脱いでください。そしてうつぶせになってベッドへ この器具でレベルを調べます」

 エンネア・ゼロの背中に特別な器具があてられレベル調査が行われる。

ランク査定も行われランク付けが完了する。

「驚きました。レベル100ですね、確かマジックキャスターということですが申し分ない強さです。普通は新米ランクがスタート地点ですが結論を申しますと、あなたは銀ランクとなります」

「レベル100で銀ランクか・・金ランクになるにはどうすればいい?」

「金ランクになるには特別なクエストをいくつかこなす必要がありますが、今はまだそのクエストを受けることはできません、まずは一般クエストをこなし実績を積み重ねることをお勧めします」

「実績か 掲示板でクエストを探してみるか」


手始めに銅ランクのクエスト ゴブリンキング討伐 のクエストを受けることにした。 

 詳細を受付嬢から聞いてみると街から少し離れたところに小さな洞窟があり、ゴブリンキングはこの小さな洞窟を住処にしているようだ。

 (銅ランクのクエストとはいえ初めてのクエストだ。罠などにかかって死なないようにしないとな)


 街を出てしばらく歩くと目的の洞窟が見えてきた。中に入って探索をしていると洞窟内でゴブリンを発見。

 ゴブリンは醜く邪悪な存在で緑色の肌をした小人だ。野蛮な行動、粗野な部族社会を形成し集団で行動する種族である。ゴブリンの強さは一般人よりもはるかに強い。

繁殖力も高いためゴキブリンと揶揄(やゆ)されることも。


「ファイアーボール」

左手小指の指先から火球がゴブリンめがけほとばしり直撃する。

ゴォォォ、ゴブリンは燃え上がり焦げた匂いがあたりに充満する。

「ゴブリンなど小指一つで十分だ」


 遭遇したゴブリンを倒し続けてわかったが、ゲーム同様モンスターを倒すとまれに素材を落とす。素材は無限の持ち物袋に自動的に送られるシステムだ。

無限の持ち物袋には素材やアイテムなどが入る。

現実と違い拾う手間が省けるし制限が無いので便利だ。

 ゴブリンを倒しながら洞窟の先を進むと奥に広間がありゴブリンが複数いた。

通常のゴブリン以外にゴブリンメイジ、ゴブリンキングが各々一体づついる。


 「ギシャー、ギャーギャー、バガブ、ワハボ」

(何を言ってるかわからないな)

モンスター言語翻訳 によりモンスターの言語が理解できるようになった。


 「人間が攻めてきた、一人だけだ囲め、生きて返すな、殺してしまえ」

「仲間を呼ばれたり連携されると面倒だ。ここは範囲魔法で一気にかたをつける」

広間に突入し

「フレイムウォール」

 フレイムウォールは範囲魔法で複数のゴブリンを対象に発動。

各々のゴブリンの四方を囲むように炎をまとった薄い壁があらわれ、対象のゴブリン達を逃げられないようにして焼いていく。炎の壁が逃げ場を失ったゴブリン達を黒焦げにする。対象の敵に炎耐性があったとしても壁が対象にせまり壁に圧殺される仕組みだ。

  

「炎を使う魔法使いか こちらは水魔法だ」

 範囲魔法対象外のゴブリンメイジはウォーターボールでエンネア・ゼロを攻撃。水球がエンネア・ゼロに直撃すると思われた矢先、水球はかき消える。エンネア・ゼロとゴブリンメイジのレベル差からエンネア・ゼロはダメージを受けない。

ゴブリンメイジは驚いた。「無効化したのか」

「雑魚に用はない ファイアーボール」

ゴブリンメイジはファイアーボールを防ぐ為魔法を唱える「ウォーターシールド」

ウォーターシールドは魔法でできた水の盾であり炎ダメージを軽減する防御魔法だ。

しかしゴブリンメイジのウォーターシールドは盾の役目を果たすことができなかった。

左手小指から放たれたファイアーボールの前にウォーターシールドは瞬時にかき消され、ゴブリンメイジに火球が直撃。火球がゴブリンメイジの体を燃やす。

「馬鹿な、相性では水は火に強いはず。ウォーターシールドで軽減できるはずなのに・・」

「おろかものが、魔力の差よ。私の魔力の前にウォーターシールドなどの軽減は役に立たないものと知れ」

「そんな・・」

ゴブリンメイジは真っ黒に燃え尽きた。

 

 魔法の応酬をしている間別方向から走りながらエンネア・ゼロに接近してきていたゴブリンキングは、魔法を使う者など1撃で殺せるという自信があるのかロングソードを大きく振りかぶりジャンプしながら襲い掛かってきた。ジャンプ斬りだ。

(そんな攻撃食らうわけないだろう)

「グラビティ10」

ゴブリンキングは重力による魔法で圧を受けた。ジャンプ斬りのジャンプ中にグラビティ10をくらったものだから、顔面から真っ逆さまに地面に激突。無様に叩きつけられ、「ブギャッ」と変な声を出す。

 うつぶせにはりつけ状態になり必死に立ち上がろうとするが無駄なことは火をみるよりも明らかだった。十数秒後には圧殺、そのまま絶命した。ゴブリンキングの体重の10倍の重さがゴブリンキングに襲い掛かったのだ耐えきれるはずもなかった。

「こんなものか、戦利品は特にめぼしいものは無いな」


最奥の間に町の人々が捕らえられており救出した。

「ありがとうございます」

「ありがとう」

「この御恩は忘れません」

「助かりました。ありがとう」


 ゴブリン討伐を終えクエスト達成の報告を行い報酬を受け取けとった。

「良いことをすると気分がいいな」

宿屋で疲れを癒し明日に備えることにした。

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