風化
ある日昼寝から起きると膝から下が骨もなく風化していた。
仰向けのまま持ち上げたズボンは際限なくこちらに砂を流し込み思わず顔をしかめた。
テレビでもつけようかと思ったが見つからない。
視界の端に足元……だった所の近くにリモコンは転がっていた。
ズボラな性格故リモコンを足で手繰りよせようにも足がないので体を旋回させて手で取った。
テレビを眺めてみても自分に降りかかっている異常はどこ吹く風とばかりに特に世界は変わっていなかった。
幾らか時が過ぎると風化は胴は胸の下まで、腕に関しては肩から先は風化していた。
臓器もないのにどうやって生きているのか全く分からなかったがこの際どういう理屈であっても全く構わなかった。
ニュースが終わるとテレビは『シリアスノワールソー』というアニメを流していた。
見たくもない番組だったが上顎まで風化した今変える術はないので首を横に向けて末期のアニメを眺めた。
「貴様のような芸術崩れも脳の泉が枯れてはただのクズであることよ」
この雑言、だから嫌だったのだ。
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