第4話 息子への甘え
病室のベッドにウメを座らせると、ウメは自分の力で足をベッドの上に運び、
「明典、背中起こして」
とリクライニングを起こすように頼んだ。
「はいよ」
明典はリモコンでベッドのリクライニングを起こしながら、
「どのくらい? このくらい?」
と加減を聞く。
「あぁ、このくらい。あー、腰が楽だわ」
ベッドのリクライニングはリモコンを使えばボタンひとつで動かすことができる。
それをあえて明典に頼むのは、ウメなりの甘えだった。
明典もそれに気づいていながら、世話をしてあげた。明典は、多少のわがままは全て聞き入れるつもりだった。
「好美さんと未来ちゃんは?」
「今向かってる。付き添いは俺だけだったから……」
「そうかい。で、お父さんはどんな?」
「急に頭が痛いって倒れたんだよ。恐らく脳出血とか、そういう系じゃないかって。詳しくは手術終わってみないと」
「そう……」
自分の方が先に入院したのに、伴侶の方が先に天国に行こうとしているのかと思うと、ウメは切ない気持ちになった。
「おばあちゃん!」
「お義母さん」
しばらくして病院に到着した好美と未来が、不安そうな顔でウメの病室に入ってきた。
「2人とも、そんなに大声出さないの」
「だって……!」
未来はすぐさま、ウメに抱きついた。
「おじいちゃん、急に倒れちゃって……私怖かった」
「一緒にいてくれてありがとうね。きっと手術は成功するよ」
ウメは未来の頭を優しく撫でた。
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