第2話 嫌な予感は、当たる。
「ん〜、いい香り。香りが強くないからこうしないと香らないけれど、爽やかでばーちゃん大好き」
「よかった!」
未来は自分が選んだ花をウメが喜んでくれることが、とても嬉しかった。
「未来ちゃん、今日部活だったんじゃないの?」
ウメはいつでも未来のことを気にかけた。
「1日くらい休んでも大丈夫だから。逆に毎日頑張ってるから1日くらい休ませてよねって感じ!」
バスケットボール部に在籍する未来は、まだ1年生であったためレギュラーではなく、部活のメインは筋トレだった。
「レギュラーになれるように頑張ってね。ばーちゃん、試合観に行くんだから」
「それじゃあ頑張らなきゃ!」
明典と好美は、そんなウメと未来の話す様子を微笑ましく見ている半面、ウメの検査結果が悪かったらどうやって2人に伝えようかと悩んでいた。
*
ウメの病気は検査の結果、肺癌だった。
明典と好美が先生から告知を受け、それをウメ本人と未来にどう伝えるか、夫婦会議が行われる。
「俺は母さんに、後悔しないように余生を生きてほしいと思ってる。やり残したことがないように、やりたいことをやってほしい」
明典は、ウメに病名を告げる選択をした。
「未来にはどうするの?」
「未来も同じだ。母さんに言い残したことがないようにしてほしいから、未来にも告げよう」
全ての精密検査が済んで病名を告知されたのは、ウメが入院してから10日後のことだった。
未来が勉強している部屋に、明典が入る。
「未来、ちょっといいか?」
──あの時と同じだ……。
未来の嫌な予感は、当たってしまった。
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