第120話 ダンジョンでバーベキュー 1


 前回の更新からだいぶ機関が開いてしまい申し訳ありませんでした。


 あと、思っていたより長くなったので分割しました。

 ――――― 




 ミヨガダンジョンの最深部にある部屋に戻る。


 町でバーベキューセットを買ってからシュラ達はウキウキと少し浮き足だった様子で、ダンジョンに到着した今もまだ嬉しそうにちょこちょこと俺の周りをくるくると回っている。


「ですです!」

「しゅしゅー!」


 他の子たちもシュラ程ではないが、少しそわそわした様子でこちらへ時折視線を向けてきている。


 ダンジョンで素材を手に入れるために周回していたので、割と久しぶりにダンジョンの中に戻ってきた。

 この前ダンジョンを成長させた際に補充はしたがどの程度減っているのか、バーベキューを始める前にその辺の確認した方がいいだろう。


 アンゴーラはどこにいるかね、と思い周囲を見渡すといつの間にかシュラにつかまれ運ばれているところだった。必死に抵抗しているようだったが、体格差もあり無駄な抵抗に終わっている。


「アンゴーラ」

「なんじゃあ!」


 いまだに抵抗を続けているアンゴーラに話しかけると律儀に返事をしてきた。

 

「確認したいことがあるんだがいいか?」

「いいが、その前にこ奴を止めてくれんか!?」


 このままだとさすがに話はできそうにないので、シュラからアンゴーラを受け取る。


「助かったのじゃ。それで何を確認したいのかの」

「ダンジョンの報酬とか、まだ余っているか? それとこれからここでバーベキューをしようと思っているんだが、ここでやっても大丈夫か?」


 階層クリアの時に宝箱から出る報酬はこの前大量に補充したから問題ないと思うが、一部のやつらが何度も攻略しようとしていると聞いているので、もしかしたら足りなくなっている可能性がある。


 あとその場のノリでバーベキューをすると言ったがここでやっても大丈夫かどうか、その確認をしていなかった。ここは特殊空間みたいだし、普通の洞窟みたいな場所ではないから多分大丈夫だと思うんだが。


「報酬はまだ余裕があるのぅ。バーベキューというのはよくわからぬ」

「あ、なるほど」


 とりあえず報酬についてはまだ大丈夫と。そういえばNPCとはいえアンゴーラはウサギだからこの辺の知識はないんだな。


「ここで火を使って肉を焼いていいかってことなんだが、大丈夫か? 結構煙が出たりするんだが」

「焚火をするということかの?」

「ちょっと違うが、それに近いことをするって感じだな」

「それなら大丈夫だと思うのじゃ」

 

 いまいちアンゴーラに何をするのか伝わっていないようだが、この空間で火を使うのは問題ないようだ。

 

 確認も取れたし、視界の端でシュラ達が待ちきれなさそうな表情をしているから、さっさとバーベキューの準備をしていこう。

 

 インベントリの中からバーベキューセットを取り出し、目の前に出てきた説明書通りにセットしていく。

 バーベキュー用のコンロはインベントリから出した時点で組み立ててあるのでそのまま置き、コンロの中に別途購入した木炭(燃料)を入れる。

 木炭を入れたところでシュラ達がコンロの傍に近寄ってきた。


 これから火を付けるわけだが、もしかして火が付いた状態のコンロに触ると燃焼ダメージとかやけど状態になったりしないよな?

 調理中にダメージが入るって話は聞いたことはないが、自分の失敗を嬉々として語る奴はそうそういない、……いや、掲示板だと話題になれば結構いるな。


 まあ、何が起こるかわからないし、直接触らせないようにするに越したことはないな。


「触るとダメージ入るかもだから少し離れていような」

「です」


 コンロに触れようとしていたシュラを窘め、コンロに入れた木炭に火をつける。現実ならここに着火剤やなんやらがあるわけだが、さすがにそこまで作りこまれていないようで、あっさり木炭に火が付いた。


 さてこれであとは肉と野菜を焼いていくだけだな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る