第108話 鉱石ダンジョン
ダンジョンの中に入るとすぐにどこかで見た鉱山の採掘場所のような空間が広がっていた。入口付近はしっかりと舗装されているが、奥を見る限り舗装されいるエリアはほんの少しだけのようだ。
事前情報通りの光景ではあるが、ダンジョンらしいダンジョンだろう。
「さてと」
本来ならダンジョンの中に入る前にいろいろ確認する予定だったのだが、そうするよりも先に中に入ってしまったので、今から最終確認だ。
インベントリの中は問題なし。装備も付け忘れはないな、うむ。問題なし。
「シュラたちもちゃんといるな」
「です」
「ん」
「シュ」
「にゃう」
「ちゃう」
うむ。全員ちゃんといる。まあ、飼い主?である俺がエリアチェンジすればシュラたちテイムモンスターも同じようにエリアチェンジするように出来ているから、ついて来ていないってことはあり得ないんだが。
例外は移動する前にテイムモンスが死んだ時くらいだな。これだって余程の状況でないと起きないわけだが。さっきも絡まれかけていたとはいえ、追い討ちされるような状況ではなかったから起きるわけもない。
確認も済んだのでダンジョンの中を進んでいく。
ちらほら採掘ポイントらしき鉱床が見つかるが残念ながら俺はそのスキルを持っていないし道具もない。一応、取得できるスキルに余裕はあるがここで採掘をするためだけに新しくスキルを取るつもりはない。
強引に採掘し続ければ何かしら手に入るような気もしてくるが、そうやって掘ったところで取れないことはウロボロスのメンバーが検証し、取れなかったことを確認しているので試してみる意味もない。
まあ、そもそも採掘道具を持ってきていないから、できるできないの問題ではないのだが。
しばらく小型の雑魚モンスターを倒しながら先に進む。目的のモンスターはまだ出てきてはいないが、ドロップアイテムは結構な頻度で拾えているので、実に未入りの良いダンジョンである。
まあ、ドロップアイテムが多い理由は俺のLUKが異常に高いせいの気もするが、もとよりドロップアイテムが多いダンジョンなので、通常より多かったとしても他のプレイヤーとそれほど差は無いはずだ。
俺の前を歩きながら出てくる雑魚モンスターをことごとく屠っているシュラと朱鞠の後をついて進んでいると、ぷらてあが俺の装備している服の端を引っ張った。
「……あれ」
そう言ってぷらてあは少し先にある大きな岩を指差した。
一見するとその岩はちょっと特殊な採掘ポイントのように見えるが、よく見れば若干動いているのが見てとれた。
「あれが、鉱石を落とすゴーレムか?」
ちゃんとした鉱石をドロップするのは、ゴーレムのようなモブモンスターよりも強い存在という話を聞いているので、あれがゴーレムであればおそらくそうなのだろう。
そうこうしているうちにシュラたちがその岩に擬態したゴーレムに近づいたことで、戦闘状態になったのかゴーレムがのそりと立ちあがった。
「シュラたち……は、あぁ、もう気づいているのか。それじゃあ、キャラメルとやちゃるも程々に闘いに参加するように。特にやちゃるは耐久紙だから攻撃が当たらないところから攻撃するようにな」
「ちゃぅ」
「にゃーう」
動き出したゴーレムと戦い始めたシュラたちを見てそう声をかけると、俺の少し後ろからついてきていたキャラメルがそう鳴き声を上げてシュラたちのところまで駆けていく。嬉々として戦いに行くその様子に少々不安になるが、キャラメルは回避型のテイムモンスであるから、鈍重な攻撃が多いゴーレムなら問題はないだろう。
そしてやちゃるは特に動くことなく、俺の肩に乗ったままそこから攻撃を飛ばしている。
俺の顔の真横から魔法攻撃が飛んでいくというのは少し怖い。できれば横着せずもうちょっと敵に近づいて攻撃して欲しいものだが、ここであれば安全なのは確かなので文句は言いづらい。
今回ダンジョンに来た目的は素材集めという面もあるが、キャラメルとやちゃるのレベル上げ、経験値稼ぎをするという目的もある。まあ、【育成】スキルで素材を使えばレベルは上がるが、それだとモンスターとの戦いが下手になるってことがあるらしい。
シュラやぷらてあ、朱鞠は【育成】スキルによるレベル上げがほとんどとは言え、今までしっかり戦闘はしてきているのでその心配はないだろう。ただ、最近テイムしたキャラメルとやちゃるはレベルは上げてあるが戦闘経験はほとんどない。特にやちゃるに関してはボス戦以外の戦闘経験はほぼないと言っていい。
ここに来るまでの道中、モンスターと遭遇はしているがほとんどシュラと朱鞠が単独で倒してしまっているので、レベルが上がったもののおそらく戦闘としての経験にはなっていないだろう。
上層であればゴーレムでもそこまで強くはないと聞いているので、ボスがいるであろう下層に行くまでに多く戦闘して、ドロップアイテムと経験値を多く獲得できるよう頑張るとしよう。
―――――
ぷらてあはゴーレムなどの物理防御が高い相手との相性があまり良くないので、何かあった時のためにミヨの隣で待機しています
ダンジョンらしいダンジョンとミヨは思っていますが、あくまで彼(彼女)の感覚です
自分で書いておいてなんですがダンジョンらしいダンジョンってなんなんでしょうね?
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