第107話 逆恨みボッシュート
ギルドでセカンド職をダンジョンマスターに設定した後、そのままダンジョンへ向かった。
本来目的だった依頼についてはギルドの転職機能のことに気づく前に受けていたので、可能な限りの依頼を受けてきている。
この依頼を終えればギルドポイントが規定値以上になるので、ギルドランクがDからCに上がるはずだ。
村を出て30分ほど移動したところで、プレイヤーたちから鉱石ダンジョンと呼ばれているフィアーナダンジョンの入り口に到着した。
ダンジョンの入り口付近には数パーティーが休憩なのか、これから入るために準備をしているのか話し合いをしているのが確認できた。
数人が俺たちの存在に気づいてこちらを見ているが、できれば関わりたくはないので、声をかけられたりする前にダンジョンの中に入ることにしよう。
そう考えてさっさとダンジョンの入り口に向かったところで、柄の悪そうなプレイヤーの1人と目があった。
何処かで見たことがあるような……
まあ、俺も結構ダンジョンで素材集めをしているからダンジョン関係では顔見知りくらいはいる。その内の誰かなんだろうが微妙に嫌悪感がくるのはなんでだろうか。
しかしほぼソロ活動していて、関りのあるプレイヤーが本当に少ないから見れば知り合いかどうかはわかるし、見覚えが無いということは初めて会ったプレイヤーのはずだよな?
初見の相手に嫌悪感を抱くなんて普段ではないんだが。
「ん? あ″?! テメェは初日の!」
俺が知り合いではないと判断したところで、そのプレイヤーが俺に向かって大声を上げて来た。
目が合っただけでいきなり声を上げて来るとか、なんかやべぇ奴だな。
しかし、初日? その日に関わったプレイヤーって言ったらイケシルバーくらいだったはずだが…………あぁ、いたわ一人。ガチムチマッチョの迷惑プレイヤーが。ああ確かにこんな感じの見た目だったか。数分も関わっていないから存在自体忘れていたわ。
で、声のかけられ方からして逆恨みっぽいなぁ、これ。
「テメェのせいであの後1日、ログインできなくなったんだぞ。責任とれや!」
いやいや、あれは誰がどう見ても自業自得でしかないだろ。それに強制退場させられたからってログイン1日禁止されるとは考えられないから、あの後の行動も悪かったってことだよな。
意味の通じない大声を上げながらガチムチがこちらに近づいてくる。このまま関わるのはどう考えても面倒ごとにしかならないのは明白。即座にこの場を離れようとしたところで、そのガチムチと一緒にいたプレイヤーたちがそいつの前に立ち塞がり動きを止めた。
「おい止めろ。この前みたいにペナ食うだろ!」
「ほんとだよ。また巻き添えを食うのは勘弁だからな」
「そろそろ切った方がいいだろこいつ。メンバー足りないから臨時で入れてるけど、問題起こしすぎなんだよ」
他のメンバーからも嫌われているっぽいな。それに頻繁に問題を起こしているようだし、運営に注意されても反省しないプレイヤーなんだろう。
パーティメンバーに入れたのが運の尽きというか、巻き添えでペナルティ食らったみたいだしご愁傷様というか。まあ、その段階で切り捨てればよかったのにとは思うが。
「俺はこいつのせいで初日を無駄にしたんだぞ?! ここで黙ってろって言うのか?!」
「どうせ前みたいに相手に非がないのに言い掛かりで自分から喧嘩ふっかけただけだろ。自業自得だ!」
「リーダーもうこいつ追放しろよ。流石にもう我慢できない」
「メンバー少なくなったから臨時でってことだったがさすがに――」
どうやらガチムチの行動に耐えかねてパーティから追放される流れになりそうだ。ま、これも自業自得でしかないが。
自分のことしか考えていないやつと関わっても不毛なだけだから、さっさとダンジョンの中に入るに限るな。
ただ面倒なのは、こいつらがダンジョンの入り口の近くに居るってことなんだよな。どうしても中に入るにはあいつらの前を通る必要がある。
絶対絡まれるよなぁ。
見た感じ、他のメンバーに抑えられてはいるけど、セクシャルガードの関係で完全に制止することは出来ないし、強引に来るだろう。まあ、そうなったらこっちで通報すればこの場から退場させられるとは思うが、今の状況じゃあ通報しても意味はないだろうしなぁ。
……いや? 前に絡まれたことを伝えた上で逆恨みされていて、絡まれそうになっているって通報すれば対処してくれるか?
それか、一切あいつのことを無視してダンジョンの中には居るってのも有りだな。初日の時もそうだったが、セクシャルガードによってこのアバターには直接触れないようになっているから、掴まれて強引に止められるってこともない。ダンジョンの入り口もそこまで小さくはないから、塞がれてはいれないってこともないはず。
どうするかな。…………まあ、通報しつつ強引に前を突っ切ればいいか。あまり時間を使いたくないし、あわよくばあいつをこの場から退場させることが出来るかもしれない。
ステータス画面からウィンドウを操作し、文章で通報する。前と同じように音声での通報でもよかったのだが内容を聞かれたら面倒なことになるかもしれないから、今回はこっちの機能を使った。
ガチムチ達はまだ言い争いをしているようで、あまりこっちを気にしている様子はない。
俺がその様子を確認していると、1人こっちを見て頭を下げて来たプレイヤーが居たがあれがあのパーティーのリーダーだろうか。
ま、ガチムチの意識がこっちに向いていないなら好都合だな。
「あ!? てめぇ待てこ」
横を通り過ぎる際に、ガチムチらしき怒鳴り声が聞こえて来たがそれは一切無視して進む。
そうして俺は言い争うをしているプレイヤーたちの近くを一気に通り過ぎ、そのまま足を止めることなくダンジョンの入り口をくぐった。
途中で声が途切れていたが、気にすることでもないな。
―――――
職業:ダンジョンマスターの説明は追々します
ガチムチ君はペナの累積でまたログイン停止を食らいました。
ステータスを更新しましたので確認したい方は下のリンク、または作品ページより移動してください。
↓ ミヨのステータス置き場リンク
https://kakuyomu.jp/works/16816452220059104663/episodes/16816452221114863860
※前回のステータス開示から話数が空いていますが、日数的にはそれほど経っていないので、変化は少な目です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます