第104話 次の目的地は
ギルドに預けていたぷらてあと朱鞠を引き取りに行くとなぜかギルドの前がプレイヤーでごった返していた。
さらにギルドの中は、ごった返す、どころではなく鮨詰め状態といった方がしっくりくる状態になっており、それくらいにプレイヤーがギルドの中にあふれ返っている。
まあ、こうなっている原因はおよそわかってはいるんだが。
……ああ、掲示板も阿鼻叫喚状態だなこれは。我先にとギルドに入っていったプレイヤーたちはご愁傷様だわ。
それにしてもこんなにプレイヤーが集まっている状況は最初にログインした時と、この前のイベント後に変なやつに絡まれた時くらいか。見る限りその時以上の状態だが。一応前の2つは動けない程ではなかったし。
幸い、この町のギルドは総合ギルドで、依頼などの手続きをする場所とその他、要はテイムモンスターを預けたり、アイテムの売り買いをする場所は別口となっている。そのためわざわざプレイヤーで鮨詰めの状態の中を進む必要はない。
少しでも前に進もうともがいているプレイヤーたちを横目に、俺はギルドの中でも区切られたほとんどプレイヤーのいない場所を進み、受付でぷらてあたちを引き取る。
「……」
「シュ」
預けられていたことで寂しかったのか、ぷらてあは無言で俺にしがみ付き、朱鞠は身を寄せてきた。
その行動を見て少し罪悪感を覚えたが、苦手属性のボスとの戦闘に連れて行くのは流石にリスクが高いため、心を鬼にとまではいかないが仕方ないことなので諦めて欲しいと思いながら2匹を優しく撫でた。
ぷらてあたちを引き取ったことで鮨詰め状態になっている方向から視線を感じるようになったが無視する。我先にと群がるプレイヤーに関わってもいいことはない、というのはよくわかっている。全員が全員そういうプレイヤーではないのは理解しているが、今までの経験上面倒な人間が多いのは間違いないからな。
シュラやぷらてあたちが可愛くて目立つことは認めるが、全員がただ見ているだけというのはあり得ないんだ。面倒な奴らに絡まれる前に用事を済ませてこの場から去った方が良いだろう。
しかし、本当ならギルドでやりたいことが他にもあったんだが、さすがにこの中に入っていくのは嫌だし、たぶんこの混雑の原因がそれなんだろう。
うーむ。なるべく早めにセカンド職を解放しておきたかったのだが、この状況だと当分出来そうにない。
他の場所にあるギルドも同じような状況だろうし、後に回す予定だったことを先に進めることにしよう。
まずはこれからフィールドに出ることになるのでギルドを出る前にボス戦で使ったことで減った消耗品アイテムを買う。といっても、HPは回復魔術を俺が取得しているから消耗品アイテムで買うのはMPポーションだけだが。
ついでに目ぼしい素材も買いだめしておく。シュラたちのレベル上げにも必要なので、素材類はこういったタイミングでもこまめに買っている。
こういう物は必要な時になってから買うのでは、数を買うことが出来ないことが多いので、必要になってから買うのは必要数が揃わないというリスクがある。なので買える時に買っておいた方が良い。
特に素材系はイベント前など、武具を新調することプレイヤーが多くなると必然的に需要が高まる。そうなると本当に買えなくなる。
前のイベントの時も多くの素材が無くなっていたし、残っていたものも転売プレイヤーが異常なほど値段をつり上げた物だけだった。
ただ、今のところ次のイベントの情報はまだ出ていないし、当分の間は変に値段が上がることはないだろう。若干ゴブリン素材の数が少ないのと値段が上がっているのが気になるが、ゴブリン素材の使い道でも見つかったんだろうか。
買い物も終わりそのまま町を出る。
目的地は今いた町から少し離れた場所にある山。その近くに存在するダンジョンだ。名前はフィアーナダンジョン。
固定ダンジョンで鉱石系のモンスターが多数出現するダンジョンとして有名らしい。
ダンジョン自体は既にクリアはされているが、ダンジョン内で出現する特定のモンスターを倒すことで宝石や属性を帯びた鉱石などのレア鉱石を落とすことがあるらしく、最前線が第6エリア、近い内に第7エリアに移ろうとしている時期でも人気のあるダンジョンだ。とイケシルバーから聞いた。
その情報を貰ったのは第6エリアに進む前の事だったが、その時はどちらかといえばエリアボスの方が近かったのでそちらを先に済ませたのだ。
そんなわけで第6エリアから出戻りという形にはなってしまったが、俺たちもその鉱石、その中の属性鉱石を求めてそのダンジョンに向かうことにした。
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