第64話 ギルドランクがDになった

 

 ダンジョンを手に入れた翌日。いつもより少し早い時間からFSOの世界にログインした。


 理由は、今日が日曜日のためプレイヤーのログイン率が上がるだろうから、ログインしてくるプレイヤーが増える前に依頼を熟してしまおうと考えたからだ。


 昨日は土曜日だったがイベント当日だったため、通常フィールドに居たプレイヤーの数はそこまでではなかった。

 しかし、今日はイベントではないし、休日だ。そうなれば昼間だろうと通常フィールドにプレイヤーが増えることになるから、依頼を熟すのに時間が掛かるようになる。それを避けたかったから、早い時間からログインしたわけだ。


 昨日と同じようにギルドに赴き、依頼を受ける。

 今回受けた依頼を全て完了させれば、晴れて第4エリアに向かうためのエリアボスと戦うことが出来るようになる。



 そして、いくつか依頼を熟していると、フレンドメールの着信音が聞こえて来た。


 周囲の安全を確認した後、フレンドメールを見てみると送ってきたのはどうやらイケシルバーだった。メールを開きその内容を読んでいく。


 ああ、第4エリアに行くための手伝いをしてくれる提案だな。いやでも、本題はこれじゃないな。何か新しい情報は無いかってことか。

 まあ、インスタントダンジョンの情報とか、PMダンジョンを話すのはありかな。他に売れそうな情報は……今のところないか。


 そもそも、前に情報交換した時からそれほど時間が経っていないから、新しい情報なんてそんなにある訳ないよな。


 とりあえず、手伝いは要らないという返事と、新しい情報があることくらいは報告しておくか。

 おっと、そうだ。イベントの結果について祝いの言葉でも書いた方が良いな。個人戦が準優勝とパーティー戦が確か3位だったよな。


 というか、あいつら強かったんだな。イケシルバーがそこそこ強いのは知っていたんだが……いや、なんで情報系クランなのに上位に食い込んでいるんだ? 検証するのもクラン活動の内とか言ってはいたが、さすがにおかしいだろ。まあ、強かろうが弱かろうがどっちでもいいか。俺には関係ないし。


 フレンドメールの返信を終えて、また受けている依頼を熟していく。今受けている中で完了していないのは3つ。これを完了させればエリアボスと戦うための条件を満たせるのだ。



 30分ほどかけて残っていた依頼が完了したことの報告と、第4エリアに行くためにエリアボスへ挑む許可というか、ギルドランクを上げるためにギルドの窓口へ向かう。


「依頼が完了したので報告に来ました」

「ギルドカードの提示をお願いします」

「はい」

「ありがとうございます。少々お待ちくださいね。…………うん。ちゃんと完了していますね」


 指示に従ってギルドカードをカウンターに出すと、受付嬢は受け取ってすぐ更新するためのアイテムにギルドカードを触れさせた。そして、ギルドカードが一度小さく発光すると、そのアイテムから離しカードの内容を確認して俺に返してきた。


「今回の依頼を完了されたことでギルドポイントが一定値を越えましたので、ギルドランクが1つ上がります。これでギルドランクはDになりました。おめでとうございます」

「ありがとうございます。それで、次のエリアへ行きたいのですが、このまま行っても大丈夫ですか? 何やら条件を満たさないといけないと聞いたのですが」

「第4エリアへ行くための条件はギルドランクをDにすることと、職業がテイマーの場合は対応するスキルの平均レベルが25以上ですから、ミヨさんは問題なく先に進むことが出来ますよ」


 ああ、そういう事、なるほど。職業によって条件が違ったのか。

 詳しく調べなかったのから、何個も条件を満たさないと駄目だと思っていたんだが、実際は2個だけか。それも普通にプレイしていれば割と簡単に満たせるやつ。

 まあ、確かに最終地点が何処かはわからないけど、まだ第3・4エリアなのだから、そんな面倒な条件が出て来る訳ないわな。


「そうなのか」

「ええ」


 エリアボスに問題なく挑めることを確認した後、受付嬢に再度礼を言ってギルドを出る。


 さて、それじゃあ、さっさとエリアボスであるモンスターを倒して第4エリアに向かうとしよう。

 確か、エリアボスの種類はキラープラント、だったよな。苦戦しないといいんだが。

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