第65話 キラープラント
第3エリアと第4エリアの間にあるエリアボスの戦闘エリアへ向かう。
今回戦うエリアボスはぷらてあと同系統のからめ手が強いタイプだ。まあ、見た目はウツボカズラっぽいみたいだから、ぷらてあみたいに可愛い感じではない。
それにぷらてあステータスって物理面が割と弱いんだけど、このボス普通に蔓で締め上げてダメージを与えて来る攻撃があるから、ステータス面では大分違うだろうな。
エリアボスの戦闘エリアへ進む。戦闘エリアの前には他のプレイヤーも居たけど、同時に入ったとしても別の戦闘エリアに飛ばされるだけなので、ダンジョン同様、順番待ちというのは存在しない。
視界に映るエリア変わる。まあ、劇的に変わるという訳ではないけれど、少なくとも戦闘エリアに入る前に見えていた先の光景とは違う場所だ。
『エリアボスとの戦闘エリアに入りました』
森の中ほどではないが、周囲に木々が生えている中に広がる背の低い草だけが生えた空間。その中心に大きなモンスターのシルエットが現れる。
「ジョワワワワワアアアァァァァ!!」
黒味がかったシルエットからはっきりと色がわかるようになると、そのモンスターが雄たけびを上げる。
植物系のモンスターであるため、今までのエリアボスのような大きな音ではないけれど、十分に相手を威圧できそうな声量はある。しかし、俺はそれよりも別の事を考えていた。
何だろうなぁ。その叫び声だと子供の頃に見た再放送特撮に出て来た、銀色の戦士を思い起こすんだが。今まで普通に忘れていたのに何でこのタイミングで思い出すかな。
と言うかあの戦士、街中で戦う時にビルとかに当たっているから高確率で人殺してねぇか? 怪獣が出てきて街が混乱して、そこに戦士が来る。そして戦いは基本的に肉弾戦だから、戦っている間に周囲の建物が損壊するなどの影響が出る。あれ、明らかに避難できていない奴いると思うんだが。まあ、子供向けの特撮だし、近くに居た人は全員避難が完了していることになっているんだろうけど。
って、こんなことを考えている場合じゃなかったな。
「シュラと朱鞠はいつも通り攻撃で、ただし、攻撃したら一旦距離を取る事。捕まったら抜け出せるのかがわからない。ぷらてあは遠距離から蔓で攻撃してくれ」
攻略情報だとSTRが300を超えていれば拘束されていても抜け出せるとは書かれていたが、本当かどうかはわからないし、それがテイムモンスターにも当てはまるかはわからない。だから出来るだけリスクを避けるように、出来るだけ捕まらないようにしながら攻撃して、HPを削っていけばいい。
ぷらてあに関しては正直、このボスとの相性が悪い。状態異常は効き辛いらしいし、見た目からもそんな感じがする。
おそらくこのボス戦で一番活躍できるのは朱鞠だろう。拘束技も使うが元より攻撃パターンがヒットアンドアウェイだし、攻撃力も高いからな。シュラも植物系モンスターに有効な漸属性武器を取り込んでいるからダメージは稼げるとは思うけど、朱鞠ほどAGIが高くはないからな。
俺はシュラたちとぷらてあの中間くらいの位置でサポート役だな。基本、後ろに居るぷらてあの邪魔にならないように補助魔術と回復魔術で前衛のシュラと朱鞠をサポートして、余裕があれば光魔法で攻撃する形だ。
前衛のシュラたちが着実にエリアボスのキラープラントにダメージを与えていく。
誰も蔓に拘束されることは無かったのだが、キラープラントのHPが半分を切った時の特殊攻撃で、溶解液を周囲にまき散らした際にシュラがもろにそれを浴びてしまった。朱鞠は何事もなく回避していたが。
すぐさま俺が回復魔術を当ててHPを回復させたが、実際のところそこまでダメージを受けていなかった。いや、溶解液が付いていた間はスリップダメージを受けていたから、すぐに対処していなければより多くのダメージを受けていただろう。
「あとちょっとだけど、油断するなよ!」
「わかったのです!」
「シュ……」
キラープラントのHPが10%を下回ったタイミングで前衛の2人に声を掛ける。キラープラントはHPが20%くらいを切ったくらいから攻撃を激しくし、何度も2人を拘束しようと蔓を振り回していた。
おそらくあれに捕まればぷらてあの攻撃にあるように、HPを回復させようとドレイン攻撃をして来るのだろう。
そして、声を掛けてから1分程でキラープラントのHPは底を尽き、力なく体を地面に横たえた。
『エリアボス キラープラントの討伐に成功しました。
これにより次のエリアである第4エリアへの移動が可能になりました』
キラープラントを倒したことでアナウンスが響く。
「よし、これで第4エリアに行けるな」
「なのです!」
「うん」
「……」
倒れていたキラープラントの体がポリゴンになって消えていくと同時にエリアが切り替わっていき、俺たちは第4エリアに足を踏み入れた。
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