第31話 2匹目
満腹度を回復させた後に森に入って30分ほど。依頼用のアイテムを採取しつつ、出て来たモンスターを倒していた。
出現するモンスターは町の周辺に出て来るモンスターとは少し異なり、森特有と言えるモンスターが出現している。
この森でこれまでに倒したモンスターは蜘蛛型モンスターのリトルスパイダー、木の芽が出ている苔玉のような植物系モンスターのプランテ。後は森に適応した感じのネズミ、フォレストラットと犬のフォレストウルフだ。
他にも居るかもしれないが主にこの4種類とエンカウントして戦闘をしている。
全種類、特別苦戦するようなモンスターではないので1撃で倒せているが、森の外のモンスターに比べて1段階くらい強いので、囲まれたら死ぬことは無いけどそれなりにダメージを受ける感じだな。
おっと、依頼で必要なアイテムを発見。これで後は報告するだけだから、依頼は実質完了だな。
そう思いながら、目の前の木の根の近くに生えていた採取依頼で指定されていたアイテムの【木漏れ日薬草】を採取する。それと同時に【木漏れ日薬草】と木の根を挟んだ隣に小さな青い花が咲いている苔の塊を見つけた。
ん? 何かレアアイテムか何かだろうか。森に入ってそんなに時間が経っている訳ではないけど、今のところ採取をしていて一度も見かけたことのない花だな。レアっぽいが採取の前に鑑定をしておくか。
「鑑定。…ん?」
え、鑑定が失敗した? 今までこんなことは無かったんだが、どういう事だ?
「ぷぁー!」
「んおっ!?」
鑑定で何の情報も得られなかったことに首を傾げていると、突然、花が咲いている苔の塊が俺に向かって飛び掛かってきた。
「モンスターかよ! いやでも、何で鑑定できなかったんだ?」
飛び掛かってきたモンスターの攻撃を躱して、隙を見て看破を発動する。見た目的にはこの森で出て来たプレンテとほぼ同じだが、今まで倒したプランテには花なんて生えていたことは無いから、別の種類の可能性がある。
[(モンスター)プレンテ(青花) LV:8 属性:樹木]
HP:70
MP:54
総合攻撃力:16
総合防御力:24
スキル:擬態・体当たり
プレンテではあるのか。ただ、(青花)って付いているってことは通常個体ではない。特殊…いやレア個体か? スライムとレアスライムくらいの差はありそうだが、どうだろうか。
とりあえず、倒す…のはなしだな。レア個体っぽいからテイムしてみるか。枠も余っているし、当てがあった訳でもないしな。
ただまあ、問題があるんだよな。テイムスキルって、チュートリアルでも言ったけどテイム対象のHPが少ない方が成功率は上がるんだよな。だから1、2発攻撃を当ててからテイムスキルを使った方が良いんだが、現在、俺とシュラの攻撃力では最弱攻撃1発でも攻撃を当てたら、おそらくこのプレンテは即死するだろう。
なのでテイムをしたい場合は、一切ダメージを与えないでテイムスキルを使う必要があるんだ。一応テイム成功率を上げる耳飾りを付けているから、ほんの少しテイムしやすいはずだ。
まあ、1回で成功することは無いだろうから、これは長期戦を視野に入れないといけないのか。
「とりあえず、テイム!」
「ぷぁ?」
『…テイムに失敗しました』
失敗…まあ、最初だし成功するとも思っていなかったからもう一回だな。テイムを失敗したことにより、ペナルティで10sのリキャストタイムが発生してしまっているのでそれが明けると同時にもう1度テイムスキルを使う。
「テイム」
『…テイムに失敗しました』
さらに失敗か。もう一回だな。レア個体はなるべくテイムしておきたいから、もう少し粘ろう。
「テイム」
『…テイムに失敗しました』
・
・
「これで23回目、テイム!」
『…テイムが成功しました。テイムしたモンスターに名前を付けてください』
「ぷ? ぷぁー」
ようやくテイム成功か。しかし、名前は何にするか。植物だしリーフ…は駄目だな。確実に被るし、他の奴…種族名がプレンテだし、プラント…はありきたりだし、ぷらん、ぷらて…ぷらてあ、でいいか。
これ以上考えていても別の名前は出て来なさそうだし、これにしておくか。
『新しくテイムしたモンスターの名前を、ぷらてあに設定しました』
よし、名前は付けたからステータスの確認をするか。
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