第30話 〇〇したそうにこちらを見上げている
町の近くのフィールドを離れて少し離れた場所にある森の前に到着した。
ちょっとステを確認…満腹度は…73%、まあまあ減っている感じか。
これは余裕があるうちに満腹度を回復させておいた方が良いだろう。今は問題ないけど、この先満腹度を回復できるような余裕がない可能性もあるし、ギリギリの状況で戦うのも集中できないだろうから、出来る時にしておいた方がいいはずだ。
フィールドに出る前に買い込んでいた満腹度が10%回復する携帯パンというアイテム名を持った、コッペパンのようなパンをインベントリから取り出して食べる。
うーん、まあ、携帯食扱いのパンならこんな物か。まずくはないが、特別美味くはないパンを齧りながらそう思う。
イケシルバーに連れていかれたところで食べた料理は結構おいしかったからもしやと思っていたが、普通のコッペパンだな。最近食べていないから本当にこれがコッペパンだと明確に判断はできないが、たぶんコッペパンだ。
これで満腹度は83%か。もう一個食べておいた方がいいな。ん? シュラが俺を見て…いや、携帯パンを見ているのか。
「シュラも食べたいのか?」
「…です」
若干恥ずかしそうに視線を逸らしたが、食べたいみたいだな。…いや、テイムモンスって食べ物、食べられるのか? さっきの料理には一切反応しなかったんだが、他のプレイヤーが居たからか? それとも単に今俺が食べているのを見て食べたくなっただけか。
とりあえず、あげてみるか。食べられなかったら俺が食べればいいよな。じゃあ、携帯パンを半分に千切って…お? 携帯パン1/2ってアイテム名になって…インベントリに入れられなくなった? なるほど、食べられる量は調整できるし、残った方は別のプレイヤーに上げられるんだな。ただ、半分だけ残して後で食べるは駄目と。
まあ、今それは関係ないな。シュラに半分に千切ったパンを渡そう。
「です!」
シュラは嬉しそうにパンを受け取り、受け取ったそれを一口で丸のみにした。呑み込んだパンは…さすがに見えないか。
おおぅ、スライムゥ。いや、うんまあ、確かにシュラはスライム系統だけどさぁ、いきなりこれは…何と言うか、ああ、あれだ。バッカルコーン的な感じだな。いきなり、がばぁ、はビビるだろ。
「なのです!」
「ああ、そうか」
嬉しそうにしているから多分美味しかったという事だろう。丸呑みなのに味がわかるのか、とも一瞬考えたがスライムなのだから人よりも味覚が敏感かもしれない。
しかし、何でいきなりパンを欲しがったん…もしかして、テイムモンスにも満腹度が実装されているとかじゃないよな? …一回確認するか。
『NAME:シュラ 種族:ヒューマスライム LV:26 属性:水
HP:315 / 315 MP:165 / 165
STR:199(92) INT:156 総合攻撃力:167
VIT:148(8) MND:175 総合防御力:157
AGI:185(45) DEX:101
スキル:ウォーター・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 4・回避・武器 』
ふむ、見る限り満腹度は実装されていないようだな。育成スキルでレベルが上がって、それで得た補正値でステータスが増えているだけだな。ああ、いや、いつの間にかに武器とか言うスキルを覚えているな。まあ、おそらくスライム魔法で体を武器にして戦っている影響だろう。
うーん、満腹度が無かったという事は、やっぱり俺が食べている所を見て食べてみたくなっただけか。他に理由もわからないし、たぶんそう言うことなのだろう。
まあ、食べたところで何か影響がある感じでもないし、次も欲しがったら上げる感じで良いか。携帯パンは大量に買い込んでいるし、シュラに1個2個あげたところで無くなることもないからな。
満腹度も回復させたし、さっそく森の中に入ることにしよう。
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