第28話 情報提供

 

「ヒューマスライムですか」

「聞いたことのない種族名だの。レアスライムから進化できる種族にそのようなものは無かったと記憶しているのじゃが」

「その辺を聞かれても俺にはわからないが、レアスライム、ハイレアスライム、ヒューマスライムの順で進化だな」


 聞いたことが無いと言われても俺にはその理由はわからないし、検証する気もないから知りたかったら再現してくれって感じだな。俺はあくまでこうしたらこうなった、という情報を教える以上のことはするつもりはないし。


「え、既に2回進化している?」

「なるほどのぅ。直接ではなくハイレアスライムを経由しているんじゃな」


 エティテプがシュラが既に2回進化していることに驚いているが、別段おかしい事ではないと思うんだよな。


「テイムモンスはプレイヤーと違ってレベルが上がりやすいからおかしくはないだろ? 俺以外のテイマーも同じかそれ以上の速度でレベルを上げているようだし」

「だの。テイムモンスターは入れ替わりのサイクルが早い分、レベルを上げる方法も多い上、上がりやすくなっているようだからのぅ」

「へー、そうなんだ」


 知らなかったのか。と言うか、情報収集系のクランに所属する予定なのに知らないのはおかしくないか? ああいや、検証メインのプレイヤーの可能性もあるのか。


「ああ、そうだ。ハイレアから進化する時、もう一つ進化先があったんだよ。確か、エピラスライムだったか? おそらくそっちが正統進化だと思う。まあ、知っているか」

「ぬぅ?」


 イケシルバーが首を傾げているんだが、どういうことだ? もしかして、エピラスライムの方も知らない?


「こっちも情報が無いのか?」

「無いのぅ。そもそもβの時にテイマーが不評過ぎて、正式サービス後にテイマーを選ぶプレイヤーが少なくての。検証があまり進んでおらんのだ。それにβテストの時の検証でハイレアスライムは進化しない、という結論が出ておった」

「ふーん、ということは、どちらも何らかの条件を満たさないと進化しないやつだったのか」

「そうなるの」


 ああ、道理で最初にシュラを見せた時、微妙な顔をした訳だ。あの時は既に知っている情報だからだと思っていたが、1回しか進化しないモンスターだったから憐みの目で見られたという事だろう。


「メンバーでテイマーをしているプレイヤーに確認を取ってみましたが、やはり知らないようです」

「ふむ。ミヨさんは進化先が増えた要因に思い当たる物がありますかな?」

「要因なぁ」


 進化先を増やす要因として考えられるのは、戦闘、ステータス、スキルと後は…ああ、あれが一番可能性があるな。


「多分育成スキル関係じゃないか? 素材ごとに育成傾向があるし、その影響を受けたと考えればわからんこともない」


 シュラのレベル上げに使った素材の大半はスライムジェルとゴブリンの角だ。スライムジェルを一定個数以上育成スキルで使うと、エピラスライムに進化できるようになるとか、ゴブリンの角を一定個数以上使うとヒューマスライムに進化できるようになるとか、普通に在り得そうだからな。


「なるほどの、確かにその可能性はありそうじゃ」

「ついでにシュラのレベルを上げるために育成スキルで使った素材はスライムジェルとゴブリンの角がメインだな。まあ、検証するならそっちでやってくれ」

「そうさせてもらうのぅ」


 俺が話している間にもエティテプは他のメンバーと情報交換をしているのか、フレンドチャットのウィンドウを弄っている。


「情報提供、ありがとうございます。それで、情報の対価についてですが、どうしますか? Fsで支払うこともできますが、その場合、情報を精査してから支払いという流れになるので時間は掛かりますが」


 ああ、なるほど。俺の情報に対する対価をどうするか話し合っていたのか。


「対価なぁ…ああ、それじゃあ……」



 そうして、イケシルバーたちとの話が終わり、その後にギルドでエリアボスの討伐報告を済ませた。

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