第26話 エリアボス…
第2エリアに行くためには、その前に陣取っているエリアボスを倒す必要がある。
エリアボス自体は別のゲームでも同じようにエリアチェンジする前の場所に設置されていたる場合が多い。それはエリアボスが関所、または越えなければならないハードルとしての役割があるのだ。
それ故に、ゲームによっては隣接するエリアとの繋がりがエリアボスが居る場所だけなんてゲームも存在している。
しかし、FSOの第1エリアと第2エリアは、別に1部分でしか繋がっていない訳ではない。
そのため、初めて第2エリアへ向かう場合は、第1エリアと第2エリアの境界線を越えることで、強制的にエリアボスとの戦闘に移行するようになっているらしく、本来の戦闘エリア以外の場所から第2エリアへ行こうとしても必ずエリアボスと戦わなければならない。
まあ、要はこのハードルを越えられなかったらこの先のフィールドで苦戦どころか死ぬよ、っていう運営からのメッセージ的なやつでもある訳だな。現に、他のプレイヤーの力を借りて無理やり第2エリアに行ったプレイヤーが、町の近くのモブモンスターに蹂躙されて死に戻ったという情報もあるくらいだ。
さて、そのハードルを易々と越えられるようなプレイヤーが、その場所に到達した場合エリアボスがどうなるかと言えば…
「ギャオォォ…」
第2エリアの前に陣取っていたダチョウのような見た目だったエリアボス〈怪鳥インザ〉が力尽き、地面に倒れ伏した。
当然のごとく、そんなハードルなんて無かったかのようにエリアボスを倒し、先に進んで行く訳だ。
「らくしょー」
「でーすー!」
エリアボスだった怪鳥インザのレベルは15であり、俺もシュラもそれよりレベルは上で、火力も十分あったため余裕をもって戦うことが出来た。
しかも看破した限り、怪鳥インザのHPはダンジョンのボスだったホブゴブリンよりも低く、ギリギリだが4桁には到達していなかった。
その代わり移動速度が速かったんだが、攻撃が当てられない程ではなかったし、攻撃のタイミングで一々脚を止めていたからそこを狙い撃ちにした。
まあ、そんな奴がダンジョンのボスであるホブゴブリンを倒しまくっている俺たちに勝てる訳もなく、あっさり怪鳥インザとの戦いは終わった。
俺たちのレベルが高かったのもあるだろうが、2人で倒せたところからして、おそらく最初のエリアボスという事で、大分弱く設定されていたのだろうな。
「さ、次の町に行ってリスポーンポイントを更新するかな」
「です」
何時までもボスエリアの近くに居ても出来ることは無い。そういう事でさっさと近くの町まで行かないとな。
エリアボスと戦ったところから一番近い第2エリアの町に着き、そこの噴水でリスポーンポイントを更新した。
そして、その次にギルドに移動して…
「おや? そこに居るのはミヨさんではないですかな」
「ん? ああ、イケシルバーか」
ギルドに向かおうとしたところで偶然イケシルバーに遭遇したんだが、その隣には今まで見かけたことのないプレイヤーが居た。
見た目は…何というか、うん、まあ、うんデカいな、って感じだ。
「ミヨさんもこちらに来ておられたのですな」
「まあ、ここに着いたのはついさっきだけどな」
「ふほほ。そうでしたか。して、従魔の姿が見えませんが、どこに?」
イケシルバーがシュラのことを探しているようだが、現在シュラは俺の背中に張り付いている状態で、正面からは見えない位置に居る。
シュラが何でこんな事をしているのかはわからないが、甘えているのか、歩くのが面倒になったのか、シュラに聞いてもしっかり答えが返って来るかはわからないな。
「背中に何かくっ付いているみたいだけど」
「むぅ? おお?」
イケシルバーは隣に居たプレイヤーの指摘によってようやくシュラが俺の後ろに居ることに気付いたようだ。
「はて? 最初に見たミヨさんの従魔はレアスライムだったはずじゃが、もしやお亡くなりに?」
「いや、進化はしたが死んではいないぞ。ほら、シュラちょっと前に来い」
「ふむ?」
俺の前に移動させたシュラを見たイケシルバーは、知らない物を見るかのような表情でシュラのことを見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます