次なる狩場と従魔を求めて

第25話 数日間の成果


 シュラがヒューマスライムに進化してから数日が経った。

 あれから何度もダンジョンを踏破し、ゴブリンを蹂躙し続けた。幸い、シュラが死ぬようなことは無く順調にレベルは上がってきている。しかし、最初のレベルが上がり辛かったことからも分かる通り、シュラのレベルは劇的には上がっていない。


 それで今のシュラのステータスは以下の通りだ。


『NAME:シュラ 種族:ヒューマスライム LV:21 属性:水

 HP:280 / 280 MP:145 / 145

 STR:164(72) INT:136 総合攻撃力:150

 VIT:120 MND:150 総合防御力:135

 AGI:123(37) DEX:86 

 スキル:ウォーター・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 3・回避 』


 掛けた時間の割にそれほどレベルは上がっていないが、ステータスを見るとまじで強くなった。

 部分的には俺のステータスを抜いているし、ゴブリンが出て来るダンジョンではホブゴブリンにも善戦出来る。それどころか俺が補助魔法を掛ける必要はあるが、どうにか勝てるようにもなっている。


「なのです!」


 後なんか、レベルが上がったからなのか別の理由があるのかはわからないけど、最初の鳴き声と言は異なり多少話せる感じになっている。

 既に鳴き声とは言えないので声とするが、声の質からしてシュラはどうやらメスだったらしく、割と高めの声色だ。


 あ、スライム魔法については、文字通りスライム独自の魔法という事のようだ。使ってみてもらった感じ、体の一部を武器化したり、体の一部を相手に投げつけたりして攻撃するのが基本だ。

 当然、スライム魔法を使えばMPは消費されるし、体の一部を飛ばせば自損ダメージが発生する。死んだら終わりのテイムモンスが使うには割とリスクが高いスキルだ。


 ついでに、スライム魔法はシュラのレベルが上がってもスキルレベルが上がる訳ではなく、どうやら育成スキルでスライム系統の素材を経験値に変換し、シュラにその経験値を与えることでスキルの経験値が溜まりレベルが上がるらしい。


 それに気づいてからは街の近くに出るスライムをスローターしまくってスライムジェルを沢山集めた。場合によっては取引掲示板に流れていたスライムジェルも買い占めもしたが、結局500以上のスライムジェルをシュラに使ってやっとレベル3になったところだ。

 おそらくスライムジェルだと得られる経験値が少なすぎてスキルのレベルがほとんど上がらないのだろう。


 それもあるから、そろそろ別のエリアに移動した方が良いのかもしれない。

 ここ数日で街の近くで狩りをしているプレイヤーは減ったし、そのお陰でスライムジェルは集めやすかったのはあるが、俺のレベルもあまり上がっていないから、街付近どころかもう第1エリアでレベルを上げるのは難しいのかもしれない。


 そう言うことで、第2エリアに向かうことにしたんだが、掲示板情報だと第2エリアに入る前にボスが居るらしいのだが、調べる限り楽勝っぽいんだよね。


「それじゃあ、行くかシュラ」

「です!」


 街からでてシュラに声を掛けボスのいる場所に向かい始める。シュラは嬉しそうに両腕を上げて…俺にだっこを要求。


 …いや、シュラさん、あんたもう俺の身長の半分くらいのサイズなんだけど? ヒューマスライムに進化する前だったら問題なく出来たけど今のサイズを考えてください。


「のです!」

「…まあ、可愛いからいいか。しょっ」


 うーん、ひんやり。そして重い。うん、リアルスペックだったらよろけているかもしれないな。


「です! デス!」

「あぁ、動かないで、落としそう」

「です」


 俺の言葉も完全に理解している感じなんだよな。FSOのAI技術ってどうなっているんだ? プレイヤーのテイムモンスターにこんなAIを載せるなんて割に合わないと思うんだが。


「なのです?」

「ん? ああ、さっさと行くか」

「です!」


 そうして俺はシュラを抱えたまま街を出て、ボスが居る場所に向かった。当然だが、シュラを抱えていたため、目的の場所に着くまでかなりの時間が掛かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る