第21話 街に戻る


 ダンジョンクリアの報酬と思われる宝箱の前に来た。宝箱の見た目は…ゲートキーパーを倒した時に出て来たものよりも豪華な装飾が施されている。と言っても、金が使われていたり宝石の装飾があったりするわけではなく、ちょっと装飾に気を使ったかなぁ、くらいな感じだ。ゲートキーパーの時に出て来た宝箱は木箱に蓋が付いた程度の物だったから、それに比べれば豪華には違いないだろう。


 では早速中身を拝見。さすがに魔石だけってことは無いだろうから、いい物が出ることを期待しよう。


 それで、宝箱の中身は……何かの欠片と魔石(小)が6個だった。


「また、魔石。欠片の方は……何だこれ?」


 大半が魔石だったことはがっかりだがもう1つの方は…うーん、綺麗な感じな欠片ではあるんだが、元は多分球体? その10分の1くらいのサイズの欠片だ。見た目的に水晶球に近い感じはするけど、若干濁っている。


[(アイテム)ダンジョンコアの欠片 レア度:5 Fs:‐]

 ダンジョンを形成するために必要なコアの欠片。完全な状態ではないためダンジョンを作り出すことは出来ない。しかし、コア自体に自己再生機能を備えているため、十分な個数を集めることでダンジョンコアとして再生できるかもしれない。サイズ:1/10


 あ、そう言う事か。ダンジョンをクリアすれば確かに手に入ってもおかしくはないよな。しかし、説明文からしてFSOって自前でダンジョンを作れるのか? 明らかにこれを10個集めればダンジョンコアになって、ダンジョンを作れるようになる感じだが。

 いや、出来るかもしれない、だから別の何かも必要だったり、条件があるのもしれない……のか?


 まあ、結局このダンジョンで得た宝箱から取れたアイテムの大半が魔石だったが、クリア報酬の宝箱の中身は確認できたし、ここに居てもやることが無い以上、さっさとダンジョンの外に出て、街に帰るか。




 ダンジョンから出て街に戻ってきた。そして、預け金を払ってギルドに預けていたシュラを返してもらい、なるべく人目に付かなそうな場所に移動する。


 別に隠れてこそこそする必要は無いのだが、色々やっている間に他のプレイヤーが寄って来ても目障りなので、その辺を気にして人目に付かなそうな場所を選んだ。

 まあ、プレイヤーの密度からして完全に人目がない場所は皆無に等しいが、なるべく人が来なさそうな場所を見つけて、そこにあった石積みの花壇の縁に腰を下ろした。


「育成スキルを使う前にちょっと確認したいことがあるんだよな」


 ダンジョンで戦ったことで俺のレベルが上がった際にステータスボードを確認した時、気になった事があったのでシュラに看破を掛けてステータスを確認する。


『NAME:シュラ 種族:レアスライム LV:5 属性:水

 HP:48/48 MP:24/24

 STR:8 INT:14 総合攻撃力:11

 VIT:12 MND:18 総合防御力:15

 AGI:12 DEX:5』


 ああ、やっぱりレベルが上がっているな。テイムスキルのレベルがいつの間にかに上がっていたからもしかして、って思ったら案の定だったわ。


 戦いに参加していないどころかギルドに預けていたシュラのレベルが上がるという事は、テイムモンスはテイマーの側に居なくても経験値を獲得できるという事だ。

 さすがに戦闘に参加しているよりも少なくなっているようで、シュラのレベルの上がり方からして多分10%くらいしか貰えてはいないだろう。

 むしろそれ以上に経験値を得ていたら、俺のレベルが上がらなくなるので妥当な範囲だとは思うけどな。


 まあ、あれだけ戦って倒した敵の数は100どころかダンジョンに入る前の物も合わせれば300近く倒しているのに2レベル分しか上がっていないから、おまけ程度の範囲なのだろう。


 ただ、預けているテイムモンスが増えた場合にどうなるかは気になる。残念ながら今の俺ではまだ2匹目をテイムできるようにはなっていないので、確認のしようがないけど。

 ま、その辺りは追々わかる事だな。


 それで、確認も済んだので、育成スキルを使ってシュラのレベルを上げていこう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る