第17話 落石
ゴブリンたちが俺に向かって近づいてくる。数は……正確にはわからないが既に30は超えていそうだ。しかもまだ後続が現れ続けている。
おいおい、ちょっと待て。初期エリアにあるダンジョンでこれは無いだろ! クリアさせる気あるのか!?
さらにゴブリンの数が増えていく目の前の光景を見て焦りつつも光魔術のライトショットを放ち、近い位置に居るゴブリンを倒していく。
今目の前に居るゴブリンの内訳は大体こん棒ゴブリンが半分とそれよりもやや少なめな感じで弓ゴブリン。ゴブリンメイジと新しく出て来たゴブリンを合わせて1割居るかどうかだな。
一撃一殺で倒せては居るが、明らかに手数が足りていない。範囲攻撃が欲しくなるが今は持っていないし、覚える可能性のある光魔術でもいつ覚えるかは不明。一応、光魔術がLV10になった時に、ライトエンチャントという技を覚えたが範囲攻撃ではなく、ライトエンチャントが掛かったプレイヤーの攻撃が全て光属性になり、追加ダメージを与えるという物だ。
正直あまり使えな…いや、今なら使えるか? ライトエンチャントを覚えた時はまだ素手格闘を持っていなかったし、試す価値はあるかもしれない。
魔術だとどうしても発動から着弾まで数秒はかかる。要するに一体倒すのにそれだけの時間が掛かる訳だが、素手格闘ならその時間は要らないし、一発の火力の低さをライトエンチャントで補えれば何とかなるかもしれない。
「ライトエンチャント! からのパンチ!」
既に物量に圧され、ゴブリンに囲まれつつあった中で近くに居たゴブリンを殴る。そしてライトボールが当たった時と同じようなエフェクトが薄ら現れ、ゴブリンのHPバーの半分以上を削り取った。
これなら何とかなるか? そう思いながらもう一発攻撃してゴブリンを倒す。
そして、そこからは近づいてくるゴブリンを片っ端から殴り続け、ようやく残り10匹を切った。
さて、ここからが正念場だろう。残っているのは弓ゴブリンが4、ゴブリンメイジが3、そして初見ゴブリンが2だ。
今残っている中でもまずは面倒なゴブリンメイジから倒したいところだが、そのために何度かライトボールを放っているのだが初見ゴブリンの盾によって全て防がれていた。
盾を持っているというところからわかるかもしれないが、初見ゴブリンの名称はゴブリンタンクだ。
そのゴブリンタンクは看破で見た限り他のゴブリンに比べてHPが高く、総合攻撃力が低い代わりに総合防御力が高くなっている。それにダメージが0になる訳でもないが、盾で攻撃を防がれるとダメージがかなり減らされ、未だにゴブリンタンクを倒しきれていない。
「あっ、まずぐっ!?」
とりあえずゴブリンタンクを1匹倒そうと自棄になって殴りかかるが、その攻撃はあっさり防がれてしまった。しかも、その隙にもう1匹のゴブリンタンクが盾を叩きつけてきて、その衝撃で俺は後ろに倒れ込んでしまった。
直ぐに立ち上がろうとするもゴブリンタンクの追撃により、直ぐに立ち上がることが出来ない。さらに一瞬見えた限り、弓ゴブリンが弓矢を放っているのが見えてしまった。
ああ、これは無理っぽいな。今からライトボールを放てばゴブリンタンクを1匹倒せるかもしれないが、そうすると弓矢が当たって詰むだろう。後ろに下がりつつ立ち上がろうとすればゴブリンタンクが追撃をしてきて立ち上がれない。
ならゴブリンタンクを1匹でも道連れにした方が良い…
『危機的状況に幸運の星が降り注ぐ!』
「んあ?」
ゴブリンタンクを道連れにしようとライトボールを放とうとしたところでアナウンスが流れた。
幸運の星? そう言えばそんな感じのスキルを持っていたが、あ?
いきなりのアナウンスに戸惑っていると上から小石や砂が降ってきたので上を見る。するとそこには今にも落ちてきそうな、いや、既に落ちてきている大きな岩が存在していた。
「ちょまっ!?」
大きな岩はそのまま俺の前に落下し、轟音を立てながらそこに居たゴブリンタンクを押しつぶしただけでなく、飛んできていた弓矢まで弾き飛ばした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます