第15話 ダンジョン2層目
出て来たゴブリンは6体だった。まあ、もう6体どころか1体も居ないんだけどな。俺TUEEEっていうよりも確実にゴブリンYOEEEってやつだな。マジで弱いよゴブリン。
目の前でポリゴンになって消えていくゴブリンを見て、心の底からそう思った。
『ゲートキーパーを倒したことで次の階層に繋がるゲートが表れました。次の階層に進む場合はゲートキーパー戦闘エリア内に出現した転移陣の上に乗り、次の層へ移動を選択してください』
ゲートキーパーを倒すことで出現したのは次の層への転移陣。それと宝箱か。
既に宝箱は開けて中身を確認しているのだが、入っていたのは魔石(小)が6個だけだった。おそらくゴブリンの数に合わせた物だろうが、宝箱だからもっといい物が入っていると思ったらこれだったから、結構気落ちした。まあ、ゴブリンを倒して出て来た宝箱だから妥当と言えば妥当だけどさ。
それとゴブリンたちを倒したことでレベルが上がった。道中でもゴブリンを多く倒していた結果、俺のレベルが10に到達した。そして、スキル取得可能枠が1つ追加されたので近接戦闘用のスキルを取得した。
取得したスキルは素手格闘。
これを選んだ理由は、今の俺のメイン火力が光魔術だからだ。これは今後も変わることは無いと思うから、装備する武器は魔術用の杖かそれに近い性能を持つ武器になるんだが、それに合わせたスキルで今取得しても使えるものは杖術以外にない。ただ、この杖術も魔術用の杖とは違う頑丈な物を使うことが前提であるため、今使っている魔術用の杖には向いていない。
なので、武器に依存しない素手格闘スキルを取得したのだ。
さて、次の層に進むわけだが、素手格闘のスキルレベル上げも兼ねて次の層では光魔術の使用は出来る限り控えるようにしよう。まあ、光魔術と違ってあまりダメージを稼げない可能性もあるから状況次第ではあるがな。
状況確認のために使った時間でMPも大分回復したから次の層に向かう。そう言えばこの転移陣は外にあった魔法陣と似ているな。
入口にあった魔法陣を思いだしながら、次の層に向かうために転移陣の上に乗る。
『転移陣を起動します。
次の層に移動しますか?
もしくはここで攻略中断を選択することも可能です。攻略中断を選択した場合、ダンジョン入口に設置してある転移陣へ転送されます』
ん? あー、やっぱりそうか。入口にあったのは転移陣だったのか。しかも中断ってことは、あそこからダンジョン内に入る事も可能かもしれない。
ま、その辺の機能はまだ使わないからいいか。さっさと先に進んで、ダンジョンの最奥まで行ってみよう。という事で次の層へ移動を選択した。
2層目も1層目と変わらない感じの通路が続いている。そして出て来る敵も同じくゴブリンだけ。
出て来るゴブリン自体はレベル7と、1層目に出て来たゲートキーパーと同じにはなっているがやはり弱い。素手格闘スキルの最初に覚えていた2回連続で殴る【連撃】だと1回で倒すことは出来ないが、その前か後に1発殴っていれば倒せるので、今のところ光魔術は使用していない状況が続いている。
おっとぉ? 弓を持ったゴブリンが現れたな。洞窟内だと弓の取り回しは微妙な気もするが、初の遠距離攻撃持ちの相手だ。慎重に戦いを進めよう。
弓ゴブリンが弓矢を放ってくる。放たれた弓矢は山なりに俺に向かって迫って来るが、速度が遅いので余裕で回避できる。そして弓矢を回避して直ぐに弓ゴブリンへ距離を詰め、牽制パンチから連撃を使いゴブリンをポリゴンに変えた。
弓を持ったところで所詮はゴブリンか。倒す前に看破を使って調べてみたが、別にアーチャーゴブリンとか弓ゴブリンではなく、普通のゴブリンだった。単純に持っている武器がこん棒から弓に変わっただけだったようだ。まあ、だから弓矢の速度が遅かったのかもしれないな。
さらに進んで行くとこん棒持ちのゴブリンの中にちらほら弓を持っているゴブリンが混ざり始めた。倒すこと自体は難しくないのだが、弓矢にも一々気を止めないといけない状況は正直疲れる。こう言うのが出て来ると広範囲に影響のある魔術スキルが欲しくなるよな。
この分だとこの階層の一番奥には魔術を使うゴブリンが出てくるかもしれない。弓とは異なり魔術系はスキルが無いと発動できないから、弓矢と違って攻撃速度が遅くなるようなことは無いはずだ。そこは気を付けないといけないだろう。まあ、ゴブリン故のMPの少なさがあるから、そこまで脅威ではないとは思うけどな。
そうして俺は周囲を警戒しながら、さらにダンジョンの奥に進んで行った。
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