第14話 ゴブリンと育成傾向

 

 俺がそんな疑問を抱いている間にも残りのゴブリンは仲間が消えたことを一切気にする様子もなく、俺に攻撃を加えようと距離を詰めて来ていた。


 今ゴブリンを一撃で倒せたのは当りどころが良かっただけかもしれない。もう一度ライトボールを放って確認するか。

 もし、当たり所が良かった訳でもクリティカルでもなかった場合、ゴブリンは俺にとって倒すのに都合のいいモンスターという事だ。さて、どうだろうな。


 向かって来ているゴブリンに向かって再度ライトボールを放つ。放たれたライトボールはそれを躱す気配のないゴブリンに当り弾けた。そして、それに当たったゴブリンは1匹目と同じようにポリゴンになって消えた。


 今のライトボールは態と急所と思われる場所を避けて体に当たるように放ったのだが、それでも一撃か。という事は、ゴブリンは俺にとって都合のいいモンスターであることが確定した訳だ。


 最後に残ったゴブリンもライトボールで仕留める。やはり一撃で倒すことが出来た。

 うーむ、効率のいい狩場を見つけてしまったかもしれない。経験値に関してFSOでは数値化していないのでどれくらい獲得できているのかはわからないが、少なくとも外に居たスライムなどよりもレベルが上だし、その分多いはずだ。


 そしてゴブリンを倒したことでドロップアイテムを獲得した。アイテム名はゴブリンの角だ。


[(アイテム・素材)ゴブリンの角 レア度:1 Fs:5]

 ゴブリンの額から生えている1対の角の内の1つ。素材として使うことは出来るが用途は限られる

 育成傾向:力・邪人


 鑑定すると出る説明はこんな感じだ。レア度や説明文はどうでも良いのだが、気にするべきは一番下に表示されている育成傾向だ。


 育成傾向はチュートリアル中にスライムジェルを看破した際には表示されなかった部分だ。見たらわかる通り、ゴブリンの角には育成傾向:力と邪人がある。

 おそらくだが、育成スキルでゴブリンの角を使うと、それで経験値を得たテイムモンスの力のステータスが上がりやすいという事だろう。邪人については多分育成スキルを使う対象のテイムモンスがゴブリン系統だったら経験値を多く獲得できるとか、その辺りだと思う。


 スライムジェルにも同じように育成傾向:スライム、という記載がされているから、間違いではないと思う。まあ、スライムジェルの育成傾向はスライム以外にないから使っても経験値しか得られないという事だろうけど。


 他に手に入れているウサギとネズミ、トリの素材の育成傾向は各種族名と速さになっているから、何もないスライムジェルの残念さが際立つな。まあ、その分スライムから魔石(極小)がドロップするのかもしれないがな。


 獲得できたドロップアイテムも確認したし、さらに奥に進んで行く。


 10分ほど歩いても視界に映る光景に変わりはない。出て来るのもゴブリンだけ。まあ、サクサク倒して進めるから良いのだが、ずっとこれだと飽きるな。既に相当ゴブリンを倒しているがレベルも一緒で、一撃だし。

 このダンジョンは最初のエリアにあるからそこまで広いとは思わなが、そろそろ一番奥に着いてもいいっと、開けた場所に出たな。


『ゲートキーパーとの戦闘エリアに入りました! ここより先へ進みたい場合は、ゲートキーパーを倒す必要があります。

 ダンジョンについてのヘルプが更新されました』


 ほーん。なるほど。ここは一応奥ではあるが最奥ではないと? 出て来るゲートキーパーという奴次第ではあるが、先に進んでみたいな。先に進めばゴブリン以外も出てきそうだし。


「「「「「「ぎゃぎゃぎゃ!!」」」」」」


 …何か一気にゴブリンが出て来たな。もしかしてこれがゲートキーパーなのか? いや、もしかしたら普通のゴブリンとは違うかもしれない。そう思い看破を使ってみる。


 あーうん。普通のゴブリンだわ。レベルは7と道中に出てきたやつに比べれば強くはあるが、誤差じゃねぇかなぁ。


 そう思いつつも襲い掛かって来るゴブリンに題してライトボールを放った。

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